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Chapter24-13

挿絵(By みてみん)






 馬車が止まり、すっかり慣れたヒールで馬車と地面の段差を飛び降りるエルミスに、流石のセリーニも苦笑しながら御者に待機してもらう様お願いすると、にっこり笑って御者が頷いた。



 第一王女の誕生花で看板が彩られている店の名前は"指輪鍛冶ターランドス"―――以前指輪事件に巻き込まれた"アルキ"の息子店主が営む店だった。セリーニは何度かアルキに事件後の報告や、体調の具合等を見る度に度々訪れていたのでよく知っている。



 カラン、と来客を告げるベルと共に、工房から出てきたアルキが目を白黒させた後、見知った顔に視線を向けて笑みを浮かべている。



「おぉ……!久しいなセリーニ隊員。元気そうで何よりだ……其方のお嬢さんは?」

「御無沙汰していますアルキさん。えっと、こちらは……あの……」

「お久しぶりですアルキさん。ロドニーティスの孫の、エルミスです」

「………まて、ロドニーティスの孫は男だが、どう見ても女だ」



 簡単な挨拶をしたアルキは改めてセリーニの隣に居る少女に目を向ける。明らかに上等なドレスだというのが一目で解る身なりをしている少女が何者なのか、もしかすれば"客"かと思っていたが、どうやら考えは斜め上を言ってしまったようだ。


 ロドニーティスの孫、エルミス、という単語に、思い浮かんだのは癖毛のティールブルーと特徴的な灰白色の目を持った少年。



 だがアルキの目の前にいるのは、本当に少女なのだ。



「すまねぇ、失礼する」



 アルキは一言断りを入れてから手を伸ばして少女の手を取ると、簡易スキャニングをかけ始めた。スキャニング魔法特有の青白い目でアルキは情報を掻い摘んで取ろうとするも、ある魔法によって弾かれてしまう。



「――――えげつない妨害魔法が掛かってんな。ロドニーティスの孫という情報が一切引き出されねぇ様になってやがる」

「ちょっと色々事情があって……」

「だが……」



 簡易で良かった、詳しく調べる為に詠唱を開始すればきっと妨害魔法が作動していただろうとアルキは冷や汗をかいていると、言えない事情がある事を濁す少女の手を覆う手袋をアルキはするりと取った。



「……皮が厚い、おまけにストールで隠してる腕が太い。おい、お前さんの祖父の名前言ってみろ」

「カルキス」

「歳は、」

「今年で七十四になるはず」

「奴の得意分野は、」

「上手におサボり」

「よし、孫だな。馬子にも衣装ならぬ、"孫にも衣装"ってか?」




 いくつかの質問を簡単にクリアした少女が本物のエルミスが化けていると理解したアルキは、ほい、と脱がした手袋をエルミスに返して腕を組み上から下、下から上へと往復しながらすっかり様変わりしている様子を改めて観察する。

 髪の長さから目の色まで変わっている光景に、どのような絡繰りが有るのか気になるのが鍛冶屋だが、簡易スキャニングで薄らと見えた妨害魔法の数々を突破してまで解析するほど命は惜しくない。



「ちょっと工房を貸してほしいんです。これ、直したくて……」

「んん……!?おい、こいつぁ……イガンダス国の宝剣ロズ・ディアマンティじゃねぇか。ちょいと貸せ」

「呪いを解除する時にすげー融けちまって……」



 ストールを外して宝剣を晒せば、まさかこんなところで目に掛かれるとは思っていなかった代物にアルキは驚きの声を上げると、作業ベルトから手袋を取り出し嵌めてエルミスから宝剣を受け取れば、呪いによって穢された魔力によって抉れて融けてしまった部分を注意深く観察する。



「こりゃあ相当だな、宝石を固定する土台も薄くなってやがるし一部欠けてやがる。……どんな呪いが掛かってた」

「特定の対象を贄にして、誰かが一人になった時点で呪いが解除するやつ」

「……あの噂は本当だったのか。よし、装飾剣に使われている柄は指輪の成分とほぼ一緒だ。呪いで抉れた部分専用の材料もあるから好きに使って直してこい」

「有難うございます!」



 宝剣をエルミスへと手渡したアルキは、工房内にいる息子に"手伝ってやれ"と声を掛けつつ、セリーニに使っていない椅子を顎でしゃくって座れと無言の優しさを見せる。失礼します、と一言言って座ったセリーニは、ターランドスの息子店主とエルミスの背中を見ながら"工房に居るとエルミスって分かりますね"と心の中で思いながら微笑んだ。






「そういえば、噂って?」

「なんだ坊主、オメー知らねぇのか」



 息子店主のアドバイスを聞きながら、魔法石を外して土台を修復しているエルミスは、ふと"噂"という単語を頻繁に聞いた事を思い出して声にすると、二人の手元を見ているアルキがてっきり知っている者だと思っていたと言わんばかりに小さく驚く。



「エルミスは、イガンダス国の国王がどのように決まっているのか、聞いた事ありませんか?」

「いんや、全く。そもそも教科書とかにも載ってなかったし、それが"噂"なのか?」



 セリーニはエルミスに噂の核となる部分を聞くが、当の本人は本当に全く知らないらしく、首を振った後質問と同時に傾げる。絶えず手元を止めずに土台の装飾を直していくエルミスに、息子店主は追加の素材と道具を手渡しながら口を開いた。



「王位継承争いの噂はいくつかあってね、一つは"王様が決めている"。これはまぁ一番スタンダード。次に"こっそり送られてくる投票権で決まる"。贔屓無しの完全ランダム性ってところかな。そして最後が―――"次期王候補たちによる殺し合い"」

「殺し合い、ってことは……」



「そう、"殺し合いの末に一人になった者が、時期王となる"ってこと」



 キンッ―――、と、金属特有の音が工房に響いた。




オリュンポスって聞くと高確率で脳内におりゃんおりゅが出てくるこんばんは!!!!


オリュンポスはまだ完走しきってないんでプリコネの話するんですけど、アンの専用装備で覇権返り咲きおめでとう。。。グレアも強くなって、、、、


ルゥもうちょっとなんとかならんかったんか、、、


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