表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/175

Chapter24-7

挿絵(By みてみん)




 アステラスを照らしていた日が沈み、いつもは街灯によって照らされている街並みは、様々な色合いのランプと共に第一王女生誕の花が各所に飾られており、一層華やかさを誇っていた。前夜祭と言えど平日よりも格段に人は多く、様々な場所で催し物や出店を出す飲食店で溢れ返っている。



 貴族や他大陸の王族達が泊っているホテル前で待機していたセリーニの通信機が、小さな光と共に音を立てて通信が来た事を知らせる。



「……総隊長?―――はい、セリーニです」


〈すまねぇセリーニ隊員、ちょっと今の持ち場から移動になった〉

「……?はい、了解しました。場所はどこでしょうか」




 第一王女前夜祭から約一週間ほど前、各隊員達に警備や護衛、通常のクエスト勤務の三つにそれぞれ割り当てが決まった。親子関係の子であるリーコスもギルドの責務を果たしたいと言っていたが、参謀から伝言を預かっていた総隊長が"必ず前夜祭から参加するように言ってくれって参謀から伝言だ。だからリーコス隊員は前夜祭と当日は休みな!"と釘を刺されてしまっていた。



 セリーニは第一大陸の第二王女の護衛を務めるはずであったが、どうやら急遽変更になったらしい。向かいの方からやってくるギルド隊員がセリーニに目を合わせて敬礼をするところを見ると、どうやら交代の隊員の様で。セリーニも同じように敬礼をしてその場から離れると、総隊長の指示を仰いだ。






 そして今、セリーニはなぜか王城に居る。使用人に案内されながら黙々と城内を歩いているが、内心気が気ではない。なぜならば―――



〈王城だ。そこで第一王子の婚約者の護衛を頼みたい〉

『……え!?あ、は、はい!』

〈驚くのも無理ねぇ。まぁその婚約者サンとやらが"護衛はセリーニ隊員を寄越してくれ"って言ってたんだ。んじゃあ後は頼んだぜ〉



 ―――と、情報量が濃縮されたやりとりが移動中にあったからだ。


 まずはリーコスに婚約者の類が居た事に驚きを得た。最近こそセリーニと関りのある女性同期や女性先輩達と会話が出来る程度にはなったが、それでもまだあまり関わりが無かったり、完全初見の女性には口を噤ませてこっそりセリーニに目配せを送り助けを求めるほどだ。


 だがどうだ、実のところ内緒で愛を育んでいたとなれば……これは親としてどのような女性なのか確認をとってもよいのではないか?と、妙な親心をセリーニは持って城内の階段を登っていく。



 もう一つセリーニが気にかかったのは「指名」だ。ナノス支部から中央支部に移動してから、数多くのクエストを一応ではあるが熟してきた。魔獣討伐から人の護衛、はたまたお使い、そして警備……その中で出会った者が己の実力を買ったのかは分からないが、少なくとも顔を知っているのだろうと推測する。



 一つの扉の前で使用人が止まり、セリーニも同じように止まる。ノックを二回、奥から第一王子の声がくぐもってはいるが聞こえてきた。



「失礼します。リーコス様、セリーニ様をお連れしました」

「すまない。セリーニ隊員、入ってくれ」

「失礼します……!」



 第一王子としての装いで佇んでいたリーコスに一礼したセリーニは、ドアを開けた使用人にも小さく頭を下げて礼を言うと、そのまま室内に入る。広く、そして客間だと分かる内装をくるりと見渡すと、ソファに座っている女性を発見した。



(ち……小さい、愛らしい、お人形みたい……!)

「突然だがセリーニ隊員、この女性をよく見て、誰か分かるだろうか?」

「え……?」



 綺麗に着飾られた人形みたいだとセリーニは内心興奮していると、リーコスの一声でぱちりと瞬きを一回、そしてソファに座っている婚約者らしき人物に視線をやれば、ソファに沈んでいた女性は立ち上がり、軽くヒールの音を鳴らしてセリーニの元へと近付いてきた。




 じぃ……。正しくこの擬音が似合う。濃青の瞳がセリーニの方に一点集中している。セリーニはリーコスの言葉通り濃青の瞳をレースの施されたヴェール越しに見返しつつ、綺麗な化粧が施された顔をまじまじと眺めた。




 どことなく似ている者がいるような、けれど似ていない、と訴えかける何かがある。そういった感覚をセリーニは感じながらも、該当しうる人物を一人脳内に上げてそのまま声に出す。



「どことなくエルミスに似ています。ロドニーティス家のご親戚の類ですか?」


「イエラと一緒だったか」

「セリーニ、オレだよオレ」



 セリーニの導き出した答えに、リーコスと少女に擬態しているエルミスはリーラ・ロドニーティスの魔法が凄い事を理解すると同時に、ティアラの凄さを理解する。妹と同じ答えだったかと感想を漏らすリーコスをセリーニが見ていると、よく聞く声がその隣から聞こえてくることに気付いて視線を移せば、声の主が愛らしい人形の女性から聞こえてきた事に目を見開いて驚く。



「ま、まさか……え、エルミス本人ですか……?」

「おう!」

「か、……髪の長さと色、目の色が全く……」

「エルミスの身体に魔法が掛かっている。そういった道具が王族の宝にあってな……禁忌魔法スレスレだが、道具と呪文によって抑えられている訳だ」



 まさか、と思いながらも本人確認をすれば、ヴェールを軽く上げたエルミスの笑顔がセリーニの胸を直撃した。可愛らしい、と思わず言いそうになるのを堪え、髪色と目の色が変わっている事へと驚きをシフトさせれば、リーコスの簡単な説明になるほど……、と頷く。



「一体何方が私を指名していただいたのかと考えていたのですが……まさかエルミスだったとは思いませんでした……」

「普通はそうだろうな。なんせ男だし。こいつの尻拭いと、オレのちょっとした目的で変装してんだ。今日一日だけだし、気の合う奴を護衛に付けたかったからよ……」

「ふふ、ありがとうございます。精一杯護衛の程務めさせていただきます!」



 尻拭い、という言葉と共にリーコスの方を親指で指したエルミスは、再びソファの方に戻って腰を下ろす。は~~、という言葉と共に大股を開けているエルミスに、思わず"いつものエルミスだ"とセリーニは微笑みを浮かべた。




あつ森の時間を飛ばしたい!!!こんばんは!!!


いや、今年こそはちゃんと時間飛ばさないで頑張ろうって決めてます。前シリーズ全部飛ばしてましたけど、流石に任さんのペナがいつあるか分からなくて怖いから、、、


けどスローライフもやっぱりたのしい。明日博物館建ったら、周りに置いてある水槽やら化石やら全部寄贈するんや、、、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ