Chapter23-10
「―――チャイムが鳴り終わった後、俺を含めた数人が"解けなかった問題をそのままにするのは良くない"と声を上げて、クラス皆で一先ず雑学以外の問題を一斉に勉強する会になってね……足踏みを揃えるところから始めたんだ」
「手助け、ってやつを実行したのか。賢い奴は行動力がはえーな」
熱を持つ魔法剣を持ったまま、マナの路に魔力を流して確認をするエルミスは、リーコスを褒めながら手を止めることはない。専用の道具でストッカーを入れるスロットを取り外し、刻まれている呪文が掠れていないか確認して修復していきながら耳を傾ける。
「そこから会話を徐々に初めて言ってね……クラスの皆、俺や数人の賢いと言われていた者達だけ満点を取っていたと思っていたんだ」
「実際はスペルミスまでしていた長男坊、……皆、かなり身近に感じただろーな」
「恰好が付かないがその通りでね…。だが実際、それで皆との壁が完全に無くなった瞬間だったよ」
"今の皆では百点を取れないならば、四年後取れるように、皆で頑張ろう"―――そう言ったリーコスに、制服に着られていたクラス生徒全員が、その制服を着こなすほど表情を引き締めていたのを、今でもリーコスは覚えている。
「そんで、結果的に全員卒業出来たのか?」
「勿論。他のクラスで脱落していく者達の噂を聞きながら、最後まで全員抗って卒業した。……そして改めて、ロドニーティス先生は卒業式のホームルームでテストを配ってきた」
泣く声、笑う声、賑やかな周りの教室に似つかわしい静寂さを保っていたのは、入学式を彷彿とさせると、後にクラス全員がそう口にしていた。教室の後ろで待機している保護者の面々も、"なぜテストを……?"と首を捻っていたが、真剣な表情で解く我が子に固唾を飲んで見守っていた。
完全にペンの音が止まったのを確認したロドニーティス教員が、パチンと指を鳴らして腕に嵌っている魔法道具に魔力を通しながら魔法を発動すれば、予め解答用紙に仕込まれていた魔法によって瞬く間に赤い印が刻まれていく。
チェックを付けられていく様を生徒が黙って見つめ、ロドニーティス教員も、保護者も黙って見つめている。最後の項目にチェックが付き、にっこり笑顔の絵文字で締めくくられた解答用紙から魔力反応が消えると、ロドニーティス教員は大きく深呼吸をして肺いっぱいに空気をため込んだ。
"おめでとう!全員百点!流石は私の自慢の生徒だ!!これでどこに行ってもやっていけるぞ!"―――と、大声でロドニーティス先生が言ったと同時に、皆が歓喜の声を上げて解答用紙を握りしめながら、皆で泣いて抱擁し合った」
「そりゃあ嬉しいだろなぁ。しかも全員満点だったのか、すげぇな……」
「凄いのは君の母上もだよ、エルミス。ロドニーティス先生は、最後まで俺たち生徒を見捨てず、同じ目線に合わせて物事を真剣に考えてくれた。俺たち自慢の先生だよ」
そういって無邪気に笑うリーコスに、エルミスは本当に母親がしっかりと先生をしていることを誇りに思った。エルミスも照れを隠す様に笑いながら魔法剣にスロットを嵌め直すと、鞘に戻してリーコスに返す。
鞘を掴んだリーコスは、エルミスという職人を完全に信用しているのか、試しに魔力を通すような事もしない。……もう疲れているからかもしれないが、とエルミスは考えて魔法炉の終いをすると、手袋を外して大きく伸びをすれば、そのまま工房の掃除を始める。
大きく縦に頷いて、笑顔まで見せながら、学校生活を楽しかったと言うリーコスを改めて思い浮かべたエルミスは、その笑顔を作ったきっかけが母親である事を改めて理解すると、箒で床を掃きながら、家で沈んでいる母親に家庭用通信機で様子でも窺いつつ、少し褒めてやろうと考えて密やかに微笑んだのだった。
明日水曜日なんですけど(気付いた)、明日でchapterが終わるので明日更新からの木曜日お休みにします。こんばんは!
今日はちょっぴり悲しい事がありまして、、、わいにいもうっとが居るんですけど、いもうっとの家族だった文鳥が天国に行ってしまわれました、、、私も沢山鳥を飼っています、色んな子を見送っていきました。文鳥ちゃんも、妹が新婚旅行が被ってしまった時に、雛だった文鳥ちゃんを預かって餌やりやらしていました。愛着はもちろんあったので、とっても寂しくて悲しいです。でも別れがあるのが家族です、天国でのびのびとしていてほしいなぁ。