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Chapter21-4

挿絵(By みてみん)




「完全に魔力値が正常に戻りました」

「そうか、有難う。レヴァン君、君のお陰で助かった……本当に有難う」

「とんでもないです!代表が助かって良かったです!」



 研究員の一人がスキャニングによってナノス代表の魔力値を確認し、正常に戻った事を伝えると、ナノス代表は一言礼を言った後、隣に控えていたレヴァンへと改めて礼を言えば、元気な笑顔と共に返事が返ってきた。



 様々な器具と資料を片付ける父親と弟を見るセリーニの通信機から一本の通信が入る。少し背を向け操作し始めたセリーニは、魔力によって編まれた文字へと目を通す。



「あの、カーラ隊長……この後は何かありますか?」

「セリーニ隊員は、もうこの後自由行動だ。明日の昼までに南の関門へ集合してくれ」

「はい、分かりました」



 失礼します。そう言いつつ深々と礼をした後、セリーニが代表室から姿を消す。ドアが閉まるまで孫の姿を見守っていた"おじいちゃん"に、ナノス代表が言葉を掛ける。



「良いお孫さんを持ちましたね、元支部隊長」

「そうだろう。セリーニも、レヴァンも、自慢の孫だ。その孫を育てた娘も、その娘を支えている娘婿も、……うむ、良い家族だ」

「おじいちゃん……!そういやおじいちゃんってなんで"モトシブタイチョー"って言われてるんだ……?」



 二人の孫が互いにそれぞれの道を究めていく姿を改めてみるのは一年と半年ぶりだと、元支部隊長であるアンティ祖父は短い年月ながらも立派に成長している孫に感心を寄せる。その孫を育てた良心たる娘と娘婿も褒めねばならんとばかりに、レヴァンのノートを見ている娘婿に笑顔を向けていると、ふとレヴァンの何気ない質問が飛び出した。その質問に"言って無かった気がしますね、"と娘婿が小声で言葉を先に置くと、息子の質問に答えを添える。



「レヴァン、おじいちゃんは昔ナノスのギルド支部隊長をしていたんですよ」


「へー………えぇー!?おじいちゃんがナノスのギルド支部隊長だったのかー!?」

「えぇー!?レヴァンはおじいちゃんがギルド支部隊長だったこと知らないのかー!?」



 ただの強いおじいちゃんだと思っていたレヴァンが大声で驚き、今まで支部隊長だったことを知らなかった孫に驚く祖父の声が代表室に響いた。



「無理もないか……私もレヴァンが生まれたぐらいで引退したのもあるし」

「じゃあおれが知らないのも普通だったか……」

「今のナノス支部隊長は、まだまだ動けるから戻ってきてほしいと仰っていましたよ」

「なに、もう腕も訛ってきとる。フォークしか持てん身体になってしまったよ」



 現ナノス支部隊長は総隊長とそれほど歳の変わらない若い隊長だが、いつも"アンティ支部隊長ひょっこり復帰してこないですかねぇ"と願望を込めた言葉を常に唱えている事をナノス代表は知っている。アンティ元支部隊長に伝えると、フォークを持つ仕草をしながら言う言葉に、代表室に居るナノス隊員と研究員、そして行政職員全員が"嘘だ……!!"と脳内の言葉を揃えた。



 ノックの音が代表室に響き、入れと言う指示を飛ばしたと同時に入室してきた行政職員の一人がメモと複数の書類を持ちながらナノス代表の机の前までやってくる。




「失礼します。ネイド氏が現在在住している部屋の隠し地下にて薬が発見されました。惹起の誘花の種と乾燥した花、複数の記録ノートも抑えています」

「そうか……森で違法栽培を行っていた事件も関連して調べてくれ」

「畏まりました。入手経路を吐かせる為の口外魔法許可をお願いします」

「ん、―――あと……過去にナノスの管轄だった中毒症状の島の再度調査と、同じ症状によって消えた街と村、総洗いで調べてほしい」




 書類を机の上に置いた職員に、ナノス代表は様々な追加注文を口にしつつペンを持って魔力を纏わせたインクを書類へと滑らせれば、魔力によって淡く光る。メモを書き終わった職員はサイン済みの書類を再び手に持ち一礼をした後、代表室を駆け足で出ていった。


 相当対応に追われているのだろう後姿を見送ったレヴァンは、邪魔になってはいけないと思い帰り支度を始めた。




 こほん。小さな咳と共に、片づけを終えたレヴァンへと椅子ごと身体を向けたナノス代表に、レヴァンは鞄を持ったまま姿勢を立たしながらも小さく首を傾げる。



「レヴァン・アンティ君。君の活躍は大いにあった。今回の薬物中毒事件の一番の功績と言ってもいい」

「ありがとうございます!!」

「君のお姉さんにも同じことを言うが、何か欲しいがあれば私が叶えられる範囲で叶えてやることも可能だ。―――何かないかな?」



 そう言ったナノス代表に、レヴァンは特別悩む様子は見られなかった。レヴァンはどちらかと言えば良く悩む方だと、父親も祖父も同じことを思っていたのだが、悩むどころか"それじゃあ……、"と決めている様だった。



「おれ、いつか目標にしていた事があります」

「ほう、研究員かな?それとも医者かな?」

「んー……両方を担ってる感じです。その目標に向けて欲しいものがあります、それは―――」





初めて誤字報告を貰って、適用を押したら勝手に書き換えられる神機能だったことに驚いたのは私です、こんばんは!!


え?すごない?サイト運営やってたわいには誤字報告だけでもありがたかったのに、このサイトは修正を自動的にしてくれるん…?????考えた運営にアルフォート一年分を!!!!


パラリンピックで活躍する人達の中で、特に走る選手の足がかっこよすぎませんか。ああいう個々の技術と職人の技術が合わさった競技、もっと見たい。


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