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Chapter20-10

挿絵(By みてみん)





 靴音を立てながら静かな時計塔から整えられた芝生の公園へと足を進めると、セリーニの帰還を待っていたカーラが手を軽く振って近付く。



「よくやったセリーニ隊員。……シぜラスの息子もお手柄だな。重いだろう、預かる」

「有難うございます、……街と住民はどうなりましたか」



 セリーニに身を預けて眠っているエルミスの頭を軽く撫でたカーラは、疲れているであろうセリーニからエルミスを預かる為背中を向ける。腕を肩へと置きながら背負わせる様預けつつ街の様子を聞けば、少し体勢を整える様に軽くエルミスの身を揺すったカーラは、セリーニの方へと身体を向けて口を開く。



「先に空のストッカーで魔力を抜いた住民が多かったからね、中毒症状になる前に薬が行き届いたから重度の患者は居ないし、子供と老人、あと病人は中央アステラスにに転送避難が完了している。防魔法文字が壊れた影響で入ってきた狂暴な魔獣は、出来るだけ内周で対処して、街に入ってきたのはナノスのベテランが処理したよ」

「そうでしたか…良かったです。ツインズの討伐は、」

「それも完了済みだ。今、北の動物研究科達が検査してる」



 ナノスに甚大な被害が無かっただけでも良かったとセリーニは胸を撫で下ろしていると、時計塔の方へ走ってくる人物に視線を移す。ゆったりと歩く大柄の人物とは対照的に後ろ髪を乱して全速力で走ってきた人物は、カーラが背負っているエルミスの表情を確認し、大きく肩を上下に動かしてホッと一息つくと、セリーニの方へと改めて向き合う。



「アドバイスが役に立った、有難うセリーニ隊員」

「お疲れ様ですリーコス隊員。エルミスは防魔法文字の製作と、魔力の底が付いてしまった疲れで眠っています」

「そうか……エルミスが直したのか…。カーラ隊員、預かります」



 眠っているエルミスが防魔法文字を作り直したことを初めて知ったリーコスは、カーラの背で寝ているエルミスを抱き上げて受け取ると、エルミス本人とは違った魔力を感じ取った。



「……セリーニ隊員も、魔力を提供したようだな」

「分かりますか…?」

「あぁ、微かにエルミスの中に残っている」



 その魔力がセリーニのものであると瞬時に把握したリーコスはそう言うと、セリーニはほんの少し驚きながらも、親子としてギルド活動を共にしていれば分かる事かと理解する。



「防魔法文字の製作で、私の魔力を使用したんです。エルミスも、ほとんど魔力が無かったので……」

「……セリー二隊員はトゥリアンか?」

「はい。なので魔法は上手く扱えないんです」



 無尽蔵の魔力を持つトゥリアンである事を、子の立場であるリーコスは今初めて知ると、トゥリアンならば防魔法文字製作の為の魔力提供でさえ熟せるのかと感心した。実際にトゥリアンを初めて見たリーコスは、セリーニが魔法を使わない納得の理由を得る。



「おー、揃ってるな」

「総隊長!」

「カーラ隊長、セリーニ隊員を連れて代表の元へ行ってくれ。セリーニ隊員、ネイドの指に嵌っていた結婚指輪、持ってるか?」



 リーコスの後ろからゆっくりと付いてきた総隊長が四人纏まっている場所までたどり着くと、操作していた通信機から顔を上げて笑顔を見せる。声を上げたセリーニは、総隊長の言葉にポケットを漁り、ネイドの指から抜いた結婚指輪を取り出し見せる。



「ん、持ってんな。それの共有魔法の破棄をするらしい。セリーニ隊員の"お爺ちゃん"も来てるから、挨拶ついでに行ってこい」

「師匠が……!了解しました」



 陽の光を浴びて光る結婚指輪――魔法道具を確認した総隊長は軽く頷くと、セリーニの祖父が来ている事を伝える。"お爺ちゃん"と言ったのは、"元支部隊長"と言った際に"お爺ちゃんと言わないといやだ"と駄々を捏ねられてしまったからだ。お爺ちゃん、と単語を強調させる総隊長にセリーニは祖父が来ている事を知り、カーラと共に時計塔を後にする。




「リーコス隊員はエルミス坊を連れてナノス第二病院へ向かってくれ。一応中毒症状が出てないかの検査をするらしい」

「分かりました。……ところで総隊長」

「んぁ?なんだ」



「なぜエルミスが防魔法文字の修復を?」




 リーコスの顔は"隊員"ではなく"第一王子"としての表情に変わっている。



 リーコスは、エルミスが防魔法文字に巣食う闇属性の魔力を対処する事までは想定内だった。崩れゆく防魔法はナノス代表やメリシア管理官、他の管理官達が対処をすると思っていたのだ。


 まさか、己の幼馴染が防魔法文字修理まで行っているとは聞いていなかったリーコスの表情に、総隊長は片眉を上げながら軽く説明を始める。



「ナノス代表は中毒症状、メリシア管理官はネイドの魔法でぶっ倒れた。他の管理官達は中毒症状の後遺症で入院中。――…崩れていく防魔法文字を、中毒症状中のナノス代表とエルミスが共に見ていたら……第一王子でも、その後の展開はどうなるか分かるンではないですかね?」

「―――……」



 総隊長の無駄のない説明。その説明から導き出される結果は―――第一王子として、国を揺るがすほどの危機が迫れば、道理や手順を抜かし、"どんな手を使ってでも阻止する"様に学んでいる。中毒症状中のナノス代表は、エルミスにその手を使ったのだ。


 眉間に皺を寄せて目を伏せるリーコスの肩を、総隊長は大きな掌で軽く叩く。



「リーコス隊員の怒りも分かるし、事情を飲み込まなければいけないって事も分かる。俺に怒るのもいい、そうやって成長してけ」

「――――はい、」



 リーコスの表情は、リーコス隊員へと変わっていた。背中を見せひらりと手を振った後、ひっきりなしにやって来る通信報告を捌く総隊長に、エルミスを抱きかかえたままのリーコスは軽く頭を下げた。




多いめというのが方言だと昨日知りました、こんばんは!


BSプレミアムで歴史秘話FFヒストリアなるものをやるそうです。私のFFは昔なじみの兄的存在がFF7をやっているのを見ていました。最近はオプレの放送でFFシリーズをやる人も居るので見ています。やったことがあるのはX-Ⅱから。一番好きなのは13。なお、個人的には13で終わって良かったんちゃうん?という感じです。。。悪くはないんやけどなぁ、、、


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