Chapter20-4
足首を縛る縄を解いて立ち上がらせるナノス支部のギルド隊員に、ネイドは身体を身じろぎ抵抗すると、セリーニの方へと視線を向け叫ぶ。
「アンティ君!!ネリア君は言っていたよ……っ、君と過ごす日々が毎日楽しいと!!親友というのはああいう事かとっ!!」
「……っ」
「今が最初で最後のチャンスだ!!僕が牢屋に入ってしまえば友人の仇を打つ事はもうない!!最後まで前を向いた君も、復讐という寄り道ぐらいは許されるだろう!!」
「―――……」
「私が許可をする、さぁ!さぁ!!先ほど見せてくれた人を殺す目を向けて、僕に刃を突き立てると良い!!」
"早く来ないか!"というギルド隊員の言葉と制御に抵抗しながら叫び、セリーニの復讐心を煽るネイド。セリーニに殺されてもいい、命を散らす直前まで心の動きを見るというネイドの行為は、最後まで尽きる事のない "飽くなき研究心"。
「―――……復讐の方法は色々あります」
「そうだろうさ、復讐は良くないと綺麗ごとを並べている者達もいるが、突き動かされる感情をそのままに刃を向けて誰に迷惑がかかる!?さぁ!アンティ君!!」
セリーニは鞘持ち、柄を握って目を閉じる。脳裏に浮かぶのは友人――いや、親友のネリアの笑顔だ。
――そんなの気にしてるの?だめよ形に囚われちゃ。大事なのは"扱い方"であって、形式ではない。強い人が持っても、扱い方を間違えれば酷い事が起きる。
――でも、弱い人でも扱い方をしっかり理解してれば、刃物は助けになるもの。そういう物でしょ?
「でも私は――」
ヒュッ、と風を斬る音が総隊長の耳を掠めたが、腰の剣を抜く事無くセリーニの剣を見守る。目にも止まらぬその抜剣の速さ。ネイドは再び鞘に戻っていく剣身を唯々呆然と見ていると、パキン、と音が聞こえたと同時に視界がぼやける。
かしゃん、と床に落ちたのが己の掛けていた眼鏡であるという事実を五秒後に受け入れた。
「――私は、刃物の扱いを間違えない。決して。貴方を捌くのは私の欲に塗れた剣ではなく、悪事を捌く為に用意された法です。その法に従い、命を散らした全ての人間に償う為の命を、最期まで置いておいてください……!!」
「……ま、まってくれ、こんなはずでは、」
「いくぞ」
かち、と静かに鞘へと収まった剣から手を離したセリーニは、ぼやけた己の姿しか見えないであろうネイドに真っ直ぐ視線を向けながら、嘗て親友が語った言葉を昇華して伝える。
身体中の力が抜けたネイドが首を振ってなにかを否定するも、総隊長が隊員達に声を掛けて連れていくよう言うと、転送魔法陣に乗るまでネイドは叫び続けた。
ネイド、ナノスのギルド隊員や行政たちが居なくなった防魔法制御室。残っていた総隊長がセリーニの頭を軽く一撫ですると、作業中のエルミスの背中を見る。
「エルミス坊、任せていいのか?」
「あぁ!その代わりセリーニは置いておいてくれ!!」
「……りょーかい!!んじゃセリーニ隊員は置いておく!後は頼んだぞ!!」
慌ただしく手を動かすエルミスの背中に激を飛ばした総隊長は、エルミスの言う通りにセリーニを置いて転送魔法陣に乗って時計塔一階へと戻ると、通信機を操作してクネーラへと繋ぐ。
「そっちはどうなってる」
〈今!やってるわよ!〉
「そうか!んじゃとりあえず終わったらそっちから連絡してくれ」
木々のざわつく音、隊員達に指示をする大声、ツインズらしき咆哮、そしてクネーラの必死な声を全て通信機が拾って総隊長の耳へと入る。聞いただけで忙しいと分かるその背景に、手短に通信を終わらせた総隊長は、腰の剣を抜いてナノスの街に入り込んだ凶悪な魔獣を退治する為に足を進めた。
センター試験を受けた学生さん、お疲れさまでした!受かっても受からなくても、命さえあればなんでもできます。ご飯を食べる事も寝る事も、勉強する事もなんでもできます。一回きりの試験かもしれませんが、大学なんておじいちゃんが受験して入るほど年齢なんて関係ない場所です。なので、諦めずに前を向いて頑張ってほしい。ただ頑張りすぎはいけないので、適度にぼーっとして、たまにインコを愛でながらひたすらごろごろする日を作ってほしい。
今日のギャル曽根のチャレンジグルメに巨人軍でてるやん!!!!