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Chapter16-8

挿絵(By みてみん)





 薬箱の夜が明ける。薄明かりが広がるナノスの空の下、エルミスの居るホテルの部屋前でドアを数回ノックする音が廊下に響いた。



 その音に気付いたエルミスは、少し眠い目を擦りつつドアを開ける。不用心なのはノック音が特定のリズムを刻んでいたからだ。安心して鍵を外して相手を出迎えると、早朝には眩しすぎる二つの笑顔が返ってきた。



「や、おはようエルミス」

「おはようございますエルミス!」

「おはよーリーコス、セリーニ。……どうした?」

「総隊長に頼まれて、作業部屋に置いてある空のストッカーを取りに来たんです」



 セリーニの説明に、エルミスは昨晩作業部屋に入っていなかったので空のストッカーの存在を今知った。


 "とりあえず入れよ"、と言いながらエルミスは二人を入れつつ作業部屋のドアを開けて中を確認すると、大きな風呂敷が二つあった。昨日のうちに作ったであろう、大きな風呂敷にいっぱいの空のストッカーに、きっとナノス代表の指示だろうと考えたエルミスは、二人を呼ぶために作業部屋から出る。



 空気がカオスだ。そうエルミスはこの時感じた。





 まず昨夜、寝る前に"もがいて暴れるのが嫌だから手足を縛ってくれ"とレヴァンが言ったため、仕方なしに靴ひもを解いて、頭を引っ掻かないようにタオルで手を隠し、手首と足首を縛る。


 エルミスは一時間に一回、気になった事があればその都度報告するレヴァンの言葉をノートに書きこみ、丁度夜中の四時頃だろう、レヴァンの魔力が完全暴走を果たした。

 気分が高揚していた雰囲気から一変、身体の痛みを訴え、タオル越しからでも爪を立ててしまう程もがくレヴァンに、タオルの隙間から空のストッカーを挿し込んで握らせ、計十本のストッカーを満タンにしたところで魔力切れとなった。



 ずっと気分が良いと言っていたレヴァンは、魔力切れと共にぐったりとしながらも、興奮作用から解放された方が身体を無意識に使う感覚が無くなったと言った。


 身体を無意識に使う感覚というのは、きっと興奮作用によって暴走状態の魔力を解放しようと身体が勝手に動く状態の事だろう。魔力を全て出し切った為、もう興奮作用を覚える事はないし、身体の痛みも訴えなくなったレヴァンはそのまま眠ってしまった。






 そして、解いたままの靴紐と乱れたタオルが散らばるベッドに、眠る弟が居るという状況を目の当たりにしている姉セリーニは、ぽかんと口を開けて驚き、なぜエルミスの部屋にセリーニ隊員の弟が居るのか、という疑問を目線で訴えるリーコスが室内の雰囲気をカオスにしていた。



「……エルミス?」

「待てリーコス。お前はとりあえず色々誤解してる表情をしてるから何も考えんな」

「幼気な少年がただ無防備にベッドで眠っているならまだいい。だがこの靴紐とタオルはなんだ……?」

「おちつけリーコス。お前はマジで色々誤解してるからな。敢えて言っておくがオレはノーマルだ」



 要らぬ情報まで口走りながらもリーコスの相手をしているエルミスを余所に、セリーニは呑気に眠っている弟を起こしにかかる。弟の事だ、何かエルミスに迷惑を掛けているに違いないと察しているセリーニは、少し寝起きの悪い弟を揺すって目覚めさせると、後頭部の寝ぐせをそのままに起き上がったレヴァンは、色々な感情が織り交ざる空間に呑気なあくびを一つする。



「あれ、ねーちゃんなんでここにいんの?」

「おはようレヴァン。総隊長のお使いで来たんですよ。……ところで、なぜエルミスの部屋で眠っていたんですか?」



 後頭部の寝ぐせを手櫛で直してやりながら優しく質問をするセリーニに、弟の扱いが上手い、と睨み合っていた男二人は感じつつ言い合いを止めると、力のない寝起き声でレヴァンが説明をする。



「ちょっと色々あってエルミスと一緒に寝よーっておれが言った」


「エルミス」

「まて違うぞリーコス」

「色々じゃダメです。しっかり説明をしてください」



 説明を省いてしまったレヴァンに、先ほどのカオスの気配が呼び戻されようとしてたが、セリーニがしっかりと叱ってきちんとした説明を聞こうとした時、枕元に寝転がっている開いたままのノートが視界に入った。


 姉の視線の先が己ではなく横に置いてあったノートに注がれている事に気付いたレヴァンは慌ててノートを閉じるも時すでに遅く、



「……レヴァン」

「……ごめん、ねーちゃん」



 ――と、先に謝りを入れたレヴァンは、"どういうことかちゃんと説明してください"という姉の視線に対して正直に答える為、寝ぼけ頭を手で軽くかき混ぜたのだった。




みてみんめっちゃ重いけどどうした…?


改めてメリークリスマス。スモークチキンとエクレア食べて元気百倍!!!なお酒を飲んでぐだっている模様。


明日からchapterが新しくなります!21時に更新予定なのでお待ちくだされ。


あと45超えてるやん!!!!ありがたい!!!45以上の猛者がわいの小説に食らい付いてきてる、、、すごい事やでこれは!!記念絵描きます。だれのπを描けばええんや、、、?



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