幕間 いつか、いつか遠い日のこと。絶望の後で
「……それじゃ、あなたは——」
「なーに、君が気にすることじゃないさ。それに私は呪い持ちだ。もう、やりたいこともやった。命なんてその辺のナッツ一粒より安いさ」
「私はね、弟子と呼ぶのあまり好きじゃないのさ。もう家族だ。だからね、君も私の家族だ。アイツの愛弟子だろう?そこに理由は要らないんだよ」
「レイ、家族を想う親にならなくてどうすんだ」
黒紫の髪を靡かせながら、そう彼女は魔術が興て白んで行く世界の中笑いながら話してくれた。
無数の光の粒が散っていく。
これは彼女の——なのだろうか。
でも、なんで。
なんで、この人はそんなにも割り切れるんだろう。
なんで、この人は失敗すると思わないんだろう。
なんで、この人は飄々と笑っていられるんだよ。
なんで、この人はこんなにも
「さぁ、この大切な人を失う未来を変えてみせるんだよ!」
——馬鹿なんだろう。無理だよ、変えられるわけがない。
どうしても後ろ向きに考えてしまう、悪い癖だ。
だから、次は次はせめて前向きに繰り返そう。
どこからか重い、鐘の音が聞こえた。
まくあい
‥あひ 【幕間】
芝居の演技が一段落して幕をおろしているあいだ。芝居の休憩時間。