会話攻め
如月レイカーズの用務員兼、意思決定科学部門顧問となった主人公は練習風景を見ようとトレーニングルームに来た。まあ来た理由は仕事がなく暇だったから。
「よーむいーんさーん」
元気な声で主人公を呼んだのは、外野センターのレギュラーの今岡亜美である。綺麗な赤髪を後ろで束ねているのが特徴だ。
今季シーズンは長打こそ多く出たが、空振りが多く打率は残せなかった。
呼び声に応じて彼女に近づくと、一挙に女性選手に囲まれた。彼女達の興味はある一点である。
「用務員さんは瞳子さんの新しい恋人なんですか?」
「いや、違うで。」
尋ねたのは今季は二塁手で活躍した田辺ほのかである。ザ・ツインテール女子
「チームでは噂になってますよぉ。怪しいですねぇ。」
のほほんとした話し方をするのは今季遊撃手レギュラーの神崎彩香。ウェーブのかかった長い髪とたれ目が特徴。
「そんなことないで。自分はただチーム強化の方法を具申しただけや。」
GM瞳子は美人であるからこそ、主人公は否定する。身の程はわきまえてるつもりではある。
「怪しいなぁ。そんなことを瞳子さんが簡単に信じるなんて」
「稀代のナンパ師なんですよぉ、きっと。」
彼女たちの質問という名の戯れはしばらく続く。
「それにしてもチーム強化って、何をするんですか?」
長い質問攻めの後、今岡亜美ようやく本題? に入る。
「そうやなぁ、主にこれまでと違ったデータや指標でチームを強化すんねん。」
主人公は簡単にセイバーメトリクスについての説明をする。3人ともよくわかってなさそうな顔をする。まぁこの世界での常識ではないので、理解は難しいだろう。
3人のなかで今岡亜美はセイバーについて完全な理解は得てはいなかったが、何か心に引っ掛かるモノがあったようだ。
「出塁率か」
そう呟いた彼女は素振りをする。
彼女のなかで少しだけ何かが変わった。