瞳子の改革
神聖やきう王国のプロ野球チームの二部リーグの一つであるアトランティックリーグ所属の如月レイカーズは、今シーズンはリーグ2位で終わり昇格プレーオフには参加出来なかった。
選手編成責任者であるGMの瞳子は早速来シーズンのチーム構想について、主人公と相談しつつ考えていった。そして瞳子はある決断をする。
GM執務室を離れ、ここは選手トレーニングルーム
「聞いた?瞳子GMに逢い引きの噂があるの」
「知ってるよぉ。もう季節は冬だけど瞳子さんには春が来るんだねぇ」
「最近入った用務員の男だよね?」
「そうそう、仕事が恋人だった瞳子さんがねぇ」
ここでは主人公が瞳子の新恋人だと思われているようだ。チーム内の女性選手の最近の会話は、ほとんど主人公と瞳子についてである。自分たちの将来を決めるGMはあまり選手に好かれる例は少ないが、元選手で年齢も28と若い瞳子は人気があった。それゆえかこういった話題には女性選手はすぐに飛びついてしまう。
「そういや、瞳子さん。フロント幹部を集めて何かしようとしているよ。」
「やっぱり、結婚発表かな?」キャー
とあるミーティング室にて、瞳子はスカウトやコーチを集めて会議を開いていた。今シーズンのオフの選手編成計画と来シーズン以降の展開についてである。
「では2018年第1回編成会議を始めさせていただきます。まずこのチームの今後の目標と編成方針とについてです。」
反対はされるであろう。しかし瞳子は今までとは違ったことをしなければ、一部リーグ昇格はおろか昇格プレーオフにすら行けないと考えている。決意はした。
「まず今後の目標は3年以内の一部リーグ昇格、そのために選手育成とデータによる成績評価を重点に置くことです。」
スカウト部長もデータ班もうなずく。
「そうですな。うちのような金のないチームはそれで勝つしかない。」
「球種別打率やコース別打率、連打率、得点圏打率など、調査すべきことが多いな。」
「育成でもケースバッティングの習得や堅い守備力の向上で、良い選手に育てるプランを考えねばならない。」
コーチやデータ班からは旧来の意見が出る。そして瞳子は主人公を立たせて、新しいデータ運用を行う新部門について説明させる。
「主人公と申します。新設される意思決定科学部門の顧問に就任する予定です。」
「今後のアマチュア選手獲得、選手育成、FA選手獲得の方針についての提案をさせて頂きます。」