就職活動、そして意見の具申
「あーーー、がががががががががががが」
「めっちゃ寒い、しかも体が痛い」
一般的ブラック企業の社会人から、一文なしのホームレスへジョブチェンジをしてしまった主人公。結局夜は公園の遊具のなかで一夜を過ごすことになってしまった。
異世界へ転移してしまったので、頼れる知り合いはなし。そこで昨日、名刺をくれた美人さんを頼ることにした。
早速彼女が働いてる職場に向かうことにした。少しは何とかなるかも知れない。
チーム関係者に彼女に会いたいことを告げ、午後に会うことになる。そこ際に困ることに気づく。住所等の社会で生きるのに必要なものが自分には欠けていることだ。まさか異世界から来たとは言えない。
「来てくれたのね。会いたかったわ」
主人公は自分は記憶喪失者だと嘘をつくことにした。これを告げられた彼女は警察に連絡し、必要な行政上の処理をすることになった。
翌日、彼女はなんと主人公の身元引受人になってくれたのであった。そしてチームで主人公を用務員として雇うことになった。
「記憶喪失なのに、野球はわかるのね」
「野球は自分にとって一番の趣味ですから」
彼女は笑顔で答える。
「やっぱり野球は神技なのね」
後日、主人公は自分の持っているセイバー知識を、データ理論という名前で彼女に教えていく。ちなみに主人公はセイバーメトリクスの言葉の意味はわからない
まず彼女の悩みは選手の流出と補強する選手についてであった。主人公は如月レイカーズ、今季オフの二部リーグFA選手、一部リーグの自由契約選手の成績表を貰い、補強について自身の考えを述べていった。
主人公と会った後、瞳子はパソコンで選手成績表を確認した。出会った彼の考えについて考察するためであった。数年分のデータを参照した結果、彼の意見のほとんどが当たっていることがわかった。
長打率と出塁率を重視すること、初回のバントは得点の効率を下げること、エラー数ではなく補殺数も考慮に入れて守備範囲を評価すること、奪三振率の高い投手の価値、ゴロを打たせる利点。
そして翌日、彼の意見をより多く聞いた。
パソコンのデータを見ていく度に彼の意見の正しさが証明されていった。