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GM瞳子ちゃん

ビリー・ビーンのパクり

如月レイカーズのジェネラルマネージャー(以下GM)執務室でスレンダーな体型で栗色の長い髪を持つ女性が、眉間に皺を寄せパソコンに向かっていた。名前は(びん) 瞳子(とうこ)という。


彼女の悩みは今シーズン終了後の選手編成にある。主砲の安微 純(26)一塁手、先発三番手斎藤首夫(30)、クローザー安藤耳男(29)がFAになるからである。三人とも二部リーグでも屈指の実力者である。

王国やきう規定により二部リーグ在籍5年の選手にはFA権が与えられる。二部リーグ間で移籍する事が多いが、リーグ上位の活躍した選手はほとんどが一部リーグに移籍する。やはり大舞台での活躍と金銭は大きな魅力である。


「またドラフトに掛からない原石を発掘しなきゃね、純を見つけたように」

「二部リーグの間ですら、うちのチームは資金力があるとは言えないもんね」

「二部リーグのFA選手でうちに来てくれるのは、ほとんどが二部リーグのなかでも中小規模の選手だわ」


王国やきう規定によれば、一部リーグのチームは11月にアマチュアを対象としたドラフトを行う。1チーム5人までの制限があり、30チームあるので全体で150人が選ばれる。そこから漏れたアマチュア選手は二部リーグと自由に契約する。二部リーグから一部リーグへFA移籍した選手でスターダムに昇る選手も少なくはない。


瞳子はパソコンを閉じリラックスのために外にでることにした。今は何も考えずに街を楽しもうと。


街を少しブラリと歩く。如月レイカーズフランチャイズ球場のあるこの場所は街の西側である。とりあえず東側へ行くことにした。デパートを過ぎ、パブリックビューイングのある公園に着く。彼女は応援するファンの顔を見るのが好きなのだ。すると少し騒がしいファンがいるようだ。


「せやから、長打率と出塁率をもっと重視すべきやねん」

「何で長打率と出塁率をたすの~?」

「足すことには意味ないねん」

「じゃあダメじゃん!」

「そうやないねん。この2つの方が重要な指標やねん。」


ファンが選手やプレーについて語るのは瞳子にとって微笑ましいことである。


「曲がる速球wwww 真っ直ぐじゃないじゃん」

「違うって、速くて曲がる球や 意図的に回転量を落とすんや」

「それでゴロを打たすための球種や」

「回転の悪い速球なんてダメじゃん!」


瞳子は話を聞いていると、この訛ったしゃべり方をする男は普通とは違う野球観を持つように思える。


「アイツはエラーばかりで守備が下手だよ?」

「守備はエラー数で決まるわけではないんや 守備範囲も考慮すべきやで」

「そんなのわかんないもん!」



話を聞いているうちに瞳子はこの男に興味を持つようになった。滑稽な話をしているようで、何か合理的な気がする。


「得点にはな、打率や打点ではなく、長打率と出塁率から考えるべきや」


瞳子は直感的にこの男は何かを変えてくれる存在かも知れないと感じた。


瞳子はこの男に声をかけることにした。







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