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あれ?私まだ生きてる!?でもここどこ?

 狐の獣人 リエム・ナルストラと北エルフのミラク・カリエストロは、王都郊外の魔物を狩った帰り道を進んでいた。



 道の脇に行き倒れた狼の獣人が横たわっていた。



「死んでるのこれ?」

「死んだんじゃな~い」

「それなんか、異世界の料理人が言いそうだね」

「かもね。異世界があるか不明だけど」

「それよりもこれどうする?」

「あんたの仲間じゃないの」

「アイ アム ア キツネ!ソヤツオオカミアルネ」

「どこの国出身者かしら?それ…」



 王都から出る二十三本の通路。


 そのうちの一つに行き倒れた白い髪の狼の獣人。




 それは、ゲームのバージョンアップから逃げてきた白柏雪姫だった。



「とりあえず、あんたの家まで連れてくわよ」

「なんで!?ねえ!私は狐なんだよ!狼じゃないよ!?」

「いいから、行くよ」

「なんでさ~も~」



 高身長でモデル体型なエルフと少し小柄な狐の獣人に意識戻らぬまま、雪姫は連れていかれる。




 歩くこと十数分。



「んっ」

「あっ、起きたよ!」

「あれ?ここは」

「ここは新王都キラバラス。の八番通路から少し出て曲がったところ」

「つまり、住宅街ってこと?」



 まだ、視界が安定してはいないものの、周りには家らしきものが見えた。



「そうですね。住宅街と言えばそうですね。ただそこまで、治安は良くないです」

「こういうことが起きるのよねーしょっちゅう」



 前を見ると七人ほどの黒っぽい服を身につけた、the盗賊が立っていた。



 雪姫は察した。ここが自分の知る世界ではないと。



 また、この状況が不味いことも。



「リエ。あんただけでやれる?」

「ミラ?誰に向かってそれ言うとんのかな?ん?」

「リエだけど?」

「そういう話しちゃう!ま、いいけどね!」



 と、リエムが懐から短刀を出し、敵陣へ突っ込む。



 それに合わせ、盗賊も武器を構え応戦する。




 ただし、実力が違いすぎた。


 決着は一瞬にしてついた。



 当たりには赤い血が溜まり、盗賊は流血させたまま、全員武器を手放し…絶命していた。



「リエ。やりすぎ。殺すことなかったでしょ?」

「いいじゃない。うちのすぐ近くでこんなことされたくないし」

「え。あ?。あ…」



 頭の整理が追いつかない雪姫。



「急にごめんね。すぐそこ。私の家やからとりあえずおいでや」

「とりあえず、落ち着きましょう?」




 そう言われ雪姫はミラクにおぶられたままリエムの家へはいる。




 雪姫はソファーに降ろされた。



「さて!自己紹介しなきゃね!私はリエム・ナルストラ。狐の獣人だよ。見ての通り」

「私は北エルフと呼称される北極地エルフのミラク・カリエストロ」



 雪姫はなんとなく、先程の移動中に言われたことも合わせて、ここがゲームで最後にテレポートした先だというのは理解した。



「で?あなたは?道で倒れてたけども」



 急に話を振られ焦る雪姫



「え、ええと私は…雪姫。白柏雪姫」


 一瞬の静寂。



「ねえ。雪姫?もしかしてだけどその名前からして、転生者?」

「転生者?う、うーん。そうなる?かな?元々いた世界とは確実に別世界だから」



 言われてみれば転生者だなと思う雪姫。



「あの、失礼ですがどこ出身なのでしょか?」

「日本の愛知県名古屋市って所なんだけど」




 リエムとミラクは目を合わせる。


「雪姫さん。あなたは確実に転生者です」

「この世界。どの大陸にも日本なんて国はないよ」



 と、何故か悲しそうに言う二人に雪姫は戸惑いつつ。


「あ、あの。私は別に異世界に来たからと言ってなんも思わないよ?」


「「え!?」」


 二人は声を合わせて驚きの声を出した。


「な、なんで?!昔来たと言われてる異世界人は帰りたさから短剣で首元刺して死んじゃったから、雪姫もそうなんだと」



 どんなお豆腐メンタルだよ…と雪姫は思った。


「だって、私ね?元の世界で親が両方死んじゃってたから生きる価値が分からない。だから、異世界きたって変わらないよ」

「雪姫…なんか、ごめんな?」

「なんで?だって私を助けたんでしょ?なら謝る必要なんてないよ?」



 雪姫は笑いながら謝ってくるリエムへ話す。


「世界観。ねぇ。二人共、この世界について分かること全て教えて!」



 雪姫は二人の手を取り、尋ねた。



「わかりました。私達もしっかりと学校へ行ってる身ではないので、教えれることには限度がありますが、いいですよ」

「私は…なんも教えれないね。私、戦うこと以外知らないし」




 そうして、私はミラクからたくさんの情報を得た。


 この王都が現状、他の七大陸の中で最も頑丈な壁を持ち、最高峰の騎士部隊を組織していること。


 また、壁の外には魔物がはびこび、至る所にダンジョンが形成され危険であると。


 そこら辺はCRと似ていた。





 そして、リエムとミラクは外の魔物を倒し、素材を売って生活する。冒険者と呼ばれる人なのだとか。



「ねぇ?雪姫はこのあとどうする?私たちについてくる?」


 迷惑ではないのだろうか。


 急に道に倒れた転生者を家に運び、色々と教えてくれる。


 ただのいい人じゃん。


 それなら、大丈夫であろう。そう思い、勢いよく。


「一緒にいきゅよ!」


 空気が止まった。


 私は顔が赤くなるのを感じた。


「じゃあ!雪姫の装備揃えようか!まずは役職を見つけてからの!だね!」

「そうですね。かなり根気が必要な作業ですが頑張りましょう!」


 もしかしたらと私は思った。


 私はテキトーに被害が出にくい光属性に分類される魔法「フラッシュ」を唱える。


「フラッシュ」


 テーブルを挟んで座っていた三人の目の前に光る玉が発生する。


 それが静かに消えると。


「雪姫さん!今どうやってフラッシュを使ったんですか!?」

「え?短縮形魔法陣を使っただけだけど?」

「ま、魔法陣!?あの古代魔法の?」



 二人の焦りようを見て、私は慌ててしまった。


「え?え?こ、古代?魔法陣が!?」

「転生者ってすごいね…魔法陣を使う魔法は

 もう、歴史書とかにしか残ってないって聞いたけど」

「あの、雪姫さんはどこまでの魔法陣を?」

「え、ええとまずね?きっと私の職業、魔導法師なんだと思う。使える魔法はゼロ番まで使える」



 ゲーム通りでいけばゼロ番こと自作禁断魔法は自分で魔法を組み替え、作り上げる魔法で、並大抵の人はできない技術のこと。



 基本魔法は一番~七番。攻撃特化魔法は八番~四十八番。支援特化は四十九番~七十番。それから先の八十番台は組み換え魔法がメインで名称が複雑化する。そして禁断魔法。それは、明確な印がなく、説明不可である。


 という感じに書かれており、その先に刻印式と展開式が存在する。


 私は展開式を主に扱っており、刻印は「もの」が必要で、展開は必要ない。


 威力などの変化は小さいが規模が刻印と展開では全く異なる。


 刻印 ものが必要であるが、魔法による効果範囲が天災規模。

 展開 ものを必要とせず速攻で発動できる。が、刻印より範囲が小さく人災程度。


 また、刻印は作るのに時間がかかってしまう。

 それでも物好きはいるけども…



 要約すると、私強い。



「ぜ、ゼロ番!?て、展開?刻印?」

「展開式」

「す、すごいですね。禁断展開魔法ゼロ番式が使えるなんて」




 言い忘れてたが、ゼロ番って禁断魔法なんです。


 公式な名称がないのと、使える人が少ないことからロストナンバー扱いとしてゼロ。と表せるようになっただけである。


 禁断魔法っていうのは天変地異ほどの災害をもたらすほどの大規模。威力絶大。人類滅亡級の魔法を示します!



 ただ、私のゼロ番式。天変地異どころの騒ぎじゃないんです…


 ゼロ番式の普通の言い方は「禁断展開(刻印)魔法ゼロ番」なんですが、私が作り出したゼロ番式はその名も


 純禁断操作展開ゼロ番式魔法「刻」


 長ったらしいけどこれで最も問題があるのは操作可能。

 つまり、範囲も位置も全て決めれます。


 戦争に使おうとしたら私一人で勝てちゃいます。


「雪姫!そのゼロ番って何が起こるの!?」

「失う。真っ黒い球体が発生して、球体が触れた場所が存在としていなくなる」





 二人は言葉を失っていた。



 あまりにもそれは禁断どころではない。


 それがもし、王都の内部へ知られれば雪姫の身は保証できなくなる。


 危険性が故に殺す。または閉じ込める。


 きっと、戦力として使うことを恐るだろう。



「雪姫?それ、私たち二人以外には言わないようにね?いくらなんでも危険だから…」

「う、うん。分かったよ」

「とりあえず役職が分かったことですし、装備。買いましょうか」

「そうだった!!ミラク!早く!行こ!ほら雪姫も!」

「う、うん。待って!」



 拾ってくれたのがこの二人でよかった。そう思いながら。


 先程の道路へ出る。



 すると、そこには盗賊の死体も血も武器もなくなっていた。



 不思議そうに見ていると先に行っていたリエが、

「死体なくなって驚いた?ここら辺は死んだ獣人の霊が沢山いて、その中に灰狼って種類がいるんだけど…」

「それってさ?寿命?」

「霊になる場合は大体殺されてるね。ていうか獣人とかエルフって寿命が桁違いだし」

「ふーん。あ。ごめん続けて!」


 と手を合わせて謝りつつ、先に進めるよう促す。


「で。灰狼は、死肉を喰らって魂を留まらせる。だから、すぐに無くなっちゃうんだー。持ち物とかは他の盗賊が取っちゃうし」

「なんか、成り立ってるんだね」




 盗賊の死体がなくなった場所を後にし、王都の武具店へ向かう。



 道中、色々な人に凝視されたり、二度見された気がするが、気のせいだろう。


 いや。ミラクは高身長でモデル体型でありながら主張の強めな胸。リエは髪がまず金色で神々しい上にその色は耳や尻尾にまで広がり、服装も巫女服で統一され目を引く点があった。


 私もゲームないのアバターが故にオシャレにはかなり気遣っていて、可愛さには自信があった。



「はい。着いたよ」


 リエとミラクに連れられ歩いて十五分ほどで武具店には着いた。



「いらっしゃいませー。あっ!リエちゃんとミラクさんじゃないの!どないした?武器の耐久切れかい?」

「ちごーよ。きょーはこの子にあう、武器を作ってもらいたくてね」

「あら、リエちゃんより少し大きいくらいね。名前は?」

「あ、始めまして。白柏雪姫といいます」

「へー。で?このこの職は?」

「あっ…」


 私が職業を言おうとした瞬間、リエが私の口の前に手を出し、言葉を止めた。


「魔術師や。普通に杖作ってくれればええ。出来れば魔力アップ積んでな。私らの仲や」

「なんに?その子のこと好きになったか?ええ?任しときな明日までには作るよ」

「ほなよろしくなー」

「なんや、すぐ出てもうんか」

「そりゃーな。冒険者はいつも外に出ないと稼げんねや」

「ほんだらな、またいらっしゃいなー」



 なんか、元いた世界でも似たような喋り方をする人がいたような気がしつつ店を出た。



「さーて。雪姫?一度協定行って、私らと同じパーティになる申請しよや」

「リエ?雪姫さんは一緒に行くとは言ったけどパーティに入るかどうかは」

「そ、そうやな。雪姫?パーティを組むとな色々な利益はあんねんけど犯罪とか怒った時めんどいねんけど…一緒に来てくれるか?」



 急にリエの言葉が砕け始めてきたなーと思いつつ、何も不満にも思えない私は承諾し、協定へと向かうことにした。




 協定は思った以上に大層な建物で入口前には警備兵が二人立っていた。


「すいません。この先協定です。カードの方を…」


 言い終わる前にリエとミラクがそれぞれ違うものを見せた。


 リエは首輪に装着されたひし形の宝石。


 ミラクは腕につけたブレスレットを見せる。


「し、失礼しました!どうぞお通りください」



 門兵が慌てて敬礼をし、私たちを進めた。


「あ、あのリエとミラクって何者?」


 私は恐る恐る尋ねる。


「うん?王都内一ダンジョン攻略してるパーティ。どう!すごいでしょ?」

「これでも六十三個のダンジョンボスと七千近くこ雑魚を殺害していますので」


 とリエは無邪気に尻尾をバタバタさせつつ、ミラクは小っ恥ずかしそうに頬を赤らめていた。


 言ってることは物騒だけど。



 私はかなりやばい人に拾われたらしい。


 中へ入ると昔の西洋洋館みたいな見た目でたくさんの窓口が置いてあった。


 それが五階まで。六階と七階はお偉いさん用らしい。やっぱりいるんですね。そうですね。



「お待たせしました。冒険者登録とパーティ登録とのことでよろしかったでしょうか?」

「はい。記入欄に漏れはありませんので、お願いします」


 そう言いながらミラクが紙を手渡す。


「しっかりとお受け取りしました。では、こちらへ」


 担当していた女性職員がカウンターから出てくると奥の部屋へと誘導された。


 奥の部屋へ入ると中には長机と椅子。そして上にはカタログみたいな本があった。



「お座り下さい。冒険者である証を示すもの。お二方ならブレスレットにチョーカー。

形は様々ですので、こちらのカタログからお選びください」


 私はカタログを手に取り二人一緒に見る。


 本当に色々なものがある。


 変なものでいえば釘。誰がこんなものを選ぶんだ。


 と思った矢先、写真したの数字によると一応百人ぐらいはいるらしい。世の中広い。



「私はこのリボンかな~雪姫の髪の毛さ?いい感じに縛れんじゃない?」

「いいですね。魔法使うならそれっぽいアイテム。とかも思いましたが」

「ありがと。じゃあ今回はリエのを参考にするよ。じゃあこれでお願いします」


 とカタログのリボンを指さし職員の方へカタログを向ける。


「色の方はどうなさいますか?」

「青で」


 即決。青色が好きって言う訳ではなく白色の髪なら青とかなら合うかなーとかそんな考えだ。


「かしこまりました。すぐ、お持ち致します」


 といい職員は出ていった。


「すぐ渡してもらえるんだね」

「はい。それ自体に能力はありませんが、所有者が身につけると効果を発揮するらしいです」

「私のこれの能力は武器適正レベルMaxだったよ」

「私は使用魔力半減でした」

「二人共さ?チート能力じゃない?」

「バレちったか。そう。私たちはこの能力で上までこれたもんよ」



 扉が開かれ、職員の手にはリボンを乗せたトレーがあった。


「お待たせしました。どうぞ」


 職員がテーブルにトレーを置き、私の目の前まで滑らせた。


 手にとった瞬間、頭の中に文字が浮かんだ。


『スキル特性200%アップ

 職業特性150%アップ

 同行者にあたる人のステータス430%アップ

敵モンスターの攻撃速度・威力が5倍』


 ああ。私は察した。バランス取れてないと。




 その後、ミラクに髪の毛をリボンで縛ってもらい、少し残った分は尻尾の先を縛った。



 その後はとりあえずリエの家で就寝し、明日出来上がる予定の装備を回収するとのことで帰宅し、寝ることにした。













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