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はじめまして。

学校は基本的に8時10分までに行かなくてはならず、その後ぼくの学校には読書の時間というのが10分設けられており、各々が用意した本を独りでじっくり読んでいく。そして8時20分から朝の会というものがクラス単位で行われる。朝の挨拶や出欠確認、お知らせ事項など担任と日直主体で執り行われる。基本的にと最初に言ったが、一時間目の授業自体は8時40分から始まるため、これに間に合えば遅刻ではない。

その事を踏まえた上で、公園のトイレ左横にある柱の上の時計が8時30分を指していることをぼくは認識し、「やばいなぁ」なんて呟いた。

今朝、逃げるように家を出たのは7時20分だったはずだ。読書の時間に読む予定だった図書室で借りた「星と宇宙の本」はランドセルの中で今日の役目を終えている。

視線を段ボールに移す。見慣れた茶色の段ボールにオレンジ色の「愛媛みかん」の文字とミカンの簡略なイラストがある。

そして、その中の女の子。肩につくくらいの長さで、濃い紫色のさらさらとした髪。ピンク色の球体が2つ付いたヘアゴムで頭の右上部分の髪を結んでいる。少し頭の悪そうな髪型にみえた。

瞳の色はブルーやグリーンが混ざったような、深みのある綺麗な色をしていた。

ぼくと女の子は言葉がないまま一時間程を過ごし、始めに声を出したのは女の子の方だった。

「私の名前はポポロン、魔法少女よ。あなたの名前は?」

段ボールなんてものに体育座りをして入ってるにも関わらず、堂々とした声で自己紹介をしてくれた。少し驚きつつ、名前の後にあった言葉を考えた。魔法少女という職業は、小学六年生のぼくからすると夢物語だというのは十分理解していたはずだったが、人間離れした雰囲気を女の子から感じたぼくには、わくわくという感情を抱かずにはいられなかった。

そんな心のわくわくに数秒かかり、ようやく女の子の言葉に応答する。

「ぼくの名前は谷原優太(たにはらうた)、小学六年生だよ」



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