東方二次創作短編…ある日の図書館の魔女と普通の魔法使い
初めての二次創作。
おかしな点が多いいのでそれが嫌だと言う方は見ないことをお勧めします。
これはどこにでもありふれた話です。
「パチュリー、これ借りてくぜ。」
「駄目よ。あなたに貸して返ってきたためしがないじゃない。」
ここは紅魔館の地下にあるパチュリー・ノーレッジが管理する大図書館。
この会話は2人にとって日常茶飯事で挨拶のようなものである。
「そんなことないぜ。それじゃあまるで私が泥棒みたいじゃないか。」
「あら?私はそういったつもりだけど、あなたはそうじゃないと?」
「私はいたって普通の魔法使いだぜ。」
「どこの世界に人の許可なく本を盗っていく普通の魔法使いがいるのよ。」
「ここにいるぜ。それに盗んでるんじゃないぜ。死ぬまで借りてるだけだぜ。ちゃんと返すさ。」
魔理沙のその言葉を聞きパチュリーは溜息をついた。呆れと一種の寂しさを合わせて。
「魔理沙、私は貴方のその言葉が嫌いよ。」
「どの言葉がだぜ?」
「死ぬまで借りてくって言葉よ。」
「?なんでだ?」
「貴方からその言葉を聞くたびに、私の胸が締め付けられているように痛くなるの。」
「本当にどうしたんだぜ。パチュリー、お前らしくもない。」
いつもの様子じゃないパチュリーを見て魔理沙は茶化すことなく本気で心配していた。
「私らしくないか…そうね。確かに今の私はいつもの私じゃないかもしれないわね。魔理沙貴方はどうも思わないの?」
「何がだぜ?」
「いずれ訪れる結末のことよ。」
「私が死ぬことか?」
「えぇ、そうよ。」
「何も思わないわけじゃないさ。」
「ならどうして、あんな言葉を言うの?」
「そんなの考えたことないぜ。」
「私は怖くなるの…その言葉を聞くと。何度も何度も、誰かの死を見てきたのに。そのことを考えると…貴方がいなくなるのを考えると。」
「…」
「貴方は人間、一生の短い人間。私たちにとって一瞬が貴方たちにとっての一生。そんなことわかってるのに…」
パチュリーはそう言った後頭を抱えてしまった。
「パチュリー、私はそれでいいと思ってるんだぜ。」
「……」
「お前と私を例えるなら。人と花みたいなもんだ。」
「人と花…」
「あぁそうだぜ。私たちにとっての花は咲くと綺麗に感じ、枯れると悲しいと感じてしまう。」
「……」
「でも花はそんなことを思われても何も気にしないだろ。私もそれと少し同じさ。お前たちにどんなことを思われても変わらない。違うことはそんな短い時間でお前たちを追い抜こうとしてることだぜ。」
「魔理沙、貴方は魔女になるきはないの?」
「ないぜ。咲夜の言葉を取るようだが、私も一生死ぬ人間だぜ。人のままでお前たちを追い越したいんだぜ。」
「そう…」
「さっ、こんなしみったれた話は終わりだ。そんじゃこれ借りてくぜ、…まぁ、気が向いたときにでも返すぜ。」
「!待ちなさい魔理沙!」
「そんじゃまたな!」
魔理沙は箒に乗ると、凄まじい勢いで飛び去ってしまった。
「はぁ…全くもう。…でも…まぁ今回は特別に許してあげようかしら。気を遣わせちゃったみたいだし。」
おそらく明日には今日あったことなど魔理沙は覚えてないだろう。
また同じようにあの言葉を使うのだろう。
だがそれでもいいのかもしれない。
もう少しだけ、彼女のあの元気で一直線な姿が見れるのだから。
いずれ訪れるであろう結末までこのことは忘れていよう。
パチュリーは読みかけの本を閉じ、珍しく外に出ることにした。
魔理沙の言う花を見るために。