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序章 そして南へ……

 まえがき 

 少しずつ、時間をかけて休憩しながら書いていきます。


 久しぶりに書いたので、矛盾が出てくる可能性が高いです。

 気になったらご指摘ください。

 感想へのコメントは、何か話を投稿、更新した時に活動報告で返させていただいています。


 南部編の終わりまでは、二話ずつ毎日更新する予定です。


 ジャンルを『ハイファンタジー』から『アクション』に変更しました。

 前から指摘いただいていたのですが、ハイファンタジーというわりにファンタジックな要素が少ないので。

 倭の国から無事に帰還した私は、愛しい娘と再会できた。

 それから私達母子おやこは、末永く一緒に暮らしましたとさ……。


 ………………。

 …………。

 ……なんて事を思っていた時期が私にもありました。


 私は倭の国から帰還し、確かに娘と再会できた。

 そのはずなのだが……。


 何故か今は、砂塵の舞う荒野を歩んでいる最中だった。


「何でこんな事になっとんじゃー!」


 行き場のない怒りを虚空へぶつけずにはいられなかった。


 ただ、今回は前の時と違う所もある。


「いきなりどうしたのよ?」


 呆れた声が私にかけられる。

 振り返ると、アードラーの姿がある。


 そう、今回は彼女も一緒についてきてくれたのだ。


 彼女は普段、それ以外を着ている所を見た事がないくらいドレス姿ばかりだったのだけれど。

 今の彼女は私と同じ、長パンツを履いている。

 デザインは私のパンツと同じだが、彼女のパンツは真紅だった。

 シャツは漆黒である。


 シャツとパンツといういでたちは私と同じだが、着こなしと上着は違う。

 私のシャツはへそが開いているが、アードラーはぴっちりと閉じている。

 私の上着はシンプルな黒いベストだが、アードラーのそれは真紅の長袖だ。

 意匠が凝らされ、袖には黒のフリルがある。


 赤と黒のカラーリングが、剣で戦う弓兵のようだ。

 ちなみに、私と同じ無糸服である。


 その上で荷物袋を背中に背負い、ベルトにはナイフを佩いていた。

 完全な旅人の装束である。


「心が……叫びたがってるんだ」

「なら叫びなさい。やりきれない気持ちはわかるわ。でも、今回は前と違う。きっとすぐに帰れるはずよ」

「だといいんだけどねぇ……」


 確かに、倭の国と比べればここはそんなに遠い場所じゃない。

 でも、倭の国の時も当初はそんなに滞在する予定ではなかった。

 いろいろあって、その滞在が伸びてしまったのである。


 だけど今回こそは、さっさと片付けて帰りたい。

 アードラーもいるし、私が考えている以上に早く片付ける事だってできるかもしれない。


 ただ、不安が大きい。

 それは、歴史の強制力のせいだ。


 私は昔、自分が行方不明になる未来の話を聞いた。

 それは私だけでなく、アードラーも一緒にという話だった。

 だから、アードラーがいる事は心強くもあるけれど、不安もあった。


 でも、ここからどうして行方不明になってしまうのか……。

 どう考えても理由がわからない。


「わんわん!」


 吠える声、そちらを見ると真っ白な毛玉が尻尾を振って私を見上げていた。

 この毛玉、その正体は倭の国の山中に住む犬鬼の子供。

 名前を雪風という。


 そんな雪風を抱き上げるのは、一人の少女。

 彼女の名は、すずめ。

 訳あって預かる事になった恩人の娘だ。


 本当は、危険があるかもしれないこの場所に、この子を連れて来たくはなかった。

 でも、すずめちゃんはどうあっても私から離れようとしなかった。


 見知らぬ人間、それも言葉の通じない相手ばかりの所にいるのが不安だったのかもしれない。


 私にしがみつこうとする彼女の手。

 簡単にほどけるそれを私は、今度は振りほどく事ができなかった。


 彼女は、私とアードラーの会話を不思議そうに眺めていた。

 一応アールネスの言葉……というよりこの大陸の言葉を教えたが、すずめちゃんはまだそれほど上手くその言葉を使いこなせていないのだ。


「早く終らせて帰ろう。そう話をしていたんだよ」


 私は倭の国の言葉……前世でいう所の日本語ですずめちゃんに言った。


「うん」


 すずめちゃんは小さく頷く。

 彼女の口数が少ないのは、多分言葉の扱いに慣れていないからだけではないだろうな。


 今まで、同行者は私と雪風だけだったけれど、今はアードラーがいる。

 まだ、警戒しているのかもしれない。


 アードラーはアードラーで人見知りなので、あまり積極的にすずめちゃんと接しようとしない。

 アードラーは事務的な会話は誰とでもそつなくこなせるのだが、雑談などになると子供相手でも少しぎこちなくなる。


 元々のスペックが高いので上手く誤魔化しているが、今の私にはそれがわかる。

 まぁ、お互いに時間が経てば自然と慣れていくだろう。


「さ、行こうか。ちゃっちゃと終わらせて帰ろう」


 私は言って、歩き出した。

 南に向かって。


 私達が向かう先。

 それはアールネス南部の国カルダニアだった。

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