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第五章、捜査

 そのわずか五分後には近隣をパトロールしていたパトカーが先着し、それから三十分もしないうちに校庭は警察車両の群れで埋め尽くされた。ドラマでしか見たことがないような鑑識職員や刑事たちが次々と校舎の中に入っていき、校長や教師たちがそれに対応している。

 そんな中、会議に参加していたメンバーは全員会議室で缶詰になっていた。あの後、警察が来るまで部屋を見張っていた亜由美も、今は会議室に入っている。

 あれから、教師や警察関係者が必死に捜索したが、唯一行方不明になっている和光佐美代は見つからなかった。無断で帰った可能性もあったが、彼女の下駄箱には下靴が入ったままであり、外に出た可能性はこれで否定されたらしい。警察も、あの焼死体が和光佐美代であるという前提で捜査をしているようだと、十影も薄々感じ取っていた。

 こうしていると、四月に起こった盗難事件がまるでかわいく思えてくる。前回の被害は財布一つだけで、その財布も戻ってきたが、今回は人が一人死んでいるのだ。冗談でもなんでもなく、正真正銘の「事件」である。そして、十影はその渦中に放り込まれてしまっているのだ。

 ちなみにこんな状況にもかかわらず、火事のときにいつの間にか姿が見えなくなった倉品は会議室でいびきをかいていた。あの時、面倒な事になりそうだとすぐに会議室に戻ってしまったらしい。そのマイペース加減には、十影も本気で呆れ返っていた。

 と、そうこうしているうちに会議室にスーツ姿の男性が入ってきた。年齢は三十代中盤だろうか。その目つきは鋭く、一目で刑事だと十影は直感した。

「警視庁捜査一課係長の新庄勉です。本件を担当させていただく事になりました」

 そう言いながら、新庄という刑事は会議室にいるメンバーを値踏みするかのように見渡す。が、その視線が不意にある一点で止まった。

 新庄は怪訝そうな顔をすると、その視線の先の人物……亜由美に近づき、こう告げた。

「亜由美ちゃん、どうしてここに?」

 その言葉に、その場にいたほぼ全員が驚いた表情を浮かべた。これに対し亜由美は、

「新庄さん、お久しぶりです」

 と、涼しい表情で挨拶を返した。早苗が不思議そうに聞く。

「お知り合いなんですか?」

「私が探偵事務所でバイトしていたときに何度も会った事があるの。事件の捜査を依頼しに来られて、榊原さん……じゃなくて、所長がそれを解決したこともあったわ」

 そういえば、その榊原という探偵が警察と協力して犯罪史に名を残す事件を解決した事があるという話を十影も聞いた事があった。

「驚いたな。まさか教師になっていたとは」

「報告するつもりだったんですけど遅れてしまって。ところで、係長ということは昇進を?」

「四月付けで警部に昇進した。まぁ、積もる話はあるが……それよりも今は事件の話だな」

 その言葉で、十影は現実に引き戻された。亜由美の表情も真剣なものになる。

「新庄さんが来たという事は……」

「あぁ、検視官は本件を殺人事件と判断した。よって、我々捜査一課に捜査権が移った」

「さ、殺人、ですか?」

 遠藤が声を震わせながら聞く。「殺人」という言葉に、十影も小さく肩を震わせた。その言葉には嫌な思い出しかない。二年前の事件が頭に浮かんでしまう。

「ただの火事じゃなかったんですの?」

 百合奈が尋ねる。遠藤に比べれは落ち着いているが、やはり顔は少し青い。

「後頭部に裂傷が確認された。これが直接の死因と思われる。転倒した際の傷ではなく、明らかに何か鈍器で殴られた傷だ。また、遺体の周辺からは灯油の成分が検出され、検視の結果、遺体は死後に火が点けられたことが判明している。あの部屋には冬に運動部が使うストーブ用の灯油が保管されていたから、誰かがそれを遺体にかけた上で火を点けたんだろう」

「つまり、意図的な犯行というわけですね」

 亜由美が冷静に聞くと、新庄は頷いた。

「そこで、君たちにアリバイを聞きたいんだが」

「まるで、私たちの中に犯人がいるみたいな言い方ですね」

 珠美がポツリと言うが、それに対して新庄ははっきりと告げた。

「簡単に言えば、その通りだ」

「ど、どういう意味ですか?」

 遠藤が怯えたように聞く。普段の強気の態度が嘘のようだ。本当に逆境に弱いタイプらしい。

「現場は四階の廊下の北側のどん詰まり。四階に出入りするには中央の階段か校舎の南端にある非常階段を通る必要があるが、中央の階段の三階と四階の間の踊り場のところに複数の男子生徒がいて、十六時頃からずっとその場を動いていないという証言が取れている。そして、彼らは十六時以降に四階に出入りする人間は一人もいなかったと言っている。また、非常階段は使用する際にノブについたカバーを壊す必要があるが、四階の非常階段のカバーは正常だった。つまり、非常階段は使われていない。よって、事件前後に現場となった四階にいたのは、ここで会議をしていた君たちだけだ。つまり、被害者も加害者も四階にいた人間でしかありえない」

 さすがに現職の刑事だけあって、話にほとんど隙がない。と、律子が尋ねた。

「それってつまり、あの部屋で死んでいたのは、和光佐美代さんだという事ですか」

「我々はそう考えている。四階にいたメンバーの中でいなくなったのは彼女だけだからな」

 新庄はその事をあっさり認めた。改めて明言され、その場が重苦しくなる。そういえば、彼女とは結局一言も話さずじまいだったと、十影は今になって思い出していた。

「さて、彼女が被害者だと仮定すると、死亡推定時刻は彼女がこの部屋を休憩のために出た十七時ちょうどから、火災が発生した十七時二十分のわずか二十分間に限定される。この間の君たちのアリバイを確認したい」

 その言葉に、十影は早苗と顔を見合わせた。今回に関してはちゃんとしたアリバイがある。

「えっと、私と十影君はその時間、ずっと会議室にいました。寝ていましたけど、そこの彼も」

 早苗は倉品を指差しながらそう言うと、証言を続けた。

「十七時十分に三河さんが戻ってきて、十七時十五分に永村さん以外の生徒会の方々も戻ってきました。あとの人は知りません」

「会議のときの和光さんの様子は?」

「元々あまり自分から発言するタイプの子じゃないんです。会議中もあまり発言していません」

 早苗が思い出すように言い、他のメンバーも同意する。確かに口数が少ないという印象を十影も持っていた。逆に言えば、それだけになぜ彼女が殺されたのかまったくわからない。

「他の方は何を?」

「生徒会メンバーは生徒会室で後半の準備をしていました。ただ、それぞれが部屋を出入りしていたので個々のアリバイはちょっと……」

 遠藤が言いにくそうに発言する。

「生徒会室はどこに?」

「ここと同じ四階ですわ。でも、十七時十五分には永村さん以外は会議室に戻っていました」

 百合奈が言い添え、磯美も頷いた。続いて紗枝子が発言する。

「私は生徒会室の横の進路資料室で会議資料を探していました。でもなかなか見つからなくて時間が来ても探し続けていたんですけど、急に騒がしくなって外に出たらみんなが騒いでいて」

 次に発言したのは珠美だった。

「私は会議室の隣の書道室で寝ていました。見ての通り少し風邪気味で。書道室は畳敷きの和室で寝るのにはちょうどいいんです。私、書道部なんで保健室に行くよりはと思ってそこで寝ていたんですけど、急に騒がしくなって外に出たらあの有様だったんです」

「君たち二人は、事件発覚後に姿を見せた、か」

 新庄は意味深に頷くと、今度は律子に向き直った。

「君は? 休憩開始後十分間は会議室にいなかったようだが」

「トイレです。その後はずっと会議室にいました」

 律子は不満そうにしながらも簡単に答える。

「さて、最後は君だな」

 新庄は残る一人……すなわち第一発見者の永村愛子に向き直った。

「どういう経緯で事件を発見したのか、説明してもらおうか」

 愛子は青白い表情で新庄を見上げたが、やがて気弱そうな声でポツポツと語り始めた。

「その……休憩の後、会長たちと一緒に生徒会室に戻って作業をしていたんですけど……私はやる事があったので一人で生徒会室に残ったんです」

「やる事とは?」

「生徒会の書類仕事です。元々、彼女には顔見せのつもりで会議に参加してもらいましたから」

 遠藤が代わりに答える。

「それから、その……一人になってすぐにトイレに行こうと思って廊下に出たら……あの部屋の扉が少し開いているのに気がついて、誰かいるのか気になったんです」

「扉が開いていた?」

「その、ほんの少しでしたけど。休憩前には開いてなかったような気がしたので、確かめに」

「その時点では火事になっていなかったという事か?」

「は、はい。でも近づいていったら、その開いた扉から白い煙みたいなものが見えたんです。私、中に入ろうとしたんですけど、そしたら部屋の中は炎に包まれていて……しかも床に誰かが火に包まれて倒れていて……私、そのまま腰を抜かしちゃって……」

 後はみんなの知っている通りです、と、愛子はだんだん声を小さくしながら言った。

「なるほど、ね」

 新庄は小さく頷くと、言葉を続けた。

「さて、問題は誰が犯人かだな。状況的にこの中の誰かであるのは間違いないが」

 その言葉に、場が改めて緊張に包まれる。新庄はその場にいる全員を一瞥すると、

「一応聞いておくが、今この場で自首するという人はいないか?」

 と、尋ねた。全員が顔を見合わせるが、手を上げる者はいない。もっとも、新庄も期待していなかったようで、特に落胆する様子はない。

「まぁ、これで自首してくれるようなら警察も楽なんだがな。では……」

「待ってよ」

 と、不意に律子が立ち上がった。十影は何か嫌な予感がしたが、案の定、律子はまっすぐ十影を指差してはっきり告げる。

「一番怪しいのはどう考えてもこいつでしょ」

「何でだよ。まさか、俺が十影英太郎の甥っ子だからとか言うつもりか?」

「それ以外に何かある? この前の窃盗事件は犯人じゃなかったかもしれないけど、あなたが犯罪者の一族だってことには変わりがないわ」

 十影をキッと睨んで息巻く律子に対し、十影はため息をついて反論した。

「俺を恨むのは勝手だがな、今回に限っては俺にはアリバイがある。俺は休憩時間中も玉村と一緒にここにいたんだぞ。まさか、今度は俺と玉村が共犯だとか言うつもりじゃないだろうな」

 正論を言われて、さすがに律子も言葉に詰まる。

「大体、俺が何で和光を殺さないといけないんだ。俺は和光とは今日が初対面だぞ」

「そんなの……私だって知らないわよ。動機なんか後で考えれば……」

「はいはい、そこまでね。何の根拠もなしに犯人扱いはよくないと思うよ。それこそこの前の二の舞だし」

 早苗が割り込み、とりあえず二人の争いは収まった。と、続けて磯美がぼそりと言う。

「そもそもの話として、火が点いた瞬間に少なくとも犯人はあの部屋の中にいなければならない。だったら、火が点いた十七時二十分にアリバイがある人間は省かれるんじゃないの?」

 その瞬間、全員の視線がその時間帯にアリバイのない紗枝子と珠美に向く。だが、今度は紗枝子が反論した。

「アリバイがないからといってすぐに犯人だと判断するのは安易過ぎるし、火を点けるだけなら遠隔的にもできると思う。それだけで疑われるのは不愉快ね」

 何とも言えない一触即発の雰囲気がその場に漂う。

「……やめなさい。根拠もなしにこんな事を言っても無意味だわ」

 口を開いたのは意外な事に亜由美だった。

「意見を言うなとは言わないけど、意見を言う以上は玉村さんの言うようにちゃんと根拠も言わないとね。根拠のないことを言っても、誰も信じてくれないわよ」

 その言葉にはなぜか重みがあり、全員が口をつぐむ。それで場は収まったようだった。

 と、そのとき別の刑事が部屋に駆け込んできた。

「新庄警部。興味深い証言が取れました。被害者の和光佐美代ですが、授業が終了してから会議に出席するまでの間に誰かと会っていたようです。彼女がこことはまるで関係ない場所にいるのを同級生が目撃していました」

 その報告に、新庄が眉をひそめる。

「事件に関係あると思うか?」

「そこで何かあったのは間違いないようですね。その目撃者は被害者がそこから出てくる場面も目撃していますが、その際の被害者の表情が何か思いつめたもので、普段と明らかに様子が違ったので声をかけられなかったと述べています。何かがそこであったのは間違いないかと」

「どこだ?」

 新庄は端的に尋ねる。無駄な会話は一切ない。何気なくその会話を聞いていた十影だったが、しかし直後に刑事の口から飛び出した言葉に驚愕することとなる。

「旧校舎の旧美術準備室。被害者はそこに入っていき、五分ぐらい後に出て行ったとか」

 十影は思わず早苗の方を振り返った。早苗も緊張した表情をしている。

 旧校舎の旧美術準備室。そこにいる人間など、十影には一人しか思いつかない。

「金津……」

 思わず十影が呟いたその言葉を聞き逃すほど、新庄は甘くなかった。

「何か知っているようだね」

 十影は言葉に詰まったが、状況が状況だけに説明しないわけにもいかない。

「えっと、そこはミステリー研究会の部室で、金津麟五という子がいるはずです」

「それは間違いないかい?」

「はい。部員は私と十影君と麟五ちゃんの三人だけだし、和光さんが誰かと話していたなら、麟五ちゃん以外にはいないと思います」

 早苗が十影の後を引き継ぐように言う。新庄はそれを聞いてしばらく考え込んでいたが、

「……その金津という子の話を聞いてみたい。案内してもらえないか?」

 と、十影たちに尋ねた。もちろん、断れるわけがない。

「構いませんが……」

 と、そのときだった。

「その必要はない」

 突然戸口から声がかかり、全員がそちらの方を振り向く。十影には、その感情のない声に嫌というほど聞き覚えがあった。

「か、金津……」

 今まさに話題になっていた少女……ミス研部長・金津麟五が、普段と変わらぬ無感動な表情で室内にいる人間を見渡していた。


 それから十分後、十影は同じく四階にある印刷室にいた。コピー機や大量の紙が置かれている場所であるが、今は中央に机が置かれ、警察の臨時取調室となっている。新庄が麟五と対峙するように座り、十影は早苗と一緒に麟五の後ろに控えていた。

 いきなり自分から事件現場に姿を見せた麟五に対し、新庄は戸惑いながらも現在の状況を説明し、取調べに協力するように要請した。佐美代が殺されたという話を聞いても、彼女は表面上驚いた様子を見せる事はなかったが、そんな彼女が任意の取調べを受けるに当たって出した条件が、同じミス研所属の十影と早苗を同席させる事だったのである。刑事たちは戸惑ったが、最終的には新庄の判断でこのいささか特殊な取調べが実現する事となった。とはいえ、当の十影と早苗も自分がなぜここに呼ばれたのかわからず、居心地が悪そうにしている。

「約束通り、二人を同席させた」

「そう」

 麟五は感情もなく簡単に答え、新庄は軽く咳払いすると、事情聴取を開始した。

「まず聞いておこう。君が呼ばれもしないのに自分からここに来たのはなぜだ?」

「どうせ話を聞かれると思ったから、私の方から来ただけ。面倒なのは嫌いだから」

 刑事相手にもかかわらず、麟五は普段通り淡々と答える。

「つまり、自分が事件に関係している事を自覚していたという認識で間違いないか?」

「どんな事件かは知らなかったけど、少なくとも警察が私に話を聞きに来る事は予想できた」

「なぜそう思った?」

「警察もある程度予想できているはず。でなければ、私に話を聞こうという話が出るわけない」

 その言葉に、新庄は一瞬麟五をジッと見やったが、すぐにこう告げた。

「では単刀直入に聞きこう。君は被害者・和光佐美代と事件直前に話をした。間違いないか?」

 その問いに対し、麟五の答えは簡単だった。

「ええ」

 その言葉に、その場にいた全員が息を呑む。いともあっさりと認められて、逆に新庄の方が当惑気味の様子だが、それでも質問を続行していく。

「君と被害者の関係は?」

「同じ竹宮中学の出身。三年間ずっと同じクラスだった。それ以上でも以下でもない」

「特別親しかったわけではないのか?」

「同じクラスだったから話くらいはした事があるけど、友達というわけでもなかった。高校に入ってクラスが分かれてからは一言も話していない」

 麟五の答えにはよどみが一切ない。新庄は核心に切り込んでいく。

「では、君がそんな被害者と何を話していたのかを聞きたい」

 後ろで聞いている十影と早苗も緊張した面持ちで麟五を見つめる。が、麟五はそんなプレッシャーなど一切感じていないように言葉を続ける。

「約束事をしていた。ただそれだけ」

「その約束の具体的内容は?」

 それに対し、麟五は前髪の奥から新庄を見据えながらはっきりと告げた。

「もしこの後で事件が起こるようなら、その時は私に調べてほしい。それが彼女との約束」

 その場が静まり返った。新庄は何も言う事ができずに絶句している。十影と早苗にしても、同じような反応だった。一人涼しい顔をしているのは当の麟五だけである。

「被害者は……事件が起こる事を予想していたというのか?」

「そうみたい。殺人事件だとは思わなかったけど」

 まるで他人事のように麟五は言う。

「一体なぜ? 被害者はどうしてそんな事を予測できたんだ?」

「私が知るはずがない。私はただ、何かあったときに調べてほしいと頼まれただけ」

「どうして君にそんな事を?」

「大方、この前の盗難事件のことを聞いていたんだと思う」

「盗難事件?」

 新庄は訝しげな表情をする。

「それを説明するために、この二人をここに呼んだ」

 唐突にそう言われ、十影は思わず背筋を伸ばす。

「説明してくれるね?」

 十影は一瞬早苗と顔を見合わせたが、そのまま入学式直後に起こった財布盗難事件の一部始終を新庄に話した。

「そんな事が……いや、それより、君があの官僚殺しの関係者だったとは……」

 新庄は十影を見ながらそんな感想を漏らした。

「知っているんですか。二年前の事件を」

「もちろんだ。何しろ、あの事件を担当したのは、私が所属していた捜査班だったからな」

 その言葉に、十影の表情が少し厳しくなる。

「あなたが、あの事件の……」

「警視庁捜査一課斎藤班。私の上司だった斎藤警部が主任で、私はその補佐をしていた。正直なところ、あまりいい思い出のある事件じゃない。あまりに後味の悪い事件だったからな」

 そう言うと、新庄は首を振った。

「失礼、話を戻そうか。とにかく、君は被害者から事件が起こった際に調査をしてくれるように依頼された、と。それで、君はこれからどうするつもりだ?」

 これに対し、麟五ははっきり告げた。

「私にも、この事件を調べさせてほしい。ただそれだけ」

 単刀直入な言葉だった。

「……私がそれを許すとでも?」

 新庄が押し殺した声で問う。

「推理小説の読みすぎだ。一般人を捜査に混ぜるなどという事は許されていない」

「宮下先生の師匠である榊原という私立探偵は、警察によく協力していたと聞いている」

「あの人は元刑事だ。非公式にアドバイスを求める事はある。それに対して、君はただの高校生に過ぎない。窃盗事件を解決したかどうかは知らないが事は殺人だ。遊びでやっていい範疇を超えている」

「私は最初から遊びのつもりはない。そして、許可がもらえるまで引くつもりはない」

 新庄と麟五、二人の間の空気が張り詰める。それを見ながら、背後で早苗がささやいた。

「麟五ちゃんがここまで積極的なの、私、初めて見るんだけど」

 十影も同意する。確かに、自分から警察に出頭した事といい、普段旧美術準備室で本を読んでいる麟五からはまるで想像できない積極さである。口調や振る舞いが変わっているわけではない。だが、何かが今まで見てきた金津麟五という人物とは明らかに違った。

 両者はしばらく無言のまま対峙していたが、先に折れたのは新庄の方だった。

「……埒が明かないな」

 そう言うと、新庄は静かに立ち上がる。

「こんなことで時間を無駄にするわけにはいかない。いいだろう、情報は話してやる。ただし、さすがに現場に入れるわけにはいかない。それが最大限の譲歩だ」

「そう」

 普段通りに短く答えると、麟五は小さく頭を下げた。

「その代わり、君の持つ情報もすべて話してもらう。その調査の結果とやらもな」

 その言葉に、麟五は前髪の下から強い視線を新庄に向ける。

「私は、約束は守る。あなたとの約束も、もちろん和光さんとの約束も」

「つまり、解決してみせると? たいした自信だ」

 そう言うと、新庄は出口に向かい、ドアに手をかけた。

「少し待て。そろそろ現場状況の報告がある。話はそれからだ」

 そのまま新庄は印刷室を出る。後にはミス研の三人だけが残された。

「……前の窃盗事件とはえらく態度が違うな」

 十影が呼びかけると、麟五は初めて二人の方を振り返った。

「状況を教えてほしいのだけど」

「その前に聞かせろ。何がどうなってる?」

「言った通り。和光さんに事件の調査を頼まれた。だからこそ、私はここにいる」

 相変わらずの態度の麟五に、十影は眉をひそめる。

「どうして俺たちをここに呼んだ?」

「事件の話を聞きたかったのと、窃盗事件の話をあの刑事にしてほしかった」

「えらく自分勝手な話だな。だったら俺らでなくてもいいじゃないか」

 麟五の態度に、十影は少し腹が立っていた。が、それに対して麟五は涼しげに言う。

「他の人間の場合、その人物が犯人である可能性がある。だからこそ、一番犯人の可能性がない人間に話を聞くのが妥当」

「つまり、私たちは犯人じゃないと思ってるの? 話も聞いていないのに、どうして?」

 早苗の問いに対し、十影は「あなたたちの事を信じているから」的な答えを期待したのだが、残念ながらというか、いつも通りというか、麟五の答えはあくまで論理的だった。

「犯人でないとは言っていない。犯人の可能性が低いと思っているだけ。心理的に見て、以前殺人事件でひどい目に遭っている十影君が自分から殺人を起こす可能性は極めて低いし、何より十影君と和光さんに動機につながる接点が一切見当たらない。十影君が今日の会議に参加したのは偶然に過ぎないのだから」

「私は?」

 早苗は自分のことを指差しながら尋ねる。

「一ヶ月間付き合ってきたけど、あなたは嘘をつけるようなタイプじゃない。殺人事件を起こしたら、顔が真っ青になって自分が犯人である事が一目瞭然でわかるタイプ。少なくとも、今みたいに落ち着いてはいないと思う」

「ええっと、ほめられているのか馬鹿にされているのかわからないんだけど」

 複雑そうな表情の早苗であったが、十影は少し肩をすくめながら言葉をつないだ。

「まぁ、お前の見立てどおり、今回は俺らにはちゃんとアリバイがあるよ」

 十影は、事件全体の説明も含めて先程のアリバイ検証の結果を麟五に伝えた。

「……そんなわけだが、理解したか?」

 麟五は頷くと、口調を変えずに情報を整理する。

「被害者は備品室で撲殺され、さらに灯油をまかれて火を点けられた。死亡推定時刻は十七時からの二十分。容疑者はこの四階にいた被害者を除く一年委員長四人とその補佐二人、生徒会四人の合計十人。このうち、アリバイ的な話から十影君と玉村さんも外れて残り八人」

「自分で言うのもあれだけど、遠隔殺人って事はないの? 現場に行かずに殺せるとか?」

 早苗の疑問に対し、麟五は首を振った。

「ないとは言えない。でも、私は犯人が直接手をかけたと思う」

「なぜだ?」

「何らかの殺人装置を仕掛けたとして、どうやって和光さんを現場に呼び出すの?」

 逆に聞かれて、十影は詰まった。単純だが正論だ。

「確かに、普通はあんなところに一人でいかないよねぇ」

「偶然和光さんがあそこに行くのを待つというのはナンセンス。何かの理由をつけて行かせたとしても、装置がうまく作動するかわからないし、他の人間が装置にかかる可能性も高い。リスクが大きすぎる」

「……確かに、遠隔殺人は無理がありすぎるな」

 十影は納得しながら言った。

「となると、犯人は死亡推定時刻の二十分の間に、どこかで確実にアリバイがないわけか」

「だからこそ、アリバイのあるあなたたち二人は除外できる。それにもう一人、会議室でずっと寝ていたという五組委員長も」

「あぁ、そう言えば」

 十影はあのやる気のない倉品の顔を思い浮かべながら呟く。

「したがって、容疑者は残る七名に絞られる」

「でも、それでも多いよ?」

 心配そうな早苗に対し、麟五はあくまで冷静だ。

「だから、これ以上はこれからの調査と推理にかかっている」

「一人でやるつもりなの?」

 早苗の言葉に、麟五は無言で頷いた。

「これは私が頼まれた事。理論的に考えて、あなたたちに因果関係はない」

「関係ないだと?」

 その言葉に、十影は思わず声を荒げた。

「こっちは事件に直接巻き込まれているんだ。関係ない事はないだろう」

「それとこれとは話が別。あなたが私の調査に協力する理由なんて……」

「あるよ」

 不意に険悪ムードの麟五と十影の間に早苗が割り込んだ。

「私たち、同じミス研のメンバーでしょ。だったら、私たちにも調査に協力する義務があるわ」

 その言葉に、麟五と十影は思わず早苗の方を見た。

「それこそ意味がわからない」

「いい? 和光さんは旧美術準備室……つまり、私たちミス研の部室に相談に来たの。それで、たまたまそこにいた麟五ちゃんが調査の依頼を受けた。だったら、事はミス研全体にかかわる問題になると思うんだけど」

 言われて麟五が初めて押し黙った。言われてみれば、確かにそれはその通りだろう。勢いづいたのか、早苗は言葉を続ける。

「それとも、麟五ちゃんはその依頼が麟五ちゃん個人に行われた事を証明できる? 麟五ちゃんが言うには、中学が一緒だけの関係だったみたいだけど」

 麟五は黙ったままだ。というより、十影は麟五が言葉に詰まるところなど初めて見た。

「個人的な依頼じゃないなら、これはミス研全体の問題。私たちが調査に協力するのにも、ちゃんと因果関係はあるんじゃないかな」

 早苗は微笑みながら言う。麟五はしばらく黙ったまま考えていたが、

「……確かに、その意見は一理ある」

 と、唐突に告げた。

「じゃ、この三人で一緒に調査するって事でいいよね?」

「仕方がない」

 あっさり言われて、十影は逆に拍子抜けした。

「いいのか?」

「論理的に問題ないなら、私が否定する意味合いもない」

 あくまで論理を重視する、麟五らしい結論だった。早苗が十影に近づいて耳打ちする。

「麟五ちゃんは論理的に説明して納得さえしてくれれば、話のわかる子だと思うよ」

「お前もこいつの扱い方がよくわかってきたな」

「一ヶ月も一緒だったらね」

 早苗は軽くウィンクする。と、ちょうどその時、新庄が戻ってきた。

「待たせたな」

 そう言うと、返事も待たずに元の席に戻る。

「約束通り、事件の情報は教える。何が知りたいのかを言ってくれ」

 その言葉に、麟五は質問を開始した。

「現場と遺体の状況について知りたい」

「だろうな。私でも同じ質問をする。事務的に情報だけ伝えるぞ」

 そう前置きすると、新庄は話を始めた。

「現場の備品室は簡単に言えば物置で、ストーブなどが置かれていた他に、隣の物理室や書道教室の準備室的な役割も担っていた。鍵は担当の教師が完全下校時刻の後に閉める仕組みで、事件当時は開いていた。要するに、誰でも入れたわけだな」

 新庄はあくまで事務的に話を進める。

「遺体は十代後半の女性でセーラー服を着用……この学校の女子生徒の誰かと見てまず間違いないだろう。上半身を中心にひどく焼かれていて、身元特定については少々時間がかかるが、歯に治療痕が確認されたから、歯医者を当たれば遠からず身元はわかるはずだ。死因は頭部を鈍器で殴られたことによる脳内出血。いわゆる撲殺だ。凶器は不明。火は死後に点けられていて、生きながら焼かれたって事はない」

 ゾッとするような事を言っておきながら、新庄は表情をまったく変えない。

「あと、右手の甲に抵抗した際についたと思われる数センチの傷跡があったのと、左手に石油ストーブの電気コードが握られていた。倒れたときにとっさに握り締めたらしい。火はその石油ストーブ用の灯油を撒いて点けられたようで、近くに空のポリタンクが転がっていたよ。それと、奥の窓ガラスが火災による熱のためか粉々に砕けていた」

「事件の状況と各々のアリバイは二人から聞いた。永村という生徒会の子の話だと、火が点いてから犯人は出入口から出ていないとか」

「ああ。したがって、可能性としては遠隔の発火装置……どんなものかはわからないが、とにかくその類のものを使ったか、あるいは割れた窓から脱出したかだ。だが、後者は校庭から丸見えで非現実的すぎる。よって永村の証言を信用するなら放火については前者の可能性が高い」

 麟五は軽く頷くと、別の問いを発した。

「四階と三階を結ぶ階段の踊り場にいたという生徒は誰? どうしてそんな場所に?」

 その問いに対し、新庄は何とも言えない表情をした。

「何でも友人を待っていたらしい。互いにアリバイがあるから彼らが犯人の可能性はないが」

「友人を待っていた?」

 十影と早苗は顔を見合わせた。

「ちょうどいい。話を聞くか?」

 そう言うと、新庄は扉の向こうに合図をした。すると、待っていたかのように扉が開き、刑事の一人が二人の男子生徒を中に連れてきた。

 と、その姿を見て、十影は思わずエッと声を上げていた。これまたよく知っている顔だったからだ。向こうも十影に気づいたようで、気まずそうに手を上げる。

「よ、よう」

「大変な事になったねぇ」

 そこにいたのはクラスメイトの赤島と大西の二人だった。


「まぁ、簡単に言えば紗枝子のやつを待っていたわけだが」

「えらく仲がいいんだな」

「違う! 大西のやつが『せっかくだから鬼天さんを待っておこうか』とか言うからよ!」

 十影の言葉に必死に言い訳する赤島を、当の大西は相変わらずの温和な表情で見ている。

「つまり、会議が始まった頃から事件が起きるまで階段の踊り場にずっといたって事か?」

 十影の問いに、二人は同時に頷く。同時に新庄が軽く補足した。

「この二人は、その間、誰も階段を通らなかったと証言している。他に聞く事はあるか?」

「別に。それだけで充分」

 麟五の答えはひどくあっさりしていた。それを見ながら、赤島が十影に問いかける。

「なぁ、何で金津のやつがいるんだよ?」

「俺にもわからんが、事件を調べさせてほしいんだと」

 十影はどこか投げやりに答えた。そんな間にも、麟五は新庄に質問を重ねる。

「容疑者十人の詳細な動向は?」

「会議が休憩に入ったのが十七時。被害者と目されている和光佐美代は休憩時間と同時に会議室を退室。行き先は不明だが、おそらく現場に行ったんだろう。生徒会の四人も同時に退室して生徒会室へ。残りのメンバーのうち、三河律子はトイレ。鬼天紗枝子は進路指導室で資料探し。犬神珠美は体調不良のため鬼天にその旨を伝えた後書道室で仮眠していた。十影潔、玉村早苗、倉品英輔の三人はずっと会議室で、この三人には確実なアリバイありだ」

「生徒会メンバーの具体的な行動は?」

「会長の遠藤穣太郎は生徒会室で雑務処理。副会長の黒宮百合奈はこの印刷室で資料の印刷作業。書記の小松磯美は永村愛子と共に生徒会室横の生徒会準備室で資料整理をしていた。ただし、十七時十分頃に小松は作業を一人抜け、トイレに行ったらしい。三河律子がトイレから会議室に戻ったのが十七時十分だからちょうど入れ違いだな。十七時十五分には生徒会室に戻っている。遠藤、黒宮、小松は十七時十五分に会議室へ。永村愛子だけが生徒会室に残り、その五分後に事件を発見することになる」

 新庄の一方的な説明に対し、十影は四階の様子を思い出していた。この校舎は南北に伸びており、中央に唯一の出入り口である階段があって、その階段を挟んで南北にそれぞれトイレを含めて五部屋ずつある。一番北が事件のあった備品室で、そこから南に向かって物理教室、書道教室、会議室、男子トイレ、中央階段、女子トイレ、印刷室、進路資料室、生徒会室、生徒会準備室という並びだ。ちなみに廊下が東側で、部屋はすべて西側に位置している。

「まとめると、鬼天さんと犬神さんには二十分間すべてのアリバイがなく、遠藤会長と黒宮副会長は会議室に行くまでの十五分間アリバイがない。三河さんはトイレに行った最初の十分間アリバイがなく、小松さんはその後の五分間だけアリバイがない。発見者の永村さんは小松さんがトイレに行ってから事件発見までの後半十分間にアリバイがない」

 麟五は、新庄からの複雑な情報を一瞬でまとめ上げ、あっさりと整理してしまった。

「あの、会議に行くときに会長たちは永村さんに声をかけなかったんですか?」

 早苗の問いに、新庄が答える。

「最初から決まっていたことだったし、作業を中断させたくないという事で、特に声はかけなかったようだ。つまり、十七時十五分に彼女が生徒会準備室にいたかどうかは確認できない」

「分刻みのアリバイか」

 十影は思わず呟いていた。死亡推定時刻が二十分間に限定されているので、アリバイも必然的に細かくなってしまっている。

「容疑者はアリバイのある三人を除く七人。さて、ここからどう狭めるかだが……」

「その前に聞いておきたい事がある」

 不意に、麟五が新庄の言葉をさえぎった。

「現段階で、警察の考えている最有力容疑者は誰?」

 単刀直入な問いかけに、その場が一気に緊張する。

「……何の話だ?」

「警察が何の見立てもせずに捜査するなんてありえない。必ず、第一容疑者がいるはず」

 しばしの沈黙の後に、新庄は小さくため息をついた。

「……なるほど、被害者が君に依頼したのも頷ける」

「質問の答えは?」

「永村愛子」

 新庄の答えは唐突かつシンプルでありながら、この場に与えた衝撃は絶大だった。

「え? あの生徒会の子? 第一発見者の?」

 早苗が混乱したように聞き、新庄はそれにを黙って肯定する。

「第一発見者を疑うのは捜査の鉄則だ。それに、犯人の脱出の問題もある。仮にあの放火が遠隔装置によらないとした場合、犯人は部屋の出入口から脱出する事になる。だが、そうなると出火直後に事件を発見した永村愛子が犯人の姿を目撃していないのはおかしい。この矛盾を解決する方法として考えられるのは……」

「当の永村さんが嘘をついている場合」

 麟五の言葉に新庄は頷いた。

「つまり、部屋から出てきた犯人イコール第一発見者だったという構図だ。もちろん、これはあの火災が犯人によって直接火を点けられた事によって起こった場合の話だが」

 新庄は愛子を糾弾しながらも、あくまで慎重な態度を崩さなかった。

「火を点けられてから発見までの間にタイムラグがあった可能性はないんですか?」

 早苗が素朴な疑問をする。が、新庄は首を振った。

「部屋の火災報知機が鳴ったのは発見と同時刻だ。煙草の火でも反応する火災報知機が、数分間も火災の発生を見逃すはずがない。火災報知機の鳴った瞬間が、出火時刻と見て間違いない」

「つまり、火災発生は十七時二十分で動かないと」

「筋書きとしては、永村愛子はアリバイのない十七時十分から二十分の間に被害者を殺害し、灯油を撒いて火を点けて部屋の外に出ると、第一発見者のふりをした。現状では、これが一番しっくりくる犯行の構図だ。何より、遠隔放火装置なんていう曖昧な代物を考えなくて済む」

 確かに、そう考えると一連の犯行に無理な部分がない。

「……警察としては、永村さんを取り調べるつもり?」

「可能性がある以上、そうなるだろうな。もっとも」

 ここで、新庄は挑戦するかのように麟五を鋭く睨んだ。

「他の可能性でもあれば別だが」

 その言葉に、麟五はしばし黙り込んでいたが、やがて、こう答えた。

「少し考える時間がほしい。できれば、関係者全員のいる場所で。さっきの約束通り、十影君や玉村さんにも協力してもらう」

 それが、後にこの学校で伝説となる、金津麟五という少女による「推理対決」の開始を告げる言葉であったのだが、このときは当人以外そのことを知る由もなかった。

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