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フェフさん頭大丈夫です短編集  作者: 鹿角フェフ


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34/201

花咲かじいさん

 昔々、あるところにお爺さんと犬のポチがいました。

 ある日の事です。お爺さんとポチが裏山で散歩していると、突然ポチがこんな事を言いだしたのです。


ポチ

「ここほれワンワン!」


お爺さん

「なんじゃポチ! 突然日本語を喋りおって! よもや物の怪か!?」


 唐突な日本語ムーブに驚いたお爺さんですが、なんとかポチの言葉を信じてその場所を掘ってみることにしました。

 十数分もしたころでしょうか? その変化は突然訪れました。


お爺さん

「なんじゃこれは――あっ! これは原油! ポチ! わしゃ油田を引き当てたぞ!」


ポチ

「ワンワン! ワンワン!」


 なんと言うことでしょう。

 ポチの言葉通りに裏山を掘ると、石油の元となる原油が湧きだしてきたのです。

 尽きる事の無い原油。億万長者への切符が、唐突に目の前に現れました。


お爺さん

「でかしたぞポチ! それにしてもすごい! すごいぞ! こりゃあ祭りじゃ! 婆さんにも報告せにゃならん!」


ポチ

「ワンワン!」


 お爺さんとポチが喜ぶ間も、原油はどんどん湧きだしてきます。

 その勢いはとどまることを知りません。

 埋蔵量はいったい何バレルになるのでしょうか? ただただ途方も無い量が存在してるという事はハッキリと分かりました。


お爺さん

「わっはっは! 石油王じゃ! 億万長者じゃ! わっはっは! わっは――あっ!」


ポチ

「お爺さん! 危ない! あっ、やば!」


 しかし誤算がありました。

 原油の埋蔵量が多すぎたのです。

 溢れ出た原油はお爺さんとポチを軽々と飲み込みます。


 そしてお爺さんの帰りを待っていたお婆さんとその家も飲み込み、ついでに隣に住む意地悪爺さんをも飲み込みました。


 辺り一帯を飲み込んでなお勢いの止まらない原油は、遂に殿様の城までを飲み込んで、お爺さんが住んでいた国を全て飲み込みました。



 今でも原油の勢いは止まっていません。

 世界全てを飲み込もうと、ずっとずっと裏山から吹き出し続けているのです……。




石油王になりたいおわり。

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