124/201
海の怪談
男
「夏場、この海で泳いではいけないって昔から言われてるんだ」
友
「何を言ってるんだよ？ 別に波も荒くないし、穏やかな海だぜ？」
男
「いいや、駄目だ。そうだな、丁度今は黄昏時だし――ああ、見えた。よく目をこらしてみろ！ あの海の波間に見える物を！」
無数の手
『…………』おいで、おいで
友
「ひぃっ！」
男
「見えたか？ あの不気味な手の幽霊を！ これで海に入ったらダメな理由が分かっただろう？」
友
「あの手に引っ張られるって訳だな」
男
「ああ、俺もアイツらに引っ張られて水着のブラを持っていかれたんだ。とんだ奴らだぜ」
友
「その前になんでお前ブラしてんだよ」
人の趣味に口出ししたら駄目だと思うよ終わり
