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エピローグ

大会が終わって一週間という月日が過ぎた。


「じゃ、学校、行ってきます」

元気良く、玄関の扉を開けて私はそう言った。

「あっ、待って姉貴。今日は約束覚えてる」と家からでる寸前で話掛けてきたのは妹の奈保。

「当然。ゲームの相手ならいつでも相手になるわ」

「さすが姉貴。大好き」と笑顔で言われる。

妹に好きと言われるのには少しながら抵抗はあるが、やはり嬉しい。

「私もよ奈保。じゃ、急ぐから、また帰ったときにね」

「うん、いってらっしゃい」

「いってきます」

そう言って私は学校へと向かった。



「おまたせ」

「おはよう、まどちゃん」と笑顔で私を待ってたのは瑞希である。

「待った?」

「ううん。私も今来たところだから」

「そっか、なら行こうか」と会話をして私たちは並んで歩き始める。

「はあ」と歩いている途中で可愛らしい溜息を瑞希はついた。

「何、どうかした。溜息ついてると幸せが逃げるわよ」

「そうだね」と瑞希は苦笑いをして答える。

「ただ、まどちゃんは今で超有名人でしょ。私の知らないまどちゃんになっていきそうな気がして―――――」

そして再び溜息。

「嫌ね。有名人って言っても一種の人間だけでしょ。それに私が瑞希を手放す訳ないじゃない」

いつでも、どこでも、瑞希は私の瑞希。こんなに可愛いことを平気で言う、超稀少種を私が手放す訳が無い。

「ほんとー」

「もちろん」と作った笑顔で対応。

「ふふっ、やっぱり、まどちゃんはまどちゃんだね」と笑顔で返してくる。

この笑顔は計れ知れないくらいの高嶺の花。ただし私だけに向けられるため無料。

「何言ってるの。当たり前じゃない」

私はいつもどおりに不適で笑って言った。



私たちは全国優勝しても普段は普段で何もかわらない。

変わったのは、更にゲームを好きになったことくらい。

朝から妹に出迎えられ、瑞希と笑いながら登校。

昼休みには相変わらず越岩君と携帯用ゲームで対戦して、学校で睡眠。

そして、いつものようにゲーセンに行って、ゲームして、満足気分で家に帰ってからも更に妹と夜中までゲームをする。

それが私の日常。ゲームを愛して生きる私の日常。


近ごろ、地元では私をプリンセスと呼ぶ声は一層と強い。おまけに私のパートナーだったアイツをナイトと呼ぶ声も一層と強くなった。

私のパートナー。

大会が終わってからは顔を見ていない。

先輩ということもあって学年は一つ上のため、学校では顔を合わせない。

かといって、近ごろはゲーセンにも来ていない。

だが、だからといって気にはしなかった。


「さて、今日も連勝記録を更新するわよ」

私はいつもの対戦台に腰を掛けた。隣には笑顔で瑞希が待機。

「がんばって、まどちゃん」と可愛い声援。

さて、やろうかとスティックを握った――――そのとき。

「や、プリンセス。手合せを、お願いしてもいいかい」

隣に誰かが来て声を掛けてきた。

「―――――ふっ」と私は微笑した。

「もちろんよ。いくらでも相手になるわよ」

「ふふっ―――――今度は負けないからな」

「あら、誰にものを言ってるのかしら。私はプリンセスよ。最強無敗。貴方なんかに負けないわよ」

私は不適に笑って、相手にそう言った。

男は笑った。

「全く、君らしいな」



ゲームを愛する。

ゲームを楽しむ。

ゲームを支配する。

ゲームを想う。

狂愛者なのかもしれない――――――でも、それでもいい。

私は本当にゲームが好きだから。

これからも、この先も――――――ずっと――――――――ずっと…………………………。

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