プロローグ
世の中の為にならないもの。
その中に、よくゲーム、ゲームセンターと言う言葉を目にする。
『目が悪くなる』やら『子供の教育に悪い』『ゲームセンターは変なやつらが集まる場所』だの口々にそう言っている。
しかし!
私から言わせてみれば何をとぼけたことを言っているの?って感じである。
ゲーム。世界が残した人が生きるための道である。
ゲームセンター。私たちの理想郷。
ああ、ゲーム最高。これは世界の文化である。
そして私にとっては人生である。
まあ、気違いかと思うかもしれない。しかし、私はそれだけゲームを好きである。愛している。
そして、これは私のゲーム人生で一番の機転になった話である。
六限目がおわるチャイムが鳴り響いた。
つまり、このチャイムは本日最後の授業終了を現す音である。
「よしっ!」
机に座ったままの状態で小さなガッツポーズをとって見せる。
やっと学校終了!と私は心の中で叫ぶ。
すると……………。
「あははっ、まどちゃん学校が終わると、やっと元気でるね」と話掛けて来る声がした。
「ん、瑞希?」
私は隣の席に座る少女へと顔を向ける。そして教えるような口調で述べる。
「まあ、誰だってそうじゃないかしら?くだらない授業を聞いているよりも学校が終わった方が誰だってうれしくない」
「まあ、そうだけど………まどちゃんの場合は単にゲームセンターに早く行きたいだけじゃないの?」
少女は可愛らしい笑顔であははっと笑った。
彼女の名前は柿本瑞希。一言で言うと天然キャラ。私とは小さい頃からの付き合い。所謂、幼なじみと言う奴である。
私のことをまどちゃんと称していて、よくいつも時間をともにしている。
妹みたいな存在である。もーう、めっちゃくちゃ可愛いんだから。顔立ちもいいからクラスの中でも恐らく、かなりもてていると私なりには思う。
しかし念のために一応、言っておこう瑞希は私の瑞希だからね。そこらの男どもに瑞希はやらないわ。
「まあ、そりゃあ私にとってのゲーセンは魚にとっての水と似たようなものよ。ゲーセンの無い世界なんて生きていけないわ」
私は冗談半分に、そう答える。まあ、半分は冗談ではないのだけれども。
本当にゲーセンが無かったら私はただの廃人になっているでしょうね。そうすら思う。
まあ、つまり私はゲームが好きなのだ。ゲームセンターを我が家とも思うことができるくらい。
世界で自称一番のゲーム好きとは私のことである。
「あははっ、まどちゃんらしいね。今日も行くの」と瑞希。
「もちろんよ。瑞希は?今日、一緒にゲーセン寄っていかない?」
「え―――っと、うん。いいよ。今日も暇だしね。この前は服を買いに付き添ってもらったし」
瑞希は可愛らしく相づちをうって了承する。
「あー、そういや日曜に服買いに行ったわね」
「うふふ、そうだよ。まどちゃんは興味が無いことだと直ぐに記憶から忘れるからね」
そう。私は興味が無いことは直ぐに記憶から追いやろうとする。だって記憶しておくのに値しないことばかりだもの。私が頭に入れておくことはゲームの知識くらい。
「まどちゃん、可愛いのにまったく服に興味ないからね」
瑞希は可愛らしく、そう言った。
まったく………この子は人にばかり可愛い、可愛いと言って―――――。どうやら自分の可愛さに気が付いてないらしい。まあ、こういうところも、また瑞希の可愛さの一つであろうが―――――。
「まあ、興味ないって訳じゃないのよ。私も一応、女だしね。ただ服買うくらいなら新作のゲームを買ったほうが私にとって有意義な訳よ」と私が言うと。
「あははっ、まどちゃんらしいや」と瑞希はお決まりの笑顔で笑って答えるのであった。