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修練者用ダンジョンにて③

「何してるんですか」

「すいません、スタミナ切れました」

「休むなら【迷彩】使ったほうがいいですよ。ほら後ろ」


言われて後ろを振り返れば、こちらに向かってくる敵が一匹。

悪夢再び。かと思いきや。

今回は正面から飛んできた針が俺の頭のすぐ上を通ってムーブプラントに突き刺さった。

あぶなっ。

その間にも、先ほどよりスピードは落ちたが確実に経験値が増えていく。


「あの、これっていいんですか?」

「何のことでしょう?」

「養殖、っていうんでしょうか。人に狩らせて自分は何もしないっていうのが・・・」

「お構いなく。初期装備で敵を倒せないプレイヤーに対しては適正レベルまでフォローして差し上げるのが私達の務めです」


スタミナが回復したのでまた如月さんを追いかける。

結構食べたがスピードには変化がない。ついでに容積も増えていない。


「最も、レベル上げを行う種族はごくわずかですし、助言は最小限と定められております」


ということはやはり如月さんはチュートリアル系の存在なのか。

さすがに、オープンして間もないのにこの強さは有り得ないよな。

こんなスライムでもきちんと遊べるように心配りしてあったのが嬉しくもあり、複雑でもある。


「話戻しますけど、操作系ってどんなのですか?」

「別のモンスターを操作して使役します」

「それで敵を倒した場合の経験値は・・・?」

「使役されているモンスターが取得します」


意味ねーじゃん。


「じゃあその他ってのは?」

「同じスライム系列のモンスターの場合、合体することができます。合体は4対以上から。

 プレイヤーにとっては、一回の攻撃で合体した数体の経験値が入るので美味しいモンスターです」


不遇すぎる。


『レベルがあがりました。ヒゲルのレベルは5になりました。新たに取得できるスキルがあります』


おおおっ!?

急いでスキルウィンドウを開くと、【合成】【消化】【吸収】【吐き出す】のスキルが明滅していた。

明らかに一歩前進した気がする。


「如月さん!ちょっと待ってください!!」

「何ですか」

「スキル覚えたみたいですっ。【合成】とかいろいろあるのでポイント振りたいです」

「後にしてください」

「えええっ!!?」

「先ほども申し上げたとおり、時間がありませんのでさっさとついてきてください」


ううっ。

せっかくいろいろ試したいのに。

とはいえ、明らかに俺より知識のある如月さんが来いと言ってるんだから行くしかないだろう。

断れば俺の体は更に半分になる可能性もある。

さすがに今の俺では如月さんから逃げ切れる気はしない。


相変わらず【全力疾走】しながら基本の能力値を確認してみる。

HPやMPの数値は増えたが、能力は相変わらず二進数のままだ。

と思いきや、LUCKの値が97と少し減っている。

3は、今まで教会からやり直した数と同じ。

まさか残りの蘇生回数とかじゃないよな。

0になったらどうなるんだろう。


「如月さん如月さん」

「聞こえていますよ。何ですか?」

「LUCKの値って、死んだ回数とリンクしてたりしませんよね」

「・・・アイテムドロップ率とか関係してそうですよね」


如月さんにしては歯切れの悪い回答が返ってくる。


「ゼロになったらどうなるんでしょう」

「さあ?なったことがないので分かりませんね」

「ちなみに如月さんのLUCKって」

「1ですけど何か?」

「・・・なんでもないです」


予想が正しいかどうかは後で兄貴にでも聞いてみよう。


一生懸命走っていると、如月さんが立ち止まったようでマップ上の青い点が動きを止めた。

スーツの背中を久しぶりに見た気がして、ちょっとほっとする。

如月さんの目の前には青い湖が広がっていた。


「遅かったじゃないですか。待ちくたびれましたよ」


後ろの湖が無駄に反射して如月さんのシルエットに無駄なエフェクトがかかる。

映画のワンシーンのようにカメラ目線が移動して、スライムの俺が見える。

自分の姿こんなだったっけ。ちっちゃくなったなぁ。

キラキラした星とか花とか、顔の部分がアップになったり、俺にも無駄にエフェクトがかかってる。

頼むからハートマークは飛ばさないで欲しい。

カメラワークは俺と如月さんをぐるっと一周して元に戻った。

俺、男だから、こんな演出いらない。


「ちょっとこちらに来てください」

「いやです」

「別に取って食いやしませんよ。ほら。お・い・で」


ぞわわわっ


笑ってるけど笑ってない。言葉遣いは優しいけど気持ち悪い!!

断っても無駄なのは体験済みなので渋々近づくと、案の定わしっと掴まれた。

如月さんはしゃがんだ状態。俺は掴まれて如月さんの目の前に吊るされた状態。

でもって如月さんの目が明らかに楽しそうです。


「私、前々から気になってたんですけど」

「ななななんでしょう」

「スライムって泳げるんですか?」

「それはその、手ないですし、バタ足とか出来ませんし無理なんじゃないかと」

「何事もチャレンジですよね」


ぷちん。ぽいっ。


「いってらっしゃいませ、ご主人様」


ぽちゃんっ


「うあああああああ!!」


俺は更に半分になった体で、湖の中に沈んでいく俺を見送った。



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