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修練者用ダンジョンにて②


視界が鮮明になる。目の前にあるのはレイヤーなしのクリアな風景だ。


「食べられちゃいましたね」

「そーみたいですね」

「ちっちゃいままですね」

「誰のせいだと思ってんですか」

「HPは減ってないんですか?」

「そーいえば減ってませんね」

「よかったですね」

「よくないわーーーー!!!」


絶叫すると、如月さんが溜息をついた。

あれ、こんな展開前にもなかったか?

恐る恐る見上げると、如月さんはなにやら真面目な顔をしていた。


「そうか、レベル上げればいいんだ」

「はい?」


ぽんっ、と手を打ちこちらを振り向く如月さん。


「時間が勿体無いので狩りながらご説明致します。まずはパーティーを組みましょう」


返事をするまもなく、パーティ用のウィンドウが開いた。

向こうからのお誘いがあったようで、「はい」を選択すると如月さんのHP、MPが視界の左端に現われた。

『経験値分配、アイテム分配が設定されました』

視界の下の方でメッセージがスクロールし、システムさんが読み上げる。


「【全力疾走】でついてきてくださいね」

「ちょっと、あの、何で唐突に」

「つ い て き て く だ さ い」

「・・・はい」


有無を言わさないってのはこういうことを言うんだな。というのを身をもって体験中です。


「まず、種族レベルについてですが」


言いながら如月さんは駆けて行った。

声が聞こえるのはパーティーチャット状態なのだろう。

草原には初めて見るモンスターが点々としていた。


「敵と戦い得る経験値は種族レベルの経験値として蓄積されます」


如月さんが近づくと、何故か姿を消していくモンスター達。

遠すぎて名前の確認すら出来ない。とりあえず必死で追いかける。


「種族レベルが上がると、レベルアップ時に新たなスキルを覚えることがあります」


へー。


「戦闘系種族であればレベル3で【蹴打】、魔法使い系種族であれば【杖術】などがあります」


ふむふむ。とか言ってる間に経験値が見る見る増えていくのだが、これはよいのだろうか?


「ところがスライムには初期レベルで敵を攻撃するスキルが存在しません」


え?


「よって自力でレベルアップする手段がありません」



えええええええっ!!!?



*****



「・・・というのが公式の見解です」


『レベルがあがりました。ヒゲルのレベルは2になりました』

ヒゲル言うな。せっかく忘れてたのに。


「その言い方だと、自力でレベル上げできる方法もあると?」

「ここは自由がモットーの世界ですからね。スキルの組み合わせではどうにかなるんじゃないですか?」

「組み合わせっていってもなぁ・・・」


【逃げ足】はパッシブスキルで、敵にターゲットされてるときに敵から遠ざかる場合に限りスピードの補正がかかるとかいう説明だし、【綱渡り】はまだ使ったことはないが、どう考えても移動系のスキルだ。

今持っているスキルではどう組み合わせたところで攻撃スキルになるとは思えない。


「そういえば如月さんて何で攻撃してるんですか?MP減らないので魔法じゃないんですよね?スキルですか?」

「質問は大いに結構ですが、少しは自分で学ぶ努力もしてくださいね」


努力しても分からないから聞いてるっての!

こっちは初めてログインしてから2時間も経ってないってのに。


「・・・針みたいなもの投げてますよね」

「正解です。おそらく通常プレイでは取得できないスタイルだと思いますよ」

「【針使い】なんてスキルは存在しないってことですか?」

「半分正解で半分ハズレです」


走り続けると地形に少しずつ変化が出てきた。

一面緑色だった草原が所々茶色くなり、石が目立つ。


「【針使い】のスキルは存在します。ただし発現する条件が限られています」

「組み合わせによって不思議な効果を発揮するスキルってやつですか」

「そうですね。私と貴方の親密度が高いのでお教えしますけど」


え、親密度高かったの!?俺何か特別なことしたっけ?


「【針使い】は【鍼灸師】【裁縫】【釣り】の熟練度が高いと出現します」


確かに共通点はあるが、発現することを知らずにこの3つを極めようと思う人が果たしているのかどうか。

ふとここで別の可能性を思いついた。

が、今悩んでもどうしようもないわけで、目の前の状況をどうにかするのが先である。



『レベルがあがりました。ヒゲルのレベルは3になりました。【食べる】を取得しました』



「あ!如月さんがさっき言ってた【食べる】覚えたみたいです」

「よし、一個クリア」


試しに目の前の草を食べてみる。

もぐもぐ。

無味無臭。つまんねー。


「ええと、こほん。おめでとうございます」

「これで敵を倒すことはできない?」

「やってみれば分かりますよ。敵つれてきますね」

「結構です」


初期レベルスキルでは敵を倒せないって言ったじゃん。


「実は私昔スライムに食べられたことがありまして」


走り続けていた如月さんが立ち止まったのは、前方に軽く20体はいるであろうスライムの群れが見えたからだ。

しゃがんでしばらくすると如月さんの体から青い光が立ち上る。

張り詰めた空気が裂けるような音がして、前方のスライムが一斉に消え去った。


『レベルがあがりました。ヒゲルのレベルは4になりました』


「スライムの中はひんやりして気持ちよかったのですが、生憎急ぎの用事がありましたので切り裂きました」


うあぁ。意味ねー。

そういえばさっき食べた草もまだ体の中にある。

どうするんだこれ。

食べ続ければ容積増えるかな・・・?

もぐもぐ。


「では次にスライムの派生ですが。

 この世界に存在するスライムを大別すると、回復、応援、操作、その他の四つ系統が確認されています」


おおっ、なんだか面白そうな話だ。

しかしここでスタミナが切れた。

如月さんの姿が見る見る遠ざかる。

手持ち無沙汰なので草でも食べておこう。



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