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スキルはどんな感じでしょう

取れるスキルは多くない、といってもそれはボーナスポイントを振る前の話だ。

ダッシュで走り抜ければ、街の外くらいまでいけるんじゃないのかという安直な考えの下、SPDに20振って【逃げ足】【全力疾走】を取得。

これで生き伸びられる気はしないので、DEXにも20振る。

と、またスキルが増えた。

取れるものは全部取る勢いで取り捲る。何に使えるんだろうとか考えちゃだめだ。

【迷彩】【察知】【忍び足】【綱渡り】これで46使って残りのポイントは210。

まだ余裕がありそうなので、INTにも20振ってみた。

・・・スキルは増えなかった。


スライムなせいか取れるスキルは少ないが、いくらでもやりようはある。

周囲に溶け込みステルス状態になる【迷彩】を使いつつ【全力疾走】すれば距離は稼げそうだ。

熟練度あげたら、上位スキルが出現するかもしれない。

試しに教会の中で【全力疾走】を使ってみた。


ぽにょんぽにょんぽにょんぽにょん


ううっ、視界が揺れる。

速度は約二倍。俗に言う、びーだっしゅな速さ。

地味にうるさいので【忍び足】も使う。


もにょんもにょんもにょんもにょん


音の響きは変わったが、耳につく感じは変わらない。しかも連続でやると酔いそうだ。

教会の中を一周くらいしたところでスタミナが尽きたため休憩。

スタミナがゼロのうちは移動ができない。ふむふむ。

時間が勿体無いので【観察】を使ってみた。

向こうのヒューマンはNPCと会話をしているらしい。

寝転んでるノームはフレンドチャット中。

NPCのおっさんは優しくほほえんでいるそうだ。


そうこうしているうちにスタミナが貯まったので【迷彩】を発動。

そのまま【全力疾走】で、どのくらいもつか実験してみたが、【迷彩】は移動すると効果が失われることが判明。

はい、作戦練り直し。

スタミナがなくてもスキルは発動できたので、【全力疾走】+【忍び足】と【観察】+【迷彩】を交互に使いながら熟練度稼ぎをする。

時々【察知】も発動させてみたが、いまいち効果は分からなかった。


どのくらい経っただろうか。

走っては観察を繰り返してると、観察できる項目が増えたことに気付いた。

最初はキャラクターだけだったはずだが、今はステンドグラスも対象に入っている。

ちなみに同じ物を何度観察しても、最初の1回分しか熟練度は上がらないが、プレイヤーキャラは同一人物でも熟練度があがることが判明。

場所が場所だけにいろんなプレイヤーが現れるため少しずつだが、確実に熟練度は上がっていた。

【迷彩】を使ってる分、こちらが凝視しても向こうに気付かれないのは嬉しい。

こうやって見ていると、キャラクターはドワーフとエルフが比較的多い気がする。

続いてヒューマンやノーム、ゴブリン、ポークル・・・当たり前だがキャラ選択時に選択できる種族だ。

モンスターで見たのはワーウルフ、スケルトンくらいだが、武器と鎧は装備していた。

驚いたことにワーウルフは戦国時代の武将が着てるような鎧を装備していた。

それと、ちょっと錆びてるっぽい刀。これは武器のカスタマイズが可能と見た。

ってのがわかっても、装備のできない俺にはコスプレ系の楽しみは諦めざるを得ない。

僻んでてもしょうがないので、スタミナが回復した俺は教会の中を【全力疾走】する。

おっと、【察知】を使うのを忘れてた。

これを使わないと、何かに躓いてうっかり転ぶことがある。

転ぶと本がバラバラになって、おっさんに怒られた挙句、1Gの修理代を請求される。

何の話かって?

熟練度の調査もかねてNPCを何度も【観察】してたら、そんなに暇なら手伝ってくれと本の整理を頼まれたのさ。

というわけで、さっきからおっさんと奥の図書室を行ったりきたり。

2Gだがちゃんとアルバイト代ももらえる。

初クエストにして反復クエスト遂行中です。ようやくゲームらしきことをしてる。おめでとう俺。

面白いのは受け取る本が毎回違っていて、【観察】を使うとその中身が少しだけ読めるところ。

ついでに熟練度が2ずつ上がる。本ってすごい。


10回ほどこなしただろうか。

おっさんが奥から何番目の棚のどこそこに納めろって指示をくれるのだが、あれそれさっき行ったとこじゃね?と思ったら、最初に見た本と同じものを渡された。

残念ながら熟練度は上がらない。

数えるまでもなく、まっすぐ目的の本棚に向かい、躊躇なく本を押し込む。

ここで棚を間違えてると後でおっさんから怒られるのだが、もちろんそんなこともない。

このクエもそろそろ終わりか、なんて思いつつおっさんのところに戻る。


「お疲れさん、片付けついでにこの本を司書に返してくれんかのう。

 実は先日返さねばならぬものを、すっかり忘れておってのう・・・」


お使いキター。

ってか、期日は守れよおっさん。

これ俺が変わりに怒られるパターンだろ。


「司書は司書室におるが、仕事中は鍵がかかっていて入れんのだ」


王道パターンな予感がする。

目的を達成するためにアイテムが必要でそのアイテムを手に入れるためには・・・っていうやつだ。


「鍵は・・・どこじゃったかのう。忘れないようにメモをしてあったのだが。

 ああ、先ほどの本の中に紛れ込んだかもしれぬ。

 すまぬが探してきてくれんかのう」


おっさん、どんだけ物忘れ激しいんだよ。今度からジジイって呼んでやる。


ピンポーンと前触れもなく鳴った音と同時にスキルウィンドウが光った。

ジジイの悪口言ったせいかと一瞬焦ったが違うらしい。

開くと、【探索】スキルが数回明滅した。

『スキルを利用することでクリアできるクエストがあります。クエストやスキルはたくさんありますが、ポイントには限りがあります。

 スキルを取る取らないはあなたの自由です』

説明ありがとうございます。

つまりスキルを取らないとクリアできないってことですね。取らせていただきましょう。

ということで【探索】発動。

選択肢の中に「司書室の鍵」がある。

他にも先ほど片付けた本やらステンドグラスやらジジイなんかが含まれているので、アイテムだけじゃなくキャラクターも探せるとみた。

条件があるとすれば、【観察】を使った対象だろうか。

にしてはキャラクターが少なすぎる。プレイヤーキャラは除外ですか?

俺は迷わず「司書室の鍵」を選択。

すると空中に赤い三角マークが出て、この方向というのを教えてくれているらしい。

プレイヤーに使えたらストーカーし放題ということか。納得。

だとするとストーカーの原因になりそうなレアアイテムも、誰かが手に入れた時点で探せなくなりそうだ。


今のところの問題点はサーチ精度が悪すぎること。熟練度が低いせいだろう。

あるべき場所をしばらく過ぎないと赤い三角マークが変化しない。

壁にぶちあたっても、壁の向こうを指している状況である。

しかたないので、もどした場所をしらみつぶしに探すことにした。

棚のどこに本を戻したかは大体覚えている。

一番近い本棚はこれ。たしか2段目の右から5番目。


もよもよもよもよ


本棚によじ登る音がむなしい。

そしてこの本ではない。

降りるのは面倒なので一段低いところから。


ぺちょっ


この高さなら飛び降りても平気というのは経験済み。

ちなみに2段目以上から飛び降りると、ぐちゃぐちゃになった豆腐が見られます。

もう少し弾力性があってもいいと思うんだ。


そして次の本棚。


というのを4回ほど繰り返してようやく「司書室の鍵」を発見した。

よし。

次は司書室!

って、司書室はどこだ!?あれか!!ぼにょんっべちょっ

ちくしょうこけた。【察知】使うの忘れてた。


焦ってないし、わくわくしてるわけでもない。

と自分に言い訳をしつつ、司書室へ。

扉は普通に開いて、中にはカウンターの奥、こちらに向かって斜め45度を向き椅子に座って足を組んで本を読んでる髪の長い女性がひとり。


あの髪、うねうねしてるんですけど。

髪の毛先がこっちみて「シャー」って音が聞こえるんですけど。


「誰?」

「すすすいませんっ。あの、本を返しに来ました」



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