表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/25

坑内で掘り出し物を見つけよう②

「で、いいものって何ですか!!?」

「じゃじゃーん。魔法石なのニャ!」


役所でミケさんがこっそり耳打ちしてくれたやつだ。

何に使うのか、さっぱり見当がつかないが、多分いいものなんだろうけど。


「私としてはピアスやネックレスなどのアクセサリーに加工したいのですが、細工スキルがないばかりに。あああ残念」

「全然残念そうに聞こえないニャ」

「どうやって使うんですか?」


如月さんに尋ねると、人差し指を口に当ててにこりと笑っている。


「本人が使えるスキルや装備アイテムに関しては口を出せるものと出せないものがあるんです」

「面倒な立場なのニャ」

「手は出せるんですけどね」


だからって問答無用で千切ったり投げたりするのはやめてほしいです。


「魔法石は加工すれば装備の材料に出来るニャ。練成すれば覚えてない魔法でも一回だけ使えるマジックアイテムになるニャ」

「なるほど。これで敵を攻撃すればいいのか」

「そういえば補助系のスライムいるけど、あいつらはどうやって魔法覚えてるのかニャ?」

「それを私に聞くんですか?」

「知らないのニャ?」

「ノーコメントです」

「知ってても言えないってことは、可能性はあるってことですよね。でも今はそれでいいです。自分でもいろいろ試したいことありますから」


俺が言うと、如月さんとミケさんがこちらを向いて固まった。


「偉いのニャ!ヒゲル、見直したニャ!!」


普通の人間サイズだったら、がばっと抱きしめられる、が多分一番近い表現だと思う。

悲しくも今は2/3スライムサイズ。

握られ持ち上げられ、ミケさんの胸に押し付けられ、窒息寸前だ。


「とりあえず魔法石はひーたんにあげるのだ!好きに使うとよいのニャ」

「ひーたん、て俺のことですか」

「我が輩のことはミケでよいのニャ。あとそっちのきーたんも」

「きーたんはやめてください」

「じんたん?」

「却下します」

「むー。面倒くさいやつだニャ。せっかく親しみをこめて呼んでるのに」

「あなたと仲良くなる義理はありません」

「あの、お取り込み中すいませんが」

「何なのニャ」

「囲まれてます」


話をしている間に寄ってきていたモンスター、およそ10匹。

一体一、しかも相手に見つかる前ならまだしも、今回はすでにターゲットにされている。

何か出来ればよかったのだが、ほら、俺何もできないし?

正直なところ、この二人ならどうとでもなるような気はしていたのだが、奥の方、その辺でさっきから見かけてる雑魚とは明らかに違う、でっかいモンスター。


「やっと出ましたね」

「ボスのお出ましニャ♪」


ボスって強いんじゃないですか?

何で二人してそんなに楽しそうなんですか!?


「状況が状況ですので、作戦をたてますか」


いや、この囲まれてる状況で作戦たててる時間ないと思います。

と、心の中でツッコんでるうちに如月さんは針を投げていた。

まず、ボスらしきモンスターの動きが止まる。

そして次々と雑魚敵が歩みを止める。

動きの止まった敵にワンテンポ遅れて、それをミケが殴り倒す。

10匹倒せば終わりかと思いきや、ぞくぞくと集まってくるモンスター。

如月さんの射程圏内に入った順から、さっきの要領で光の塵になっていく。

新手のモグラたたきを見てるようだ。


「ボスがいると敵が切れないのニャ」

「麻痺してても部下の召還は可能のようです。仮死を狙いますので、少々後を頼みます」


雑魚への攻撃の合間を縫って、如月さんがボスに近づく。

仮死にするには、至近距離からの攻撃が必要なのかな。


「ひーたん、ごめんニャ」

「え?」


意味を理解する間もなく、問答無用で投げられる俺。

着地点は敵のちょっと向こう側。如月さんとは反対方向。

まさかこれが作戦なのか?

周りの景色がスローモーションのように流れる。


あーれー。


なんてふざけてる場合じゃない。着地してぽよんと1回はねた俺に向かって突進してくるモンスター達。

ギリギリのところで【全力疾走】を発動させ、俺はさっき来た道を逆走する。

【逃げ足】が地味に効いているようで、敵との距離は離れる一方。

スタミナも、まだ少し余裕がある。

今更だが、敵の見た目はゾンビやら蜘蛛やら蟻やらで動きはそれほど早くない。

途中新しく別の敵に見つかったりもしたが【迷彩】も駆使して俺は走り続けた。



*****



敵を振り切って気付いたら俺一人。

よくよく考えれば、今なら何でもやり放題じゃね?

そうと決まれば、早速決行。

まずは俺の操作圏内を把握したい。

やや奥まったところの行き止まりに陣取って【分裂】開始。

視点は二分割で、片方が一緒に動作しないよう練習してみる。

言葉にするのは難しいが、感覚的にはなんとなく分かってきた。

頭の上に分厚い本を載せたまま歩くみたいな感覚に近いと思う。

そうやって調整を重ねていくと、大体思ったとおりに動けるようになった。

次は片方をベースキャンプのようにして、偵察に出る。

ちらり、と曲がり角を覗くと、その距離わずか数十センチというところで、でっかい蜘蛛と鉢合わせた。


慌てて【迷彩】を発動しようとするのだが、多分間に合わないだろう。

そんなことを考えていたのだが、蜘蛛はこちらを攻撃する様子はない。

こいつはノンアクティブタイプのようだ。


「・・・びっくりした」


だが、先ほど如月さん達と進んでいたときは容赦なく襲い掛かってきた気がする。

何かターゲットされる条件があるのだろうか?

敵がこんな間近にいるのも怖いのだが、滅多にない機会なのでなんとなく【観察】を使ってみる。

『ケーブスパイダー:縄張りに足を踏み入れた者には容赦なく襲いかかる。暗くじめじめした場所を好む』

この至近距離で縄張りに入ってない俺ってどういうことでしょう。

ふとミケが如月さんに不意討ちされたとき、【察知】でターゲットがどうのって言ってたのを思い出した。

熟練度上げたいし使っておくか。


「げっ」


先ほどまで見えていた視界にレイヤーがかかり、あちこちに蜘蛛の巣が張られている。

蜘蛛が歩いてきた足跡のように、上下左右、不規則に敷かれたそれがおそらくヤツの縄張り。

今自分がいる場所は、奇跡的にそれがない部分。

他にも点々と巣がない部分はあるが、果たしてうまく渡れるかどうか。

いや、渡らなければなるまい!

と自分に言い聞かせ、次の場所に跳ぶ。

で、跳ぶのはいいのだが、俺はどこに向かえばいいのだろう。

如月さん達との合流を目指すべきだろうか。

だが、生憎マップに青丸は見えない。


・・・別に合流しなくてもいいんじゃね。


きっとこれは合流するなという神様の思し召しなんだ。そうに違いない。

そうと決まれば、あとは自由に進むだけだ。

どこいこう。何しよう。何ができるんだ?

まずは出口を目指そうか!

切れた【察知】を再度発動しつつ、俺は坑内をぽよんぽよんと進んでいった。


それが坑内の奥へ続く道とも知らずに。





更新を焦ったら話が雑になってしまいました。反省です。

次話まで多少時間が空くかもしれませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ