第1話 這えば立て立てば歩めの親心
処女作となります。
読みやすく、ハラハラ出来る物語を書いていきたいと思っています。
主人公は最強、という訳ではありませんが、それなりに強いですが、
普通の学生なので人間的には軍人には適いません。
また、物語等に齟齬が出る場合等が発生するかもしれません。
その場合、出来る限り、修正していきますので、若輩者ですが、宜しくお願いします。
※若干あらすじを変更しました。
――赤い稲妻が空を駆ける。
極限まで無駄を省いた機動で、己の敵への最短距離を通り、
自らの十八番である接近戦で敵を斬り伏せんと。
自らの得意距離である白兵戦に持ち込もうと、
正に稲妻の様にぐんぐんと僕に接近し、その右手に手にした光剣で、
こちらを両断しようと、今まさに必殺の一撃を放とうとしていた。
が、光剣はこちらを両断する事なかった。
僕が灰色の装甲でいなし、
倍返しとばかりにオートマチックライフルで銃弾を叩き込みカウンターを狙ったからだ。
赤い稲妻は機体を、横転させながら、それは読んでいた。といわんばかりに、
遠距離兵装での弾丸のシャワーを浴びせてくる。
必要以上に横転をさせている所を見ると、挑発も兼ねているらしい。
逃げ場は無いぞ、とせせら笑っているのだろうか?。
こちらが身に纏うのは灰色の鎧。
無骨なフォルムと、くすんだ灰色は一見地味であるが、
実用性を重視し、様々な局面に対応する為に自分が考えた、
この大会の為にアセンブルした機体である。
赤い稲妻の相手としては地味かもしれないが、地力で負けているとは思っていない。
こちらの構えは不動磐石。全てを受け流し、機を待つまで。
手に装備したオートマチックライフルを連射する。
空気を切り裂く音と共に、敵の回避機動の予測位置に凶弾を弾き出す。
敵を惑わせる様に機体を左右に揺らして、弾幕を避わし冷静に体勢を立て直す。
相対するは電光石火。
こちらの先読み射撃を、くるり、くるくると独楽が回るような独特な回避を行いながら、
大量の火器で自分のペースを作り、僕の事等お構いなしに、場を荒らし、
こちらの作戦などお構いなし、といった様子でこちらに迫り来る。
相手は隙あらば光剣で機体を貫こうとするその姿勢は、
まるで死神が鎌を振りかぶるのを、こちらに連想させる。
「流石世界ランカー…なんて機動だ…!それに、距離にも死角は無し…か。」
強力な広範囲攻撃を武器に遠距離戦を仕掛けてきたかと思えば、
こちらが遠距離攻撃にシフトすると、流星の様な速度で接近され斬り付けられる。
赤い稲妻の、暴れ狂う竜巻の様な猛攻をいなし続けている、
灰色の鎧を操っている人物。草薙 武は、一人愚痴る。
今彼らが行っているのは、
全世界で爆発的な人気を誇るVR型ゲーム、
【Freedom Sky】の世界大会の準決勝である。
VR型のネットゲームは、この【Freedom Sky】が大頭するまでは、
リアル過ぎる仕様のお陰であまり流行らなかった。
特に挙げられる問題として、
自分の体とかけ離れた体格を作る事が出来ない。という事が挙げられた。
顔の作り等を弄るのはどうという事はないのだが、
身長や体格を自分自身とかけ離れた物にすると思ったように操作が出来ず、
結果として顔以外は殆ど、現実の自分と同じ様になってしまうのである。
自分の分身、といえば聞こえはいいが、現実とは違う自分を求めるネットゲームでは、
この仕様は酷、という物だろう。
そのVR型ネットゲームの汚名を晴らしたのが、この【Freedom Sky】である。
人間ではなく、ロボットを操る。という事をコンセプトに設計されたこのゲームは、
最初に簡単な操縦方法を覚えたら、
後は自分の好きな様に、機体を動かすだけである。
その分、モデリングやモーションのパターンが大幅に増えてしまい、
処理能力が追いつくのかが問題になっていたが、
舞台を空にする事で処理を簡易化し、問題を解決している。
ロボット同士が戦うので、残虐な表現も無く、
操縦方法もシンプルな為、複雑な動きを覚える必要も無く、
その上、ロボットなので人間には取れないような機動も自在に出来、
機体のカスタマイズも自分好みで出来る等、
従来のVRゲームとは一線を画した出来になったのである。
評判は評判を呼び、結果として、ゲームは大ヒット。
当初は日本サービスのみであったが、
あれよあれよとスポンサーが付き、いつの間にか海外進出を果たし、
全世界で知らない人は居ないほど、有名なゲームとなっていった。
話を戻そう。
「クソッ…。これじゃジリ貧だ!」
オートマチックライフルの弾はとうに尽き、予備武器のプラズマピストルで応戦する。
威力は申し分ないのだが、この武器はライフルと違って連射が効かないのである。
ライフルの弾が切れてから、弾幕を張れず、敵の接近を許してしまい、
先程から光剣と銃弾の洗礼を浴びせられている。
攻撃を受けながらも、致命傷をかわし続けられているのが僥倖といったところか。
武の機体は万能タイプで、相手の苦手な土俵を探して戦う戦法を得意としているのだが、
相手は持ち前の機動力で自分の戦い方を押し付け、
その火力での短期決戦を得意としており、
特化型の機動性に翻弄され続け、相手の土俵から離れる事が出来ないのだ。
本来、この手のタイプは継戦能力が低い為、長期戦は苦手とされる。
しかし、相手は機体の運動エネルギーを弾に変換し攻撃する、
オートピッドという装備のお陰で、試合の主導権を終始握られていた。
この武器は非常に癖が強く、所謂イロモノ(ネタ)装備扱いをされていたのだが、
世界チャンプともなると、話は別の様だ。
「ネタ装備だと思ってたんだけど…。これで評価も変わ…ぐぅッ…!?」
積み重なっていたダメージのせいか機体を思うように動かせず
弾丸のシャワーが直撃する…のだが、武も一筋縄では終わらせるつもりはない。
暫く回避パターンを分析していた武は、カウンターを狙っていたのだ。
「黙って見てた訳じゃない!」
エネルギーキャノンをカウンターで叩き込むと、その砲弾は、
まるで吸い込まれるかの様に、相手の突き刺さる。
すざましい爆音と共に、エネルギーの帯が相手を飲み込むのが見える。
『損壊率85%オーバー。FCS、機体旋廻機能に異常発生。』
こちらも無傷と言う訳ではなかった。
システムアナウンスが無情に、機体の状態を告げる。
しかしながら、相手の機体も半壊しており、
赤いフォルムはくすみ、左手が千切れ飛び、所々から煙を噴出している。
「お互い条件は同じだ!同じ土俵で決着をつけるぞっ!」
武は近接兵装を選択し、挑発する様に構える。
武には狙いがあった。
相手も大分ダメージを負っており、
あちらとしても早い所決着を着けたいであろうと読んでいた。
必要以上に派手なパフォーマンスで相手を圧倒するスタイル。
その上、相手の得意距離で決闘を挑もうと言うのだ。
これだけお膳立てして、乗って来ない相手はそうそう居ないだろう。
狙うはクロスカウンター。
敵の攻撃をいなし、その勢い事返す刃で叩き切る。
こちらに分の悪い賭けであったが、武には99%成功させる秘策があった。
武にはこの大会で一度も使っていない、バインド弾を切り札として持っていたのだ。
尤も、射程距離が短く、連発が出来ない為、
接近戦を得意とする相手のカウンター使うつもりだったソレは、
決勝までその様なタイプには当たらず、装備枠を食い潰していたのだが…。
しかし、相手は自分の土俵に持ち込まれた事で、勝利を確信しているだろう。
油断している今しか無いチャンスだ。
相手も残っていた遠距離武装ではなく、光剣に持ち替え、剣を正面に掲げる。
まるで、騎士が決闘を始める様なポーズを取る。
構えを解くと、剣を構え、まるで流星の様に、こちらに突っ込んでくる。
武は全神経を集中し、機会を見定める。
敵が迫る――まだ早い、
剣を振りかぶり――焦るな、
読み通りの機動でこちらに――後少し
振りかぶった――今!
『助けてっ!!!!!!!!』
「なっ…何の声!?」
突然の声に武は呆ける。
が、世界チャンプがそんな隙を見逃すはずもなく、無防備となった武に、一閃。
『致命的損傷を受けました。機体機能を停止します。』
武の機体は両断され、システムアナウンスが武の機体が撃墜された事を告げる。
「…そんなのってないよ……。」
突然響いた聞こえた声のせいで、試合はあっけなく幕切れを迎える事になった。
戦闘シーンが始まるとごちゃごちゃした表現が多くなってしまいます…。
会話や日常シーンではもう少し読み易くしたい物です。
誤字や、意見、感想、お待ちしております。
※8/31大幅に添削しました