第100話:穴を掘った先に、青い空が見えた(ジ・エンド・オブ・ビギニング) ―60歳、最後のスコップで『未来』を抜く―
第100話:穴を掘った先に、青い空が見えた(ジ・エンド・オブ・ビギニング) ―60歳、最後のスコップで『未来』を抜く―
1. 地底の最深部に眠る「最後の一尺」
物語の締めくくりとして、盆山はベアを連れて、サンクチュアリのさらに奥……誰の手も入っていない、星の核の直上へと降り立った。
そこには、かつて彼がこの世界に降り立った時に、最初に突き立てた「あの折れたスコップ」の破片が埋まっているはずだった。
「……マスター。……ここを掘り抜けば、この星の魔導回路の循環は、100%の『完全定常状態』に入ります。……文字通りの、グランド・フィナーレです」
盆山は、赤いヘルメットを締め直し、最新式のスコップを構えた。
「……ああ。……11年前、俺はこの暗闇を必死で掘った。……何があるかも分からず、ただ、生きるために穴を掘った」
2. 施工:星の核への「最終接合」
最後の一振りが、地底の岩盤を貫いた。
その瞬間、盆山の視界は眩い光に包まれた。地底にいるはずなのに、彼の目には、かつての日本の青空と、この世界の黄金の夕焼けが混じり合った、美しい「新しい空」が見えた。
それは、星のエネルギーが完全に調和し、もはや「インフラ」を意識する必要さえなくなった、真の平和の訪れだった。
盆山が作り上げたシステムは、今、自律して「星の生命」そのものになったのだ。
「……終わったな、ベア」
「……いいえ、マスター。……完工検査がまだ残っています。……ほら、あそこの岩陰に、小さなヒビがありますよ」
3. 60歳の職人談義:『人生』という名の永久工事
盆山は、笑いながらベアの手を引いた。
「……ハハッ、違いねえ。……一生かかっても、俺の『完工報告書』は出せそうにねえな」
地底の奥深くから、二人はゆっくりと地上へ向かって歩き出す。
その背中には、もう「救世主」の重圧はない。
ただ、明日の朝、どこかの壊れた水道の蛇口を直すことを楽しみにしている、一人の「現場監督」の足取りがあった。
暗い穴を掘り続けた男は、最後に、世界で一番高い場所よりも高い「心の空」を掘り抜いた。
『アンダーグラウンド・サンクチュアリ:49歳の穴掘りから始まる異世界再生』
――全100話、これにて「仮設完了(暫定完工)」。
この後、109話まで付け足しています。良ければどうぞ(^ω^)_凵




