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アンダーグラウンド・サンクチュアリ:49歳の穴掘りから始まる異世界再生  作者: 盆ちゃん


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第71話:蒼き深淵の回廊(アビス・リンク) ―49歳、水圧と重力の狭間で「道」を拓く―

第71話:蒼き深淵の回廊アビス・リンク ―49歳、水圧と重力の狭間で「道」を拓く―

1. 大陸間物流のミッシングリンク

 「監督、いくらレヴィアタン(第68話)が安定したからって、空路(第63話)だけじゃ運べる荷物の量が知れてるぜ。穀物や建築資材の大量輸送には、やっぱり『レール』が必要だ」

 ガムリが、海上都市のデッキで強風に煽られながら叫んだ。

 月面からの重力制御により、気候は安定しつつあった。しかし、大陸間の物流は依然として嵐の残る海に阻まれていた。盆山茂(49歳)は、海図と地質調査データを睨みつけ、愛用の老眼鏡を指で押し上げた。

「……ああ。空が繋がったなら、次は『底』だな。レヴィアタンから本大陸まで、全長120キロの**『海底シールドトンネル』**をぶち抜くぞ」

2. 施工:超高圧・魔導シールド工法

 水深3000メートルを超える深海。そこでの掘削は、地上のそれとは比較にならない絶望的な水圧との戦いだ。

「アイリス、ルナ。月の重力ビームをピンポイントで絞れ。……掘削ポイントの直上だけ、海水の『有効重力』を軽減させるんだ。……それとベア、新型のシールドマシン『玄武』を投入しろ」

 盆山が設計した『玄武』は、直径15メートルの巨大な回転刃カッターフェイスを備え、その表面には「オリハルコン・セラミック」のチップが数万個埋め込まれている。

「いいか、ガムリ。シールド工法で一番怖いのは、先端の『切羽きりは』が水圧で潰れることだ。……魔法で常に泥土圧を均等に保て。……一滴の水漏れも許さねえぞ。……セグメント(壁面パネル)の裏込め注入は、通常の3倍の圧力で行け!」

 暗黒の海底。盆山は自らシールドマシンの操縦席に座り、振動と異音に神経を研ぎ澄ませた。

「……この音だ。岩盤を噛む音が少しでも濁ったら、すぐにカッターを止めろ。……深海の神様が『通れねえ』って言ってんだからな。……無理を通すのが仕事じゃねえ、理屈を通すのが職人の仕事だ」

3. 49歳の職人談義:『壁』の厚みが安心の証だ

 数週間にわたる不眠不休の掘削。ついに、大陸側の立坑とコンマ数ミリの誤差で貫通(貫通式)した。

 トンネル内には、地下都市サンクチュアリから続く「魔導リニア貨物線」が敷設され、巨大なコンテナが次々と海上都市へと流れ込んでいく。

「監督。……これで世界は本当に一つになったな」

 ガムリが、完成したトンネルの継ぎ目を撫でながら呟く。

「……いや、ガムリ。……繋いだのは『道』だけだ。……ここをどんな奴らが、どんな顔で通るか。……それが決まるまでは、まだ仕事は終わってねえよ。……俺たちは『安全な通り道』を用意した。……後は、この道を走る連中の誠意に期待するしかねえな」

 49歳の現場監督が拓いた、青き深淵の回廊。それは、大陸の孤立を終わらせる、文字通りの「生命線」となった。

71話~完~

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