表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンダーグラウンド・サンクチュアリ:49歳の穴掘りから始まる異世界再生  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/108

第60話:惑星の中間検査(プラネタリー・インスペクション) ―49歳、月の「制御盤」に油を差す―

第60話:惑星の中間検査プラネタリー・インスペクション ―49歳、月の「制御盤」に油を差す―

1. 月面着陸:静寂のドック

 バベル・シャフト(第55話)から射出された探査艇は、魔力嵐を突き抜け、数時間の航行を経て、ついに月面の「古代メンテナンス・ドック」へと着陸した。

 ハッチが開くと、そこには音のない、灰色の世界が広がっていた。だが、盆山たちの目の前にあるのはクレーターではなく、数万年の歳月を経てなお威容を誇る「超巨大な円形建築物」だった。

「……ここが、星の心臓部。……アイリス、案内しろ。……まずは『受変電設備』と『メインサーバー室』の場所だ」

 盆山は月面に降り立つなり、感動に浸る間もなく、手にした図面を広げた。

2. 施工:月面コマンドセンターの「再起動リブート

 アイリスに導かれ、彼らは施設の中枢へと足を踏み入れた。そこは、惑星全体の気候、魔力循環、そして地殻変動を制御する**「惑星管理システム」**だった。

 だが、その中身は見るも無惨だった。魔力回路はショートし、古代の冷却液が漏れ出し、至る所に「システムエラー」の警告灯が点滅している。

「……ひどいな。……これは『老朽化』なんてレベルじゃねえ。……完全な『管理放任ネグレクト』だ」

 盆山は、巨大な制御パネルの蓋をバールでこじ開けた。

「ベア、冷却配管の詰まりを魔法でパージしろ。……ガムリ、この焼き付いた回路(基板)を俺たちの魔導銀(第38話)でバイパスしろ!……アイリス、あんたはソフト面のバグ取り(デバッグ)だ。……今の惑星環境に合わせて、制御パラメータを書き換えるんだ」

 盆山は自ら、接点復活剤(風の魔導液)をスプレーし、古びたスイッチを一つずつ丁寧に磨き上げていった。

「いいか、どんなに高度な文明でも、最後は『物理的な接触』だ。……汚れを落とし、歪みを直し、適切なエネルギーを流してやる。……それがメンテナンスの基本だ」

3. 49歳の職人談義:『完成』の先にある『維持』

 数時間に及ぶ必死の作業の末、施設全体が低いうなりを上げ、青白い光を取り戻した。

 モニターには、眼下に浮かぶ青い惑星の状況がリアルタイムで映し出される。各地で起きていた異常気象や魔力溜まりが、月のシステムの正常化とともに徐々に収束していく。

「……盆山。……私たちの先祖は、これを作って満足して、そのまま放置してしまった。……でも貴方は、何万年も経ってから、一人の『修理工』としてここに来たのね」

 アイリスが、再起動したシステムを見つめながら涙を流した。

「……お嬢さん、勘違いすんな。……建てるのが『建築』なら、使い続けるのが『住まい』だ。……俺たち職人の仕事に、『完成して終わり』なんて言葉はねえんだよ。……さあ、中間検査は合格だ。……次は、ここを拠点に『本工事』に入るぞ」

60話~完~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ