表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンダーグラウンド・サンクチュアリ:49歳の穴掘りから始まる異世界再生  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/108

第34話:深層の穀倉地帯(グランナリー) ―49歳、食の「安全保障」を耕す―

第34話:深層の穀倉地帯グランナリー ―49歳、食の「安全保障」を耕す―

1. 10万人を食わせる覚悟

 「公爵領からの小麦の輸入が、天候不順で3割減ったか……。……これだから、外部に依存するインフラは脆いんだ」

 盆山は、駅ビルの食料品売り場で空になった棚を眺めていた。サンクチュアリの定住者は今や数千人、流動人口を含めれば万単位の胃袋を支えなければならない。

「ベア、地下1500メートル付近に、未開発の巨大空洞があったな。……あそこを丸ごと**『魔導式・大規模垂直農場』**にする。……太陽も、土も、雨も、すべて俺たちがコントロールする。……『不作』という言葉を、この街から消してやるんだ」

2. 施工:光のタワーと養分循環システム

 盆山が設計したのは、中央に巨大な「光の柱(人工太陽)」を配した、直径100メートルの円筒形農場だった。

「土は使わねえ。……すべて『噴霧式エアロポニックス(空中栽培)』だ。……ベア、以前ゴミ処理プラントで作った『魔力スラグ』から、純度の高いリンとカリウムを抽出して、培養液に混ぜろ。……それと、これだ。……『植物との対話インターフェース』」

 彼は農場の全区画に、植物の「ストレス」を検知する魔導センサーを設置した。水分が足りなければ青く、栄養が偏れば赤く光る。

 さらに、農場の壁面には「多層式・回転ラック」を導入。

「ガムリ、お前さんはこの回転機構の整備を。……すべての株が平等に光を浴びるように、24時間かけてゆっくりと周回させる。……重力さえも、成長を促すための刺激に変えるんだ」

3. 49歳の職人談義:『旬』さえもデザインする

 数週間後。地下深くに、見渡す限りの黄金色の小麦と、瑞々しいトマト、そして青々としたレタスの森が出現した。

「……マスター。このトマト、地上のどれよりも甘く、そして力強い味がします」

 王女エルゼが、もぎたての赤い実を口にして目を輝かせた。

「そりゃそうだ。……地下じゃ台風も来なけりゃ、害虫もいねえ。……植物にとって最高の『VIPルーム』を用意してやったんだからな。……でもな、お姫様。……時々は、あえて『冬』の寒さを味合わせる区画も作る。……苦労した方が、美味くなる野菜もあるからな」

 盆山は、広大な農場を見渡しながら、ふと思った。

 かつて日本のスーパーで当たり前のように並んでいた野菜たち。その背後にあった膨大な物流と、生産者の苦労。

 今、彼はそのすべてを地下1000メートルの自給自足システムとして完成させた。

「これで、誰が攻めてこようが、地上が氷河期になろうが、この街の連中が腹を空かせることはねえ。……食い物の恨みってのは怖いからな。……腹が膨れれば、大抵の争いはおさまるんだよ」

 49歳の現場監督が描く「聖域」。

 それは、技術、安全、そして食。生きるためのすべてが「設計通り」に回る、究極の文明圏へと進化を続けていた。

 第34話、完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ