第20話:地底の開会式 ―49歳、光の広場で「共生」を歌う―
第20話:地底の開会式 ―49歳、光の広場で「共生」を歌う―
1. 第1章の集大成:サンクチュアリ広場
「サンクチュアリ(聖域)」としての公式な開所式が迫っていた。
盆山は、これまでに作った各施設(風呂、キッチン、庭園、オフィス)を繋ぐ中心点に、巨大な**「中央広場」**を建設した。
直径50メートルの円形広場。その床には、ガムリが精魂込めて磨き上げた色とりどりの天然石が、美しい幾何学模様のモザイクとなって敷き詰められている。
「ただの床じゃねえぞ、監督! これはドワーフの伝統的な『万色の護り』だ。ここに立つだけで、呪いや悪意が浄化される仕掛けさ」
盆山はその中央に、ある「シンボル」を設置した。
それは、巨大な水晶の塊でできた**「魔導時計塔」**だ。
「地下にいると、時間の感覚が狂う。……だが、同じ時間を共有するってことが、共同体の第一歩だ。……この時計は地上の太陽と連動して、鐘の音で朝・昼・晩を告げる」
2. 開所式:種族を超えた乾杯
開所式当日。
エントランスからは、公爵、枢機卿、王女エルゼ、そして各国の使節団が続々とエレベーターで降りてきた。
彼らが目にしたのは、かつての暗く湿った「洞窟」の面影など微塵もない、清潔で光に満ちた、秩序ある地下都市だった。
「……素晴らしい。ここは、世界で最も平和に近い場所だ」
枢機卿が広場の壇上に立ち、宣言する。
「本日より、この『サンクチュアリ』は、いかなる国家の軍隊も立ち入りを禁じ、あらゆる対立を棚上げする『永世中立・聖域』として、魔導法典に刻まれるものとする!」
大きな拍手が響き渡る。
盆山は、隅の方でベアトリーチェとガムリと共に、その様子を眺めていた。
「……やれやれ。これでやっと、落ち着いて次の工事にかかれるな」
「マスター、主役がそんなところに隠れていてはいけません。……王女様が、貴方とダンスを踊りたいと仰っていますよ」
「……勘弁してくれ、ベア。49歳のオッサンが踊れるのは、ラジオ体操くらいだぞ」
盆山は照れ隠しに、自作のフルーツ牛乳をグイと飲み干した。
3. 宴の終わり、新たな始まり
宴が最高潮に達した頃、盆山は公爵に呼び出された。
「盆山よ。貴殿はこの素晴らしい場所を作った。……だが、これからは『世界中』から客が押し寄せることになる。……今のままでは、輸送能力が足りん」
盆山は不敵に笑い、ポケットから一枚の新しい図面を取り出した。
「わかってますよ、閣下。……エレベーター一台じゃ、流通は回らない。……だから、次はこれをやる」
図面に書かれていたのは、**『地下1000メートル・魔導リニア鉄道:サンクチュアリ本線』**の文字だった。
20話~完~




