夕焼けと深夜の世界の祝賀会
夕日がオレンジ色に空を染まる帰り道、3人と3体の御子は勝利の熱と重なって胸をじんわり温める。
「はーーーッ……疲れたネ! けど勝ったネ! 勝っちゃったネッ!!」
ハルカは両手を広げ、夕焼けの空へ叫んだ。
「テンション高けぇな……まぁ、嬉しいのは分かるけどさ…俺らの初勝利なんて……いや、思い出したくもないなぁ…」
シンが苦笑しながら頭をかく。
「ん?まぁ!当然ネ!!E.M.Aのデビュー戦勝利ネ!!
この勢いでアタシも美人マスターとしてテレビデビュー…ぐへへ、アタシってば天才ネ!」
「ハルカ様、その笑い方は少し品が欠けてますわ。」
「そうですぞ、悪役みたいでござる…」
流水寺はため息をつきつつも、どこか誇らしげだった。
「うるさいネ!喰らえアメリカンキック!!」
「いっっったぁ!」
「何だかアタシも身体を動かしたくなってきたネ!走るよメリー!!」
「はい。お供します!」
騒がしい2人を他所にECOが隣で静かに呟く。
「……マスター。
今日の私、どうでしたか?」
普段なら絶対に口にしない“確認”。
アリスのスキルで垣間見た、自分より遥かに上の世界。
それが、少しだけ不安を揺らしていた。
「ああ、十分すぎるくらい格好よかったよ。
正直、ビビった。けど……まだまだ伸びしろがあるって事だ」
「……そうですか………いえ、そうですね。」
と言われた、ECOは わずかに笑って見えた。
「そうでござるよ!能力が付与された物であれ、ソレを使いこなすのは別の話、適応できていたでござる」
ECOは胸をなで下ろし、丁寧に頭を下げる。
「アリスさん。お力を貸していただき、ありがとうございました。少しだけ、“上の世界”が見えた気がします。」
「いいのよ。あなた達、とても頑張っていたもの。
……それに、わたくしも久しぶりに“踊っている気分”でしたから。」
アリスは夕日に光る扇子をぱたぱたと扇ぎ、照れくさそうに見えた。
「あ、そうだ……メリー!!」
ハルカが隣に寄ってくる。
「よく頑張ったネ!アタシ、あんたの事……誇りに思うネ!」
「っ……ありがとうございます、ハルカ様。」
メリーは袖で口元を隠して微笑む。 その頬は、少し赤かった。
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◆そして『深夜の世界』へ帰宅――店の提灯の灯りが、彼らの勝利を祝福するように揺れていた。
『本日営業停止中』
見るからに馬鹿な張り紙を横目に、店に入っていった。
「お帰り、兄。 多分打ち上げするだろうと思って軽く準備しておいたよ」
シュウは1人で頑張って作ったであろう、肴をテーブルへと
「おう、ただいま……で、ありがとな留守番任せて!…よし。じゃぁ________祝賀会だぁ!!!」
「今日は飲むネ!飲むネ!飲むネ!!!『営業停止中』だから今日のアタシは客ネ!シン!とりあえず生ネ!!」
「………いや、給料天引だからな!」
「く……、水で我慢するネ……」
「嘘だよ!!」
「あ~もう怒ったネ!樽で持って来るネ!!」
4人と3体の笑いで店内は賑やかになったが、
瞬間、ドアが開き常連たちが駆け寄ってきた。
「おおおお!!やってるやってる!!笑い声が聞こえたからさ、来ちゃった!とりあえず生ッ!!」
「いやいや、『営業停止中』だから………って…素直に出ていくわけないよなぁ。ハルカ、酒は飲んでもいいから手伝え!給料かさ増ししてやるから」
シンは急いで厨房に入り、調理を始めた。
「ふん、アタシはそんな安い女じゃないネ」
「ほら、コレと食っていいからさ、」
シンはカウンターに揚げたてのアメリカンドックを置いた。
「…く、…3番テーブル行ってくるネ」
あっという間に店内はお祭り騒ぎだ。
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そして――気がつけばいつもの常連さん達で店はうまっていた。
「じゃあ、勝利を祝して……」
シンがジョッキを高く掲げる。
「「「かんぱーーーーいッ!!!」」」
ジョッキがぶつかり合い、泡と笑顔が弾けた。
その瞬間、居酒屋『深夜の世界』の夜が、これまでで今日も一番明るく感じられた。




