表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/67

『Teams E.M.A』 前編

「ん~~!気持ちのいい天気ネ!今日も頑張るネ!」


 昼下がり。

 扉を勢いよく開けたハルカは、明るい声で挨拶を放った――

 が、その声は途中で止まった。


 酔いつぶれた客たち。

 焦げた魚の臭い。

 割れたグラスの山。


 そして正座をしているシンとECO。

 その前で腕を組み、鋭い目つきのスーツ姿の男女が立ち、

 部屋奥からはシュウが心配そうにのぞき込む。


 店内の空気は、昼間とは思えないほど重かった。


 ハルカはそっと扉を閉めた。

 外で少し待ち、スーツの二人が出ていくのを見送ってから、再び入る。



---

恐る恐るシンに尋ねた


「……何があったネ!?」


シンは魂の抜けたような声言う。


「役所の人に、騒音と悪臭の苦情で怒られた……。

 “今回は多めに見ますが次は営業停止です”ってさ……」


 シンが魂の抜けた声で言う。


「原因は“閉店後の三次会”のようです。常連客の酒量、平均値の2.2倍。

 騒音レベル、93デシベルを記録です コレはライブ会場並みに匹敵します。」


「えぇと……よく分からないけど深夜にライブ会場並の馬鹿騒ぎ?この店はゴミしかいないネ!?」


「はい。そうです。」


 ECOは冷たい目で店内を見渡し、ハルカは頭を抱えた。


「もぉ~信じられないネ! ライブ会場並みってどんな騒ぎ方ネ!?」


「まったくです。」


「アタシ、早々とクビになるとこ________」


 と、その時。

 思いっきり戸が開き、ハルカの声をかき消した。


「頼もオォォォォォォォォォ!!!」


「ごきげんよう。」


 戸の前に立っていたのは、サングラスにマスク、深くかぶった帽子――

どう見ても「変装してますよ」と言わんばかりの流水寺だった。

その肩には、顔をヘッドドレスで包みながらも、凛とした気配を放つアリス・ゲートの姿があった。


ドアが勢いよく開いた瞬間、ECOが反応する。


「お久しぶりです。アリスさん。」


 その穏やかな声と同時に――シンの眉がピクリと跳ねた。


「うるせぇッ!? また怒られるだろうが!! ……って、なんだ…流水寺か……変質者かと思ったじゃねぇか……!」


「なんだとはなんだ!? せっかく変装までして来てやったのにぃ!!」


 流水寺は胸を張り、やけに誇らしげにポーズを取る。


「……いや、そのポーズが一番怪しいんだっての!!

それにお前は変装しても隠しきれねぇ"変人オーラ"が出てんだよ!!」


 ハルカがズイっと流水寺近づく。


「誰ネ?このうるさい男は?友達?付き合うのやめたほうがいいネ。シンも捕まるよ?」


「お褒めの言葉をありがとう。ってかーー……君は誰だい??」


「アタシはハルカ・ジョウガサキ! ECOの弟子ネ! アタシも御子使い、あの有名な"第四世代"メリーのマスターよ!」


「……弟子?メリー?…すまぬ、聞いた事無い!」


 流水寺がわずかに眉を動かす。


 シンがため息混じりに補足した。


「そう、勝手にECOに弟子入りして……我が店を荒らしまわる暴走娘です。」


「ノンストップガールと呼ぶネ!」


「奇人であったか…でメリーと言う御子は____」


「はい。私はコチラにございます。ハルカ様の御子"メリー"と申します。以後、お見知り置きを。」


 流水寺は小さく笑った。


「あ…コレはコレは…正反対な2人ですなぁ…ところでウチのアリスを知らぬとな?!」


「あぁコイツ(ハルカ)は最近ECOに憧れて参入してきた新人だ!何も知らぬ馬鹿だよ」


「それよりアリス?強い?アタシのメリーとどっちが強いネ?勝負するネ!!」


シンは慌てて止める。


「やめとけ!こんなんでも神楽ランク6位なんだぞ!こんなヤツだけど……実力は本物(ほんもん)だ…」

流石のハルカも驚ろく


「えぇーこんな男が6位の御子使いネ?!ECOより強いの?!こんなのが?!世界の終わりネ…」


「さっきから褒められたり、馬鹿にされたり…感情が複雑ぅ!!」


だな、優しく、アリスは凛として言う。


「大丈夫ですわ。こんなマスターでもわたくしは誇りに思ってますの。姿や形は所詮飾りにすぎませんわ。大事なのは心ですのよ」


「うわあぁぁぁん!!アリスだけが僕の味方だぁぁぁあ!!」


アリスは流水寺の手を鮮やかにかわす。


「それはそうと、あなた達、"久遠の刻"に出場したみたいね。どうかしら午後から“久遠の刻”の特訓にと思ってきたのだけれど。」


「どうしてそれを」


「拝見したわよ。"あの動画"とてもガッカリしたわ。あまりにも醜かったから……鍛えてあげるわ」


ゾグっECOの動作が強制停止させられたかのように、一瞬停まった。


「……大変見苦しい姿をお見せしました。マスター…まさかアリスさんからの誘いを断る訳ありませんよね。」


「あ…はい…いや店の準備が____」


「じゃあ今日は定休日にするネ!

 後ろのバカどものせいで“営業停止中”って張り紙はるネ!

 シュウ、準備するネ! ……いいかぁ、お前ら!?今日は休みネ!!」



「「………は~い(♡)」」



「いや、俺の店なんだが…………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ