『Teams E.M.A』 前編
「ん~~!気持ちのいい天気ネ!今日も頑張るネ!」
昼下がり。
扉を勢いよく開けたハルカは、明るい声で挨拶を放った――
が、その声は途中で止まった。
酔いつぶれた客たち。
焦げた魚の臭い。
割れたグラスの山。
そして正座をしているシンとECO。
その前で腕を組み、鋭い目つきのスーツ姿の男女が立ち、
部屋奥からはシュウが心配そうにのぞき込む。
店内の空気は、昼間とは思えないほど重かった。
ハルカはそっと扉を閉めた。
外で少し待ち、スーツの二人が出ていくのを見送ってから、再び入る。
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恐る恐るシンに尋ねた
「……何があったネ!?」
シンは魂の抜けたような声言う。
「役所の人に、騒音と悪臭の苦情で怒られた……。
“今回は多めに見ますが次は営業停止です”ってさ……」
シンが魂の抜けた声で言う。
「原因は“閉店後の三次会”のようです。常連客の酒量、平均値の2.2倍。
騒音レベル、93デシベルを記録です コレはライブ会場並みに匹敵します。」
「えぇと……よく分からないけど深夜にライブ会場並の馬鹿騒ぎ?この店はゴミしかいないネ!?」
「はい。そうです。」
ECOは冷たい目で店内を見渡し、ハルカは頭を抱えた。
「もぉ~信じられないネ! ライブ会場並みってどんな騒ぎ方ネ!?」
「まったくです。」
「アタシ、早々とクビになるとこ________」
と、その時。
思いっきり戸が開き、ハルカの声をかき消した。
「頼もオォォォォォォォォォ!!!」
「ごきげんよう。」
戸の前に立っていたのは、サングラスにマスク、深くかぶった帽子――
どう見ても「変装してますよ」と言わんばかりの流水寺だった。
その肩には、顔をヘッドドレスで包みながらも、凛とした気配を放つアリス・ゲートの姿があった。
ドアが勢いよく開いた瞬間、ECOが反応する。
「お久しぶりです。アリスさん。」
その穏やかな声と同時に――シンの眉がピクリと跳ねた。
「うるせぇッ!? また怒られるだろうが!! ……って、なんだ…流水寺か……変質者かと思ったじゃねぇか……!」
「なんだとはなんだ!? せっかく変装までして来てやったのにぃ!!」
流水寺は胸を張り、やけに誇らしげにポーズを取る。
「……いや、そのポーズが一番怪しいんだっての!!
それにお前は変装しても隠しきれねぇ"変人オーラ"が出てんだよ!!」
ハルカがズイっと流水寺近づく。
「誰ネ?このうるさい男は?友達?付き合うのやめたほうがいいネ。シンも捕まるよ?」
「お褒めの言葉をありがとう。ってかーー……君は誰だい??」
「アタシはハルカ・ジョウガサキ! ECOの弟子ネ! アタシも御子使い、あの有名な"第四世代"メリーのマスターよ!」
「……弟子?メリー?…すまぬ、聞いた事無い!」
流水寺がわずかに眉を動かす。
シンがため息混じりに補足した。
「そう、勝手にECOに弟子入りして……我が店を荒らしまわる暴走娘です。」
「ノンストップガールと呼ぶネ!」
「奇人であったか…でメリーと言う御子は____」
「はい。私はコチラにございます。ハルカ様の御子"メリー"と申します。以後、お見知り置きを。」
流水寺は小さく笑った。
「あ…コレはコレは…正反対な2人ですなぁ…ところでウチのアリスを知らぬとな?!」
「あぁコイツは最近ECOに憧れて参入してきた新人だ!何も知らぬ馬鹿だよ」
「それよりアリス?強い?アタシのメリーとどっちが強いネ?勝負するネ!!」
シンは慌てて止める。
「やめとけ!こんなんでも神楽ランク6位なんだぞ!こんなヤツだけど……実力は本物だ…」
流石のハルカも驚ろく
「えぇーこんな男が6位の御子使いネ?!ECOより強いの?!こんなのが?!世界の終わりネ…」
「さっきから褒められたり、馬鹿にされたり…感情が複雑ぅ!!」
だな、優しく、アリスは凛として言う。
「大丈夫ですわ。こんなマスターでもわたくしは誇りに思ってますの。姿や形は所詮飾りにすぎませんわ。大事なのは心ですのよ」
「うわあぁぁぁん!!アリスだけが僕の味方だぁぁぁあ!!」
アリスは流水寺の手を鮮やかにかわす。
「それはそうと、あなた達、"久遠の刻"に出場したみたいね。どうかしら午後から“久遠の刻”の特訓にと思ってきたのだけれど。」
「どうしてそれを」
「拝見したわよ。"あの動画"とてもガッカリしたわ。あまりにも醜かったから……鍛えてあげるわ」
ゾグっECOの動作が強制停止させられたかのように、一瞬停まった。
「……大変見苦しい姿をお見せしました。マスター…まさかアリスさんからの誘いを断る訳ありませんよね。」
「あ…はい…いや店の準備が____」
「じゃあ今日は定休日にするネ!
後ろのバカどものせいで“営業停止中”って張り紙はるネ!
シュウ、準備するネ! ……いいかぁ、お前ら!?今日は休みネ!!」
「「………は~い(♡)」」
「いや、俺の店なんだが…………」




