表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/106

第84話 『戦鬼』

2025-07-19公開



〔王国歴378年 従地神月ムウンゼウルラーザ 7日〕



『それはこの幼子おさなごに訊く方が早いぞ』



 白猫の姿でクラーラの膝の上で丸まっているエレムに声を掛けたが、返って来た答えは当分姿を消さないという遠回しなモノだった。

 

「シロチャンはどこにもいかないもん」


 当分の間は白猫姿で顕現し続ける事が確定した。


『そう言う事だ。明後日の出立式も我はこのままでいるぞ。その方がわずらわしくないからな』

「そうだな」


 

 謁見の場で初めて知らされたが、明後日は朝から王都内を行進する事になっていた。

 いくさなら出陣式となるのだろうが、新たに拝領した領地に向かうので出立式という名の式典を開催するそうだ。

 まあ、侵略を跳ね返して領土を得たのだから国威高揚の為にも行う予定だったらしい。


 そして、俺が先進型鎧兵アドバンスド・スケルトンを22体も引き連れて来た事を知ると、行進の順番を最後に持って来る事に決まった。


 まつりごとというヤツだ。

 

 明日、エイディジェイクス王国内の諸神教の全教会で一斉に新たな聖典のお披露目と、重大な発表が有る事は信徒に伝えられている。

 大地の揺れとその後に起こる魔獣ゴレーザー・ディエランの大氾濫について、遂に一般に公開する事になったのだ。

 

 そこで発生する不安を出立式で軽減する事が狙いだったが、先進型鎧兵アドバンスド・スケルトンの隊列を見せる事でさらに効果的になるだろう。


 なんせ、俺と先進型鎧兵アドバンスド・スケルトンの武名は鳴り響いているからな。

 ついた二つ名がよりによって「戦鬼」だからな。


 異名の元になった魔獣ゴレーザー・ディエランは、今では絶滅したと思われる人型の野獣ノナ・ディエラン魔獣化ゴレーズンしたものだ。

 異世界の知識を知っているから分かるが、普人ヒューム誓人スピルフとは遥か昔に枝分かれした原人だったのだろう。


 諸神教の聖典に載っている鋼兵アイン・スケルトンと違って、実際の目撃談は無い。

 無いが、魔獣ゴレーザー・ディエランの群れに絶滅させられた都市に残された白骨化した2体の死骸が見付かって、存在だけは伝承として残されている。

 およそ普人ヒュームの1.5倍ほどの長身で、頭部に1本の立派な角が生えていた。

 見付かった現場では、鎧を着た夥しい普人ヒュームの白骨死体が取り囲んでいたらしい。

 無数の矢の鏃や数十本の折れた剣も見付かっていた。

 どう見ても戦いの現場だったらしい。


 ここからは俺くらいしか知らない事だが、確かに高身長だったが、魔獣化ゴレーズンする前の角は短く、樹上の小動物を主に食べる、肉食寄りの雑食だったそうだ。

 大きな森林の奥が生息場所で、決して平野部に出て来る様な習性では無かった為に普人ヒュームの目に晒されたのは、滅びた都市で見付かった死骸2体のみだった。

 

 まあ、俺もエレムに聞いただけだが。

 

 魔獣化ゴレーズンしたものなのか、していないかも伝承では分からないので、異世界の二ホンに伝わっている鬼と同じ様に空想上の生き物だった「人あらざる人」と言う意味の『デ・ニキ』が一般的には使われる。


 で、俺の場合はそれにいくさを付けて呼ばれる。

 どんだけ戦闘狂だと思われているんだか。




お読み頂き、誠に有難う御座います。


 相変わらず、執筆画面での遅延が酷くて、通常の3倍~4倍くらいの時間が掛かります。

 不思議な事に、前書きと後書きは普通に書き込めるんですよね。

 は!? もしや、もう書くのを止めろという天の意思なのかも(-。-)y-゜゜゜





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ