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第32話 『討伐士区画』

2025-02-06公開



〔王国歴377年 迷地神月ピッコクルラーザ2日〕



「それで、今日は第9層で連携の再確認と言う事で良かったな?」



 開拓村と討伐士区画を隔てる門で立ち番をしている門番に討伐士等級証を見せながら、俺は後ろを振り返って後ろに並んでいるアルマとエッサの2人に確認した。

 


「ああ、かなり良くなったけど、もうちょい仕上げておきたいんだ。なんせ、剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダの群れ相手に実戦訓練が出来る機会なんて、そうそう無いからね」

「ほんと、ほんと」


 

 剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダは脅威度4級の中位くらいだ。

 攻撃魔法を使う事は無いが、図体が大きく、振り回す腕の長い爪と噛み付きの威力が致死的に大きく、更には自身に掛ける強化魔法が強力で、倒し切るのに苦労する魔獣ゴレーザー・ディエランだ。


 確かにグスタフソン・ダンジョンでなければ、剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダの群れを相手に好きな様に実戦訓練を重ねられないだろう。

 元になっている野獣ノナ・ディエラン剣角熊ズオゥド・グツーダの生態を引き継いでいるので、ダンジョン以外では群れを作る事が少ないからだ。

 もしダンジョン外で複数と遭遇するとすれば、つがいで現れる時か、子供を連れている時くらいだ。


 一方、ダンジョン内では縄張り争いが発生しないから、徘徊中に剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダ同士が出会っても争いにはならない。

 ダンジョン内で討伐士が剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダと戦っている最中に、たまたま近くを徘徊している剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダが居れば、必ず参戦して来るから意外と高い確率で2頭相手に戦う羽目になる。

 実力と状況次第だが、普通は致命的な損害を喰らう前に撤退を考えるだろうな。



 だが、このグスタフソン・ダンジョンでは、遭遇する剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダは、ダンジョンの創造主のゴダンの管理下に有るので、ゴダンと交渉すれば好きな様に出現させられる。

 3頭とか4頭とかの剣角魔熊ゴレーザー・ズオゥド・グツーダと同時に戦うなんて経験は早々得られるモノでは無い。


 おかげで、この5ヶ月間で俺たち3人の実力は大きく伸びた。

 多分だが、3人とも3級の下位くらいに相当すると思う。

 でも、俺たちはかなり稀有な例になるだろう。3人とも、さほど強力な武術系の恩寵を貰っていないからな。


 ここまで成長出来た秘密は、俺に憑いているエレムのおかげだ。

 なんだかんだで、エレムが手助けしてくれているからだ。

 恩寵として現れない程の微弱だが、でも本人なら上がった事に気付く程度に、色々な能力の底上げをしてくれている。

 そのほんのちょっとの底上げから、本当の実力にする環境が揃っていたのは幸運以外の何物でも無いだろう。 


 しかも、3人でも上位の討伐士パーティに近いのに、そこに先進型鎧兵アドバンスド・スケルトン3体が加わる。 

 俺の相方の「ゼロゴウ」、アルマに上げた「ニゴウ」、同じくエッサに上げた「サンゴウ」だ。

 この3体に関しては、魔骸ゴレーザー・ゴスに書き込んでいる命令を都度更新しているから、単体でも3級下位相当にまで強くなっている。

 ふむ、3級下位が6人も揃った遠・中・近距離戦がこなせるパーティって、冷静に考えればかなりヤバい戦力になるな。



 ついでに言うと、俺の魔法を使わずにそれだから、隠している実力はもっと上になるんだが、さすがに馬鹿正直に魔法の実力を晒す気はない。

  



 討伐士区画はかなり整然とした町作りになっている。

 住人が住む前に造成をしたからな。

 わざと一部の木を伐採せずに残して、公園にしたりしている程だ。

 大通りをきちんと通した上に、効率よく物流が流れる様に裏通りも広めにしている。

 おかげで、古い町に多い雑多な印象は無い。

 「せいぶげき」に出て来る町という印象はやはり濃いが。 


 大通りを歩いていると、開拓村の子供に会う事も多い。

 ダンジョンの第1層には魔獣ゴレーザー・ディエランが出ないので、ちょっとした小遣い稼ぎに薬草採集に出掛けて、討伐士組合出張所で現金に替える為に討伐士区画に来るのだ。

 わざわざ、そういう子供の為の獣車便が往復しているくらいだ。

 ついでに言うと、討伐士のタマゴを育てる青空教室もグスタフソン騎士爵の援助で開かれている。

 まあ、本当の狙いは大人になった時に自分の身を守る術を教育する事なんだが。


 子供たちは気付いたら俺たちに手を振ってくれるんだが、なんと言うかちょっとだけ恥ずかしい。

 彼ら彼女らにとって、俺たちは村の英雄ポジションらしいからだ。

 この村に来る前の待遇から考えれば、本当に出世したものだ。

 


 あと、子供たち以外の者には、俺たちは引かれている気配をヒシヒシと感じる。

 討伐士区画立ち上げ時に力づくでハネッカエリどもを鎮圧したからな。

 討伐士の等級は先月それぞれ1等級上がって、6級と5級にはなったが、明らかに等級詐欺と思われているみたいだ。

 それに俺たち3人の後ろを付いて来ている先進型鎧兵アドバンスド・スケルトン3体が威圧感バリバリ過ぎるのも悪影響を与えていると思う。

 


 まあ、こればっかりはエレムが引いてくれないので、舐められるよりはマシだと思う事にしている。




お読み頂き、誠に有難うございます。



 うーん、ブックマークも評価も増えないのは面白くないからですよね?

 そろそろ、上がる期待を止めて、損切りした方が良いのかも・・・・・

 とはいえ、せっかくここまで物語の下地を書いたんだから、まだ続けて書きたい気もする今日この頃

 (-。-)y-゜゜゜


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