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第25話 『森林魔狼群』

2025-01-16公開




〔王国歴377年 従地神月ムウンゼウルラーザ20日〕




「うーん、これは囲まれた様ね」

「ちょっと厄介だけど大丈夫、ゼロゴウが居るっスから」

「まあ、連携の練習には持って来いかな」



 西の森に入って30分ほどで、こちらに来てから初めて対峙する魔獣ゴレーザー・ディエランに遭遇しそうだった。

 割と何処どこの森林でも居る森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブだ。

 

 単体で見るとそれ程強くないが、問題は群れで狩りをする点だ。

 1匹では6級相当の大角魔鹿ゴレーザー・アルゼス並みで、群れる数が上がるごとに脅威度指数が上がる。2匹なら5級の下っ端くらいで、3匹なら5級の上の方、4匹以上なら4級相当に入る。


 とはいえ、遭遇し易いだけに森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブの狩りの方法は知られており、対処法は確立されている。

 だから、人類の生活圏周辺に居る森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブはその事を学んでおり、普人ヒュームが頻繁に入って来る森林では余り襲って来ない。


 そう言う事も有り、魔獣化ゴレーズンしても退く事を選べる森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブは頭の良い魔獣ゴレーザー・ディエランとして知られている。

 そう言う事から言うと、俺たちを襲おうとするこの森の森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブはスレてないって事だ。


 どうでも良いけど、「傀儡使くぐつつかい」の上位互換と言える恩寵の「魔獣使い」は成長し易いスキルとして有名で、鍛えて行けば森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブの群れまでテイム出来る。

 食費は掛かるが、上手く育てれば4級相当まで伸ばせる「魔獣使い」は、応用範囲の広さも有ってそれなりに人気の恩寵だったりする。



「3匹の群れだから、魔法で削らずに連携して近接戦闘で狩るぞ。いつもの隊形を基本にゼロゴウを先頭に置く」


 いつもなら三角形の隊形を採るが、今日からは前衛戦力として使うゼロゴウが加入しているから菱形の隊形を採用する。

 

 最初の1匹は右手側から襲って来た。

 森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブは身体強化だけでなく、爪と牙に切断力を上げる独自の斬魔法を纏わせる事が出来る。

 安物のレザーアーマーなら切り裂いてしまえるくらいの威力は有る。


 だが、それを知っているなら対処は出来る。


 エッサが落ち着いて、空振りをさせて隙だらけになったところを一撃で仕留めた。

 出会った当時なら気配察知が不十分で、後手を踏んでしまって慌てて対応していた時が有った事を考えると、かなり成長したと思う。

 まあ、まだ伸びる余地は有るので、今後に期待だ。

 

 で、第2陣は前後同時だった。

 森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブの対処が簡単な理由はこれだ。

 最初に1匹が囮代わりに獲物に飛び掛かる。

 そちらに気を取られた隙に残りの個体が同時に飛び掛かる習性がどうしても抜けないらしい。

 

 いや、普通に野獣ノナ・ディエランを狩るなら問題は無いだろう。

 森林魔狼ゴレーザー・ホルシス・ガルブの群れに襲われた野獣ノナ・ディエランが生き残る確率は低く、生き残っても他の野獣ノナ・ディエランに経験談を伝える事が出来ないからだ。


 そう考えると、知識を分け合える人類は特殊な野獣ノナ・ディエランなんだろう。


 ただ、選ばれし存在と勘違いして天陽神ゼントゼウル様の怒りを買って滅ぼされる寸前まで行ったのだから、本当に賢い野獣ノナ・ディエランでは無いのは確かだな。



 その後、連携を試しながら西の森を巡ったが、魔獣ゴレーザー・ディエランよりも野獣ノナ・ディエランの気配を多く感知した。


 西の森は鏖殺魔猿ゴレーザー・ジェノヴ・エイヴィの群れによって、一時は野獣ノナ・ディエランの生息数が落ち込んだんだが、順調に回復している様だ。

 この調子なら、秋までには回復しきるだろう。

 この村の冬がどれだけ厳しいかは分かっていないが、冬ごもりが出来るくらいには食料が溜める事が出来そうだな。


 

 ゼロゴウの試運転? 慣らし運転? 慣熟運転? は順調だった。



 2~3日掛けてこの森で討伐を続けて、問題が無い様ならダンジョンに向かおう。


 今から楽しみだ。





お読み頂き、誠に有難うございます。



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