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第24話 『改修を済ませたゼロゴウの実力』

2025-01-14公開



〔王国歴377年 従地神月ムウンゼウルラーザ20日〕




「お、今日はその剣装骸兵ズオゥド・スケルトンも一緒にお出掛けか?」



 そう声を掛けて来たのは門番のブロノさんだ。


 3人居る門番の内の1人で、24歳独身絶賛嫁さん募集中の青年だ。

 まあまあ見れる顏なのに、開拓村には適齢期の女性が少ないせいで未だに結婚が出来ていない。

 出会いを求めて、往復2日掛けて隣町まで頻繁に出掛けているが、なかなか結果が出ていないそうだ。


 だから、新たに来る移住者に若い女性が3人も居ると聞いた時には物凄く期待したそうだが、来た3人が3人とも期待外れで落ち込んでいるらしいと、アールトさんに教えて貰った。

 まあ、3人の内1人は8歳の子供だし、残る2人は年齢的にはちょうど良いんだが中身が、ほら、あれだ、そう、脳筋男と変わらんからな。


 俺は心の中で、そっと「良い出会いが有ります様に」とお祈りをした。

 


「ええ、そろそろ本格的に討伐に連れて行こうと思いまして。5日間掛けて訓練しただけあって、かなり動ける様になりましたよ。ちょっとだけ披露しましょうか?」

「お、自信満々だな。こう見えても俺も討伐士7級まで槍一本で上がった男だからな。剣装骸兵ズオゥド・スケルトンとも何回かやり合った事も有るからどれだけ強くなったかここから見てやるよ」

「ええ、お願いします」


 

 村外に造られた畑に出掛けようとしていた何人かの村人も興味を惹かれた様で、その場で立ち止まった。

 

 この村に来てから半月ほどしか経っていないが、俺たち3人の討伐活動は期待以上の成果を上げていると思われている。

 何と言っても鏖殺魔猩猩ゴレーザー・ジェノヴ・オラウィグに率いられた鏖殺魔猿ゴレーザー・ジェノヴ・エイヴィの集落をあっという間に潰した実績が大きい。

 下手すれば、村の存続に繋がりかねない危機だったからな。


 そんな俺たちに7級相当とはいえ、新戦力が加わったとなれば、興味も持たれるわな。

  


「ゼロゴウ、ちょっと村のみんなに自分の実力を見せてやってくれるか?」



 俺の言葉にゼロゴウは左膝を地面に付けて頭を下げるという作法で了承の返答をした。

 声を出せない故に、分かり易い形で返事をさせている訳だ。

 今後、この辺の手順はより高度なものに切り替えて行く予定だが、今はこれで十分だ。



 剣術に関連するスキルを持っている剣装骸兵ズオゥド・スケルトンが7級相当の評価で終わっている理由は、そのスキルを活かしきる事が出来ないからだ。

 例えば膂力が足りなかったり、反復して練習する事で向上する反応速度が上がっていなかったり、単純に技術が不足していたり、身体の使い方が劣るからという理由だ。


 産み出された時から向上しない剣装骸兵ズオゥド・スケルトンと違って、そういう部分を練習と実戦を重ねる事で討伐士は能力を上げて行く。

 弱めの恩寵でも、真面目に取り組めば、まあ普通は全盛期には5級から6級には到達は出来る。

 強い恩寵なら4級も視野に入るし、才能も加われば3級に手が届く。


 で、ゼロゴウだが、エレムが魂殻スピリクォッドに刻まれた命令や術式をドンドンと上書きして行った。

 まあ、能力のバランスを取る必要も有るから、最終的には妥協したので5級相当まで向上する事で落ち着いた。

 そう、近接戦闘において、俺たち3人のライバルの誕生だ。

 

 同じくらいの実力の相手に好きなだけ実戦形式での対戦訓練が出来るおかげで、3人とも実力が向上している実感が有る。

 良い練習相手が出来て、それだけでも有難い限りだ。



 もっとも、エレム曰く、魂殻スピリクォッドの容量にはまだまだ空きが有るから、更に踏み込んだ一手を打つ予定だ。

 もし、上手く行けば、更なる戦力向上が可能になるので、今から楽しみだ。



 おっと、ゼロゴウの演武が終わった様だ。

 ゼロゴウの動きを見ていたみんながポカンとした顔をしている。



「どうですか、ブロノさん? 以前に戦った剣装骸兵ズオゥド・スケルトンと比べて」

「驚いたな。まるで別モンだ。こんな剣装骸兵ズオゥド・スケルトンとは戦いたくないな」


 俺に声を掛けられて、現実世界に戻ったブロノさんが首を振りながら答えてくれた。



「いやあ、これほど動きが滑らかで、しかも力強さも上がっていたら、大半の討伐士にとって強敵と言って良いだろう。ブロノの言う通り、儂が現役の頃に出会っていたら、舐めてかかって一瞬で殺されていたかもしれんな」


 おっと、元討伐士5級のモト爺ことモトロラ氏も太鼓判を押してくれた。

 これはお礼を言わなくてはならないな。


「ベテランの討伐士だったモト爺にそこまで褒めて貰えて、ゼロゴウも嬉しそうですよ」



 俺の言葉にみんなが一斉にゼロゴウを見たが、骸骨の表情なんて変わる訳無いので当然だが嬉しそうに見えなかった。


「オイ」


 と一斉に突っ込みが入ったが、次の瞬間には笑い声が爆発した。




お読み頂き、誠に有難う御座います。


 第25話は今週中には投稿したいなと思う今日この頃。

 もし次話以降が気になってしまうかも?という方が居られましたら、ブックマークという機能が便利ですよ(^^)

 

 今年も週に2話程度の頻度で(休みごとに書き上げて)投稿したい今日この頃(評価が芳しくなければ頻度が落ちますのでご理解とご協力を賜わります様に伏してお願い申し上げ候)。



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