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第21話 『意外と人気者になりそう?』

2025-01-08公開



〔王国歴377年 従地神月ムウンゼウルラーザ9日〕




「それで、そのテイムしたという魔骸ゴレーザー・ゴスだが、骸兵ノム・スケルトンでも、剣装骸兵ズオゥド・スケルトンでも、剣装鎧兵ヘヴィリテス・スケルトンでも無い様に見えるのだが?」

「可能性としては鋼兵アイン・スケルトンも有り得るかもしれませんが、現時点では残念ながら分かりません」



 まあ、最終的には魔骸ゴレーザー・ゴスの新種という線で落ち着かせよう。

 鋼兵アイン・スケルトンとするには、鋼を使っていないし、武器も防具も持っていない点で別物と言うのが無難な線だろう。



「ふむ。短い間の観察だけだが、魔骸ゴレーザー・ゴス種にしては妙に人間臭い印象だな。顔の造形のせいかな? それと殺気も感じられん」

「攻撃して来なかったし、こちらに好奇心を持っていた様ですし、テイムにも抵抗が無かったので、変種か新種の魔骸ゴレーザー・ゴスの可能性が高いでしょう」



 異世界のラノベ設定なら、ゴーレムと言うピッタリ当て嵌まる「マモノ」が居るんだがな。

 

 俺とグスタフソン騎士爵の会話には興味が無いのか、エレムはキョロキョロと周りを見渡している。

 ちょっとした疑問なんだが、どんな光景が見えているんだろうな。



「どうやら本当に無害らしい。村の中に入れても問題無いだろう。では、一緒に領主館に来てもらおうか?」

「ええ、分かりました」



 という事で5人と1柱で領主館に向かう事になったが、面白かったのはエレムを見た村人全員が二度見した事だ。

 そりゃあ、二度見するか?


 俺自身が遭遇した魔骸ゴレーザー・ゴス種は、今日、ダンジョンの第6層で出て来た剣装骸兵ズオゥド・スケルトンくらいだが、ソイツらには人間臭さを感じなかった。

 ついでに言うと、人間に対する殺意を発散し過ぎて可愛げの欠片も無かった。

 まあ、使い古されたっぽく加工された片手剣と、これまた使い古されたっぽく加工されたバックラー(小型の円盾)を装備して、こちらを殺そうと襲って来る骸骨に何かしらの可愛げを感じるヤツが居たとしたら、俺は友好関係を築く自信が無いな。


 恩寵の「傀儡使くぐつつかい」が外れスキルと言うのは、そういう所も影響している気がする。

 使役しても見栄えが悪過ぎる。


 一方、エレムが憑依しているアルミ製人形が見せる軽やかな歩みは、魔骸ゴレーザー・ゴス種とは一線を画した滑らかさで、中に人間が入っていると言われても信じてしまいそうだった。

 今更ながら足元をよく見ると、異世界で見た人形よりも細かく分割されていて、裏には溝まで彫られていた。

 俺の恩寵の「異世界知識【微】」を超える知識を得ているのではないか? という疑惑が湧くな。

 もしかすれば、俺が体験しながらも忘れた様な事も引き出せるのかもしれないな。

 でなければ、ここまで精緻な加工など不可能だし、超々ジェラルミンなんて金属の製法などどこで仕入れたんだって話だ。

 確かに説明されて超々ジェラルミンという名前を聞いた覚えが有る事を思い出したが、製法なんて覚えていない。

 その辺りの事を聞いても答えてくれなかったが、今後、エレムが突拍子もない物を造っても驚かない様にしよう。

 


 グスタフソン騎士爵の執務室で今後の事を話し合ったが、ダンジョンの残りの階層の調査を引き続き行う事が決まった。


 村人によるダンジョンに潜っての採取解禁日は、最下層の情報を得てから決める事になった。


 薬の材料になる十種類以上の薬草が、第1層から第4層にかけて採取出来る事、銅と鉄の鉱脈が第2層と第3層に露出している事、第4層と第5層には銀の鉱脈が走っており、第5層までで十分な収益が見込める事を報告するとさすがにグスタフソン騎士爵の顔に喜色が浮かんだ。


 遭遇する魔獣ゴレーザー・ディエランも極端な分布では無く、第6層で7級相当なので、油断しなければ問題が無いだろうという結論になった。

 

 総合的に、ゴダンが創造したダンジョンはかなりの優良物件と言える。


 これまでは討伐士時代の資産を持ち出ししていただろうから、開拓村の財政が黒字化する事は素直に嬉しいだろう。


 更には、行商人の来村頻度も上がるから物資の流通が増え、開拓にも投資をし易くなる。

 ダンジョンに潜る討伐士が開拓村に来るだろうし、討伐士組合の支部開設も視野に入って来るから、人口増も見込める。


 第6層の剣装骸兵ズオゥド・スケルトンから採れる7級相当の魂殻スピリクォッドなら、単品でも加工し易く、俺が開発した照明の魔道具の中核部材にすれば、貴族家の屋敷の様な大きな部屋にも使える明るさを得るか、普通の部屋で使う分には長寿命化を施す事が出来るな。



 グスタフソン騎士爵領の未来はかなり明るいと言って良いだろう。

 

 

お読み頂き、誠に有難う御座います。


 第22話の投稿は今週中に出来ればと考えています。


 

 今年も週に2話程度の頻度で(休みごとに書き上げて)投稿したい今日この頃(評価が芳しくなければ頻度が落ちますのでご理解とご協力を賜わります様に伏してお願い申し上げ候)。



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