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第19話 『人形? ドール? パペット? マリオネット? 傀儡?』

2025-01-02公開




〔王国歴377年 従地神月ムウンゼウルラーザ9日〕




 エレムに頼まれた妖精のゴダンが造ったダンジョンの第6層まで調査した結果だが、ほぼ10層か15層だろうというものだった。

 それは第6層で出て来た魔獣ゴレーザー・ディエラン剣装骸兵ズオゥド・スケルトンという事が理由だ。

 どういう理由か分からないが、スケルトン種はそのダンジョンの中央層帯に出る事が多い。

 だから、スケルトン種が第6層に出るダンジョンは大体が10層か15層が最下層になる。

 

 それと、階層ごとに出て来る魔獣ゴレーザー・ディエランの種類はかなり限られている。

 これは若いダンジョンの特徴と一致する。


 造られたのがつい最近なんだから当然と言えば当然の結果なんだが。

 

 

 取り敢えず、駆け足で調査した結果は、

第2層はスライムと魔蝸牛ゴレーザー・マイマキ

第3層は魔草亀ゴレーザー・タットン魔草蛇ゴレーザー・スック

第4層は鳥系と兎系の魔獣ゴレーザー・ディエラン

第5層は猿系と豚系の魔獣ゴレーザー・ディエラン、        

第6層は剣装骸兵ズオゥド・スケルトンのみ、というところだった。


 第6層の剣装骸兵ズオゥド・スケルトンで7級相当だから、最下層までソロで潜れる討伐士は意外と少ないだろう。

 予想としては2級相当から3級相当の魔獣ゴレーザー・ディエランが居るだろうな。下手すれば1級相当の魔獣ゴレーザー・ディエランが居ても驚かないな。

 ゴダンが妖精の中でもかなり上位の格を持っている証拠だが、不思議でもある。

 何故なら、そんなゴブリンモドキならとっくにダンジョンを造っていてもおかしくない筈だ。

 まあ、その辺はおいおい分かるだろうが。



 そうそう、次に来る時に剣装骸兵ズオゥド・スケルトンをテイムする事にしよう。

 剣装骸兵ズオゥド・スケルトンは7級相当だから、最初にテイムする事を考えていた9級~10級相当の骸兵ノム・スケルトンよりも頼りになる。

 その内、6級相当の剣装鎧兵ヘヴィリテス・スケルトンも出現するかもしれないが、それまでの繋ぎとしては十分な戦力だ。



 やっと、『傀儡使くぐつつかい』の恩寵を使える目途が立って、浮き浮きとした気分で第2層に戻って来たが、そこで思いもしないモノを見た。



「エレムさんや、何をしているんだい?」



 呆れつつも、そう声を掛けた相手はどう考えてもココに在ってはならないモノだった。


 金属光沢が眩しい、異世界ではごくありふれた素材のアルミニウムで造られた俺と同じくらいの高さの等身大の人形だった。

 確かに俺の恩寵『再現』を使って、エレムは異世界の6体の人形を再現した。


 そして、今、目の前で直立している人形はそれらを参考にして造られたという事は明白だ。


 だけど、再現した人形は柔らかい素材で造られていたから柔軟だった筈だ。

 金属で造られた人形で柔軟な動きが出来るのか?


 疑問はすぐに解消された。

 

 アルミ製の人形が、ごく滑らかな動きで右手を上げたんだ。


 同時に、エレムから嬉しそうな思念が飛んで来た。

 いや、嬉しそうというよりも自慢げな思念だな。


 動きに関しては、細心の加工を施したから問題無い事。

 アルミはアルミでも、超々ジェラルミンと呼ばれる鉄並みの強度と硬度を誇るA7075という素材を防錆処理した事。

 軽くて強い素材だから、異世界では飛行機や人工衛星にも使われるという事。

 鉄で造ったら3倍近い重さになる事。

 外側はアルミニウムの光沢を活かす為に滑らか加工だけど、内側はハニカム構造にして強度を上げている事。

 再現した人形に宿った体験が楽しかったので、俺と同じ大きさの人形に宿ったらもっと楽しいかもと思って造った事。

 近い将来、俺の恩寵『傀儡使くぐつつかい』に流用する為に強度に拘った事。

 

 で、最後に感想を求めて来やがった。



「何と言うか、凄いな、としか言えんな」


 更に外見に関しての感想も訊いて来たので、人形の周りをぐるりと一周した。


 とにかく最初に思ったのは、何故に女性型にしたか? だな。

 人間そのものを真似していないせいで、服を着ていなくても違和感は無いな。

 顔の造形は人形とは違って人間寄りだが、塗装していないので目も髪も唇も肌も色が全て一緒だ。

 うーん、この印象の造形をどこかで見た気がする・・・

 あ、異世界のインターネットという情報集合体の動画で見たアレだ。

 新宿地獄阿波踊りだったか?

 6人の中の髪の毛が短い登場人物にそっくりだ。

 アッチはもっと人間らしい外観だったが、顔に関しての印象は無機質な点も含めて似ている気がする。



 そう答えたら、かなり喜んでいた。



 思わず放置してしまったが、アルマとエッサの方を見ると、呆然としていた。


 うん、俺の半身の突拍子もない行動で驚かせてしまってすまないな。






お読み頂き、誠に有難う御座います。


 正月三が日中にお届け出来てホッとしました。

 第20話の投稿は来週の予定です。

 

 今年も週に2話程度の頻度で(休みごとに書き上げて)投稿したい今日この頃(評価が芳しくなければ頻度が落ちますのでご理解とご協力を賜わります様に伏してお願い申し上げ候)。



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