最終回 事件の終幕
その後はるこは刑事に連れられ帰宅。園寺家ははるこがいなくなり大騒ぎになっていた。はるこは母と大島にこっぴどく叱られた。翌日には琴葉と愛子は無事保護され、琴葉は帰ってきた。琴葉はずっと睡眠薬で眠らされ誘拐された事を覚えてない。不幸中の幸いだ。二人を誘拐したのも昨日の男だった。園寺家が裕福なのを知って身代金目的で二人を誘拐しようと考えていた。家族構成や父の職業、そして琴葉の生活なども念入りに調べていた事が分かった。
ちなみにあの日なぜゆきが山下公園に来たかというとはるこの身を案じて探偵のえりに相談していた。赤い靴の女の子失踪事件の犯人が現場に来るのではないかと思ったえりが警察に連絡して張り込んでもらったのだ。
「お母様が買ってくれた赤い靴さがしてたの。見つけてくれてありがとう。女の子は赤い靴を履くと笑顔で天国に旅立って行きました。」
2カ月後はるこは買ってきた少女画報の怪談特集を読んでいた。ゆきの新作の赤い靴の話だ。君子の供養にと書いたのだ。
はるこが琴葉を連れて再び山下公園を訪れた時松浦から衝撃の事実を聞かされた。公園の花壇から女の子の遺体と赤い靴が大量に出てきたと。その中に愛里の物もあった。どの遺体も首を絞められた後があったが1体だけ頭部に酷い損傷があったものがあった。それがえりの所に最初に依頼が来た君子の物と判明した。彼女ははるこの1つ上の高等女学校1年生だった。
「お姉様、君子ちゃんを殺したのって」
ピンク色の丸襟ワンピースの琴葉がはるこに尋ねる。
「それは違うと思うわ。」
ちなみにはるこを誘拐しようとした男は君子殺害に関して容疑を否認している。警察が家宅捜査をしたが凶器も出てこなかったし、遺体や遺留品からも指紋は検出されなかった。
君子や他の女の子を殺害したのは別の人物だろう。ちなみにまだ犯人は見つかってない。
「それに不思議な事に愛里ちゃんや他の女の子の遺体の傍には赤い靴があったけど君子ちゃんの傍にはなかったって松浦さんが言ってた。」
(赤い靴 返して)
はるこはあの夜あった女の子の霊に言われた事を思い出す。あの娘が君子で死んだ後も自分の赤い靴をさがしているのだろうか?
夜山下公園。
「バレエのお稽古してたらすっかり遅くなっちゃったわ。」
丸襟ブラウスにピンク色のジャンパースカートに赤い靴の少女が家路を急ぐ。
少女は山下公園の前で立ち止まる。
「早く帰りたいからこちらの道を行くわ。」
少女は公園内に入っていく。
カツ カツ カツ カツ
夜の公園、自分の靴音が響く。
カツ カツ カツ
今度は違う足音がする。
「お姉ちゃん」
「誰?」
「それ私の赤い靴。返して。」
FIN
2作目完成です。