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昼間の山下公園

 ゆきははるこを連れて問題の山下公園にやって来た。昼間だから人通りは多くベンチに腰かける恋人達、貴婦人をモデルに絵を描く画家の姿も見える。女の子が行方不明になるような場所とは思えない。

「はるこちゃん?」

はるこはゆきの黄色いワンピースを掴み離そうとしない。噂が怖いのだろうか?

「大丈夫よ。今は昼間だしこんなに明るいもの。それに赤い靴を履いていなければ行方不明にはならないのでしょ?」

はるこは振り袖に草履という先ほどの格好のまま来た。日舞の稽古の帰りだったのだ。

 二人は公園内に入る。はるこは相変わらずゆきのスカートを握って離れようとしない。

「やあ、ゆきちゃん。」

花壇の前を通ると男性に声をかけられる。

「松浦さん!!」

花壇の手入れをしている庭師の松浦さんだ。

「最近見ないから心配してたんだよ。公園ができた頃はよく妹と遊びに来てただろう。」

松浦は公園ができた頃から山下公園の花の世話をしてくれてる。松浦ははるこが妹と遊びに来ているたのは知っていた。時折お菓子もくれたり両親や大島と喧嘩した時に話を聞いてくれたりもした。

「あの、私達聞きたい事があるんです。」

ゆきが女の子の失踪事件について尋ねる。

「最近この公園で女の子だけが消えていく事件があるって聞いたんです。それも赤い靴を履いた女の子だけが。この辺りで何か変わった事ってありませんか?」

「確かにそんな噂は聞くね。それが原因か女学生達がめっきり来なくなったね。」

2年前は女学生が学校の帰りに立ち寄っていたというが今はほとんど見なくなったという。

「それはいつ頃ですか?」

「本当につい最近だよ。今月に入ってから。」

はるこが立ち寄って具合が悪くなったのと同じ時期だ。

「はるこちゃん、今は何か見える?」 

ゆきが傍らにいたはるこに尋ねる。

「はるこちゃん?」

はるこは頭を抱えその場にしゃがみこむ。

   「痛い!!やめて。やめて!!」






 その夜

「あーあ、遅くなっちゃったわ。」

白い帽子にピンクのワンピース、赤い靴の少女が帰路を急ぐ。彼女は高島屋で働くドアガールだ。

「致し方ないわね。」

彼女は山下公園の中に入る。彼女も噂は耳にしていた。しかし公園を通れば近道なため疲れていて早く家に帰りたい少女は公園を通る道を選ぶ。」


カツ カツ カツ カツ


自分の履いたハイヒールの音が誰もいない夜の公園に響く。


カツ カツ カツ カツ


しかし自分とは別に足音が背後から聞こえてくる。

(誰?!)

少女は足早に走る。


カツカツカツカツカツカツ


背後の足音も早くなる。少女は立ち止まる。すると足音もピタリと止む。

「お姉ちゃん」

少女は背後を振り返る。

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