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81話 秋乃さんの憂鬱

「最近の子って難しいわ~」

「なにがよ?」


石神君をバイト先に送り届けた後、クタクタに疲れ果てたけど何とか車を返しに行き。

最初に入った声優事務所時代の同期と飲みに来ていた。


「私が高校生くらいの時って、もっと分かりやすかったと思うんだけどな~」

「アンタは昔から意味分からないわよ」

「なんでよ~」

「Vtuberだっけ?」

「うん」

「上手くいってるんでしょ?」

「なんとかギリギリって感じよ?」

「続けられてるだけ凄いわ」

「そう?」

「声優もだけどYotuberとかVtuberとか芸能人ってさ?」

「うん」

「めちゃくちゃ頭良いか狂ってないと成功しないし。狂ってないと続けられないでしょ」

「そんな事無いと思うよ?」

「根拠は?」

「私、普通だもん」

「言うと思った・・・。アンタは普通じゃないわよ」

「でも、そんな頭良くはないでしょ?」

「うん」

「ほら?普通でしょ?」

「そこそこ良い感じに狂ってるよ?」

「なんで~」


彼女はどんな役でも卒なく(こな)し、声も役柄に依って器用に変えたり出来て。その当時、私にとって身近に居る憧れの存在でもあった。


「で?で!よ」

「なにが?」

「高校生って何っ?」

「さっき会ってたんだけど~」

「えっ、アンタ高校生と付き合ってんのっ!?」

「そんな訳無いでしょ」

「まぁ、それもそっか。で、どういう関係なのよ?」

「推し?」

「推し?」

「うん」

「なんの?」

「Vtuber」

「会ってたって言わなかった?」

「うん、さっきまで会ってたよ?」

「繋がってんのっ!?」

「マイク貸してたから返して貰っただけっ」

「ん?推しってどういう事?アンタの事推してんじゃないの?」

「私が推してる」

「はいぃ?推しと会ってマイク貸したりしてるとか・・・」

「うん」

「先に言っとくわよ?」

「うん」

「未成年に手を出すのは犯罪よ?」

「出す訳無いでしょー!」

「分かってるならよろしい。で、難しいって何よ?1から説明しなさい」

「うん・・・」


推しのあきなちゅの事、偶然ワクドで遭遇してしまった事、コラボしたり家に招いたりした事、等々・・・事細かに説明した。


「アンタはホントに・・・」

「なに~?」

「お姉さんに見られたくてわざわざレンタカー借りて。しかも、真っ赤なオープンカー」

「うん」

「やっぱアンタみたいのが成功するのよね」

「どういう事?」

「私は早々に引退して正解だった。って話」

「そう!それも言いたかったのっ!!」

「な、なによ・・・急に」

「明日香ちゃんもVやらない?」

「話が飛びまくって意味分からないんだけど?」

「ずっと思ってたの」

「なにが?」

「引退するとかもったいないって」

「実力よ、実力」

「十分あったでしょ」

「そこそこ、ね。そこそこ」

「そんな事無いよ~」

「何でもそこそこまでは出来るけど60点くらい?精々70点が良いトコ」

「凄くない?」

「凄くない。だって、主役張る様な声優は120点とか当たり前に出すのよ?」

「それは人気もある凄い人でしょ?」

「うん。でも、人気も無くて60点の無名の声優を誰が使いたいって話よ」

「そこでよ!」

「うん?」

「元声優の人とか多いみたいよ?Vtuber」

「今更無理だって。生活だってあるし」

「Vで稼げば・・・」

「稼げるの?絶対に?確実に?」

「それは分からないけど・・・」

「旦那も子供も居るの。今からそんな冒険出来ないわよ」

「あっ、子供の写真見せてよ~」

「良いの?」

「なんで~?見せてよ~」

「アンタも結婚したくなるかもよ?」

「結婚はしたいけど?切実に・・・」

「そ、そっか・・・なんかごめん・・・あ、で、写真だったね」

「うんうん」



明日香ちゃんの忠告も虚しく子供の写真を見て結婚して子供も欲しくなってしまった・・・。

いいもん・・・家に帰ったらジルに慰めてもらうもん・・・お酒臭いと逃げられるんだけど・・・。


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