78話 祝☆収益化
ある日の配信中。
「今日はサムネにもあった通り、重大発表があります!」
正直、悩みに悩み抜いた・・・。
「なんと・・・収益化申請が通りました!!」
というか、今もまだ悩んでいる。
「あぁ、ありがとうございます。ありがとうございます」
チャット欄はおめでとうの言葉で埋め尽くされている。
「それでですね」
色々考えた結果。
「コメントにもありますけど、スーパーチャットはまだ開放してません」
理由は説明し辛い。
「でも、メンバーシップを開設しようと思ってまして」
伊達さんやシュウさんが上限スパチャを投げそうな気がして怖かったり、妹からスパチャを投げられて微妙な気持ちになりたくない。
「なので、今回の配信はメンシでどういった特典を付けるかの相談配信にしようと思ってます」
何か要望があれば言って下さいねー。と、言う前に欲望に塗れたコメントでチャット欄が埋め尽くされた。
「えーっと・・・みぃちゃんを僕に下さい。ご自由にどうぞー。そこは僕の許可は要らないので本人に言って下さい」
未だに義兄さんと呼んでくる人が一定数居る。
「他には・・・伊達ちゃんのプライベート情報を下さい。はい、ダメです。それは絶対に無理ですね」
これは伊達さんのファンか。
「えっと、シュウちゃんと関わるな。アンチが居ますね・・・」
名前がta2yaだった気がするけど・・・コメントの流れる速度が早いから見間違いって事にしておこう・・・。
「それから・・・石倉ママのパンツの色を教えて下さい。お願いしますお願いしますお願いします。って、必死過ぎっ!ってか、誰がそんな事知りたいんだっ」
変なコメントばっかりだな・・・。
「ん?なんで皆カタカナのノばっかり打ってるんですか?え?石倉先生のパンツの色知りたいから挙手してる・・・?」
いやいやいや、無いだろ・・・。
「いや、僕もそんなの知らないですから無理です」
お母さんのファンって尖ってるのが多いのか・・・知りたくなかった。
「え?降臨?誰が?石倉先生?」
どこだろ?見逃したな。
「どこですか?ちょっとスクロールして・・・って、白でーす。じゃないわっ!」
あまりの衝撃に椅子から崩れ落ちそうになった。
「はい、石倉先生はお帰り下さい。今直ぐ帰らないとしばらく口を利きません」
ごめんごめんROMるからー。と、今度はコメントを見付けられた。
「ふぅ・・・他の配信者さんとかイラストレーターさんの事はメンシの特典には出来無いです」
当たり前の事だけど、仕方ない事なのかもしれない。
何故なら今ここに居る視聴者さんの9割・・・いや、少なくとも9割9分は他の配信者さん目当ての視聴者さんなのだから。
まぁ、それはさておき。
「一般的に言われてる鳩行為は僕のチャンネルでも禁止にしたいとは思うんですけど」
とは言え、9割9分9厘が他の配信者さん目当ての視聴者さんだから・・・。
「僕の名前を他所のチャンネルで出すのは禁止です。でも、石倉先生とぬいぐるみぃに関しては多少はOKとします」
流石に家族だから全く話題に出すなと言う方が無理がある。
「ただ、さっきも言いましたけど。プライベートな情報は言えないです」
それから。
「兎合シュウさんとは面識はありますけど、めちゃくちゃ親しいって訳でも無いですし、勝手に話題にするのもダメですからね」
そして・・・。
「シュウさんとは僕なんかより獏枕ゆめさんの方が仲が良いんじゃないですかね?って感じです」
以前の突発コラボでかなり怖いシュウさんの厄介オタだと発覚したから持ち上げておかないと何があるか分からない・・・。
「それからー・・・え?ゆめさんも居るんですか?」
コメント欄をスクロールすると居た。「そんな~、それほどでもあるかな!」じゃないわっ。
そう思うんだったら僕なんか監視してないでシュウさんのアーカイブでも観てて下さい・・・。
「ゆめさんこの間のコラボありがとうございました」
ありがとうございました。そして、アナタもお帰り下さい・・・。
「えっと、それから。伊達ごっこさんは普通にクラスメイトってだけですから大した情報は無いです」
この間、家に行ったけども・・・。
これは言う必要も無いし、言ったら確実に燃える。
「ザックリ言うと、他の配信者さん等の情報は僕からは得られないと思って下さい」
まぁ、それが当たり前の事ではあるんだけどね。
「なので、それを許容出来る方のみ僕の配信を視聴して下さい」
この言葉がスイッチになったのか・・・物凄い勢いでチャンネル登録者数が減っていった。