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76話 泣いた赤鬼

配信のやり方が分からない。

考えれば考える程、思考の迷路に迷い込んでしまう。


なので・・・1度、配信の事は完全に忘れてリフレッシュしようと思い。

バイトを休み、頭がカラッポになりそうなアクション映画を観に来た。


なのに、雑談配信をしている(てい)で感想を言うとすればどう言うだろうか。とか・・・。そんな事ばかり考えている自分が居た。


映画館からの帰り、電車代を浮かしつつ気分転換を兼ねて散歩しながら帰路に着いていた。


すると、向こうから自転車に乗った女の人がこちらに向かって来るので右側を歩いていたので左側に寄った。

それと同時に自転車も左側に進路変更して、慌ててまた右側に寄るとまた自転車も右側に・・・。


そうこうしている内に自転車が目と鼻の先になり。こういう場合は止まるべき。と、思って端に寄って避けて貰おうと思ったが段差に足を取られ盛大に尻もちを着いてしまった・・・。


キキーッ───。


「ごめんなさいね?大丈夫?」

「全然、大丈夫です。ははは・・・」

「あらっ!手、擦り剥いてるじゃない!」

「え?あ、本当だ」


どうしましょ、どうしましょ。と、お姉さん・・・と言うにはちょっとアレか。かと言ってオバサンと言うには若い気もする。まぁ、そんな女の人がオロオロしている。


「いや、大丈夫ですよ」

「でも、血出てるじゃないっ」

「お尻の方が痛いくらいなんで」

「えっ!?骨折してるのっ!?」

「いやいや、ちょっと打っただけなんで大丈夫です」

「家、直ぐそこだから手当てだけでもさせて」

「いや、そんな悪いですよ」

「いいから!」

「え・・・はい・・・」


と、強引にオバ・・・お姉さんの家に行き手当てをして貰う事になった。


「ウチもね、君くらいの娘が居るのよ」

「あー、そうなんですね」

「いくつ?」

「17です」

「あら。ウチの子と一緒。2年生よね?」

「はい」


直ぐそこって言っていたけど意外と歩く・・・。


「ふふふ。もうそこよ」

「あ、はい」


顔に出てたのだろうか。


「着いたわ」

「あ、はい」


表札には伊達とある・・・まさか・・・ね?


「上がって上がって」

「あ、はい。お邪魔しまーす・・・」

「まずはお茶淹れるわね」

「あ、お構いなく・・・」


本気で。


「あの手当ては・・・」

「あら、そうだったわ。救急箱、救急箱っ」


リビングで1人立ち尽くす・・・。


「あら、ソファにでも座って待っててくれれば良かったのに」

「あ、いえ・・・」

「染みると思うけど、まずは手を洗って貰って~」

「あ、はい、流しお借りします」

「はーい」


手を洗い、ソファを勧められたので言われるがままソファに腰掛けるとお姉さんが僕の前で膝をついた。


「また染みると思うけど消毒しないとね」

「はい、すみません、お願いします」


ガチャ───。


「ママー!私のー・・・え?」

「え?伊達さん・・・」


まさかとは思ったけど、そこまで珍しい名字でも無いから。と、思って気を抜いていたら・・・そのまさかだった。


「ママに何してるのよっ!!」

「へっ?」


顔を真っ赤にし鬼の形相で手に持っていた物を投げつけてきた。


「いってぇ」

「いっちゃん!」

「ママから離れなさいよっ!」

「ちょ、待って伊達さん」

「え?石神くん・・・?」

「うん、そう!」


何を勘違いしたのか、ようやく気付いてくれた。


「ママと石神くんが・・・」


ん?


「いっちゃん?」

「あのね?伊達さん?」

「うわーん・・・」


泣き出してしまった。


「いや、伊達さん。あのね?さっき僕と伊達さんのお母さんがぶつかりそうになって・・・」


って、聞いてないな。


「もー、いっちゃんどうしたの?」


と、お母さんが伊達さんを抱きしめた。


すると、泣きじゃくっていた伊達さんも次第に落ち着いていき。ようやく話を聞ける状態になった。



「って訳で、僕とお母さんには何も無いから」

「・・・・・・」

「いっちゃん!」

「なに・・・」

「悪い事した時はごめんなさい。でしょ?」

「なんで私がっ」

「人に物なんて投げたらダメでしょ」

「ご、ごめんなさい・・・」

「うん」



投げつけられたのはそこそこ中身の入った瓶の化粧水。

当たったのが肩だったから痛いで済んだけど、もう少し軌道が上だったら頭に直撃していたかもしれない。

もしそうだったら痛いどころじゃなく救急車を呼ばないといけない事態になっていたかもしれないし傷害事件になっていた可能性だってある。

それに、ここ最近クラスで僕と伊達さんは注目の的だから痴話喧嘩の末に怪我をしたと噂されていた可能性だってある・・・恐ろしい。


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