67話 プロは大変だ
[兎合シュウ]前にも言ったでしょ?あきなちゅが私の推しなの
[獏枕ゆめ]あー、この人がそうなんですね
[兎合シュウ]ウチの事務所にも何人かASMRやる人は居るけど
[兎合シュウ]その中でもゆめちゃんは私のASMRの師匠なんだよね
[獏枕ゆめ]そんな・・・師匠だなんて・・・
[春夏冬中]すみません。配信中なのであんまり反応出来無いかもです
[獏枕ゆめ]え?配信中なんですか?
[兎合シュウ]だから、教えてあげてくれないかなー?って思って
[獏枕ゆめ]え?どういう事ですか?
それは本当にそう。
どういうことだってばよ・・・。
まさかとは思っていたけど、配信中に教わってASMR配信をしないといけないのか。
[獏枕ゆめ]あ、なるほど。コラボしてASMRの設定を教える配信って事ですね
え?マジで?
[獏枕ゆめ]準備するんでちょっとだけ待って下さいね
[兎合シュウ]ゆめちゃんありがと~
どういう事?
あれよあれよという間に初対面の人とのコラボが決定してしまった。
「という訳で・・・本日はASMRの設定等を1から学ぶ配信にしたいと思います」
[兎合シュウ]私はどうしよ?
本当にどうしましょうね・・・。
[獏枕ゆめ]シュウ先輩は見守ってて下さい!
[兎合シュウ]その方が良い?分かった
「兎合シュウさんから借りたは良いんですけど、使い方がイマイチ分からないので」
[獏枕ゆめ]VCいけます
[春夏冬中]では、振りますからお願いします
「そのシュウさんから紹介して貰って。ASMRのプロの方に来て頂きましたー」
「獏枕ゆめです。皆さん初めまして!」
「急なお願いに応えて頂けてありがとうございます」
「いやー、ホントに急でしたけどシュウ先輩からのお願いだったんで余裕です!」
「そのシュウさんのASMRお師匠様という事ですけど」
「いやいやいやいや、そんな大した者じゃないです!」
「でも、僕も獏枕ゆめさんのASMRは聴かせて頂いた事ありますけど。本当に凄いですよね」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
「ぶっちゃけてしまいますけど。事前打ち合わせとかも一切無いんですよね」
「ですね!」
[兎合シュウ]2人共頑張れー!
「それじゃあ・・・早速なんですけどバイノーラルマイクの設定について教えて頂けますか?」
「えっと・・・マイクの種類は?」
「黒い耳のヤツです」
「あー、シュウ先輩と同じヤツですね」
「というか、その物です。シュウさんから借りたヤツなんで」
「えっ!?」
あれ?さっきから何回か言ってた気がするけど・・・タイミング良く聞いてなかったとかかな?
「そ、そ、そ、その黒耳・・・」
「はい?」
「私のと交換しませんかっ!?」
「は、はい?」
「ふっ・・・2つ出します!」
「え?」
「くうっ・・・3つ出します!」
「いや、なにが・・・」
「黒耳3つあげますから!その黒耳下さいっ!!」
「いやいやいや、これ借りてるんですよ。僕のじゃないです」
「同じ物なんでバレないから大丈夫です!」
「いや、聞いてますよ?思いっきり」
[兎合シュウ]ゆめちゃん?
「ほら、シュウさんからディスコきてますよ」
「ああっ・・・!」
一体なんなんだ・・・。
「交換するかどうかはシュウさんと相談して貰う事にして・・・」
「シュウ先輩!私のと交換して下さいっ!!」
[兎合シュウ]え?なんで?
「なんでって・・・えっと・・・」
「配信中ですよー。ディスコと会話しないで下さいねー」
「え、あ、そうだった・・・ごめんなさい・・・」
「それで・・・黒耳の設定のやり方とかコツを教えて下さい」
「えっと・・・接続は出来てます?」
「接続は出来てますし、音もちゃんと出ます」
「ふむふむ」
「でも、爆音になったり、か細かったり、ノイキャンに引っかかりまくったり」
「あー、なるほど!」
それだけで分かったのか。流石、プロは違うな。
「実際に繋いでどんな感じか聴いてみないと分からないです!」
おうふっ・・・。
「繋いでみましょー!」
「僕の機材だとマイクは1本しか繋げないんですよ」
今、使ってるこのマイクを繋ぐとバイノーラルマイクは繋げないし。バイノーラルマイクを繋ぐとこのマイクが繋げない。
「私が繋ぐから繋いでみましょー!」
「ん?ゆめさんが繋ぐ?」
「私が喋って場を繋いどくから、その間にマイクを繋ぎ変えて下さい!」
「なるほど・・・って、自枠を他人に丸投げするのも・・・」
「あ、でも、やっぱダメです!」
「あ、はい、ですよね」
「シュウ先輩が舐めた耳に他の人が近付かれたくない!」
「えっ?」
シュウさんのASMRって耳舐め配信だったのか。
そして、この人ってもしかして・・・シュウさんの厄介オタ・・・?




