57話 勝手にシンドバッド
いつもお読み頂きありがとうございます。
こんな話を書いているくらいなんでVtuber好きなんですがスパチャした事もメンシに入った事も無い。
ROM専の基本アーカイブ勢です(´・ω・`)
「なぁ、めると」
「なに?」
「中のチャンネルが収益化したらどうする?」
「どうするって?」
「いや、スパチャとか投げる?」
「は?妹の金当てにしてんの・・・?」
「違う違う、そうじゃなくて」
「じゃなかったら、なに?」
伊達さんに言われ気になってしまって、つい聞いてしまった。
「いや、身内から投げられるのって微妙だなー・・・って」
「はぁ?投げるに決まってんじゃん」
「いや、投げるんかいっ」
「投げるに決まってんじゃん」
だ、大事な事だから2回言った・・・?
「でも、お前。そんな金あんの?」
「カードあるし」
「えっ?」
「クレジットカード」
「マジで?なんで?」
「なんでってゲーム買ったり色々あるから」
それもそうか。
ぬいぐるみぃとしてはかなり稼いでると思うけど、お金関係はお母さんが管理してると思ってた。
でも、毎回許可取ってってなると面倒か。
「大きい買い物の時はお母さんに言わないとだけど、スパチャくらいなら大丈夫」
機材とかの時は許可制だけど1万以下とかなら買い放題なのか・・・ウラヤマ・・・。
「で、収益化通ったの?」
「いや、まだ申請もしてない」
「はぁ?早くしてよっ」
「分かってんの?」
「なにが?」
「春夏冬中にスパチャするって事は僕にスパチャするって事だよ?」
「イミフ」
「え?」
「誰がのぞむなんかにスパチャするかって言ってんの」
「いやいやいやいや、春夏冬中は僕だよ?」
「イミフ」
それはこっちのセリフだ・・・。
「なにー?喧嘩でもしてんのー?」
と、仕事部屋の扉を開けてお母さんが顔を出した。
「のぞむがバカ過ぎるからたしなめてた」
「程々にね」
そう言って顔を引っ込めたけど・・・程々にね。じゃないわっ。
どっちがバカだよ。と、言い返しそうになったけどギリの所で我慢した。
不毛な応酬にしか発展しないのが目に見えているから。
「あー、あー、そうだね。僕が悪かった」
「で?」
「で??」
「いつ収益化の申請するの?」
「当面は様子見~」
「なんで?」
「なんでもー」
「今だったら通るでしょ?」
「通る・・・んだろうね」
「だったらさっさと申請しろよ」
「えー?」
「あー、のぞむはバカだからやり方分からないとか?代わりにやったげよっか?」
「やり方くらい分かるわっ」
「え・・・?」
「なんだよ」
「やり方は分かるのに申請しないとか・・・マジのバカ・・・?」
「可哀想なヤツを見る目で僕を見るなっ」
「じゃあ、なんでやらないのよ」
「それは・・・」
妹にスパチャを投げられたくないから。何て言えないし・・・。
「ほら、やっぱり。やり方知らないんでしょ」
「いや・・・」
「私がやったげる」
そう言うとリビングの扉を開け、階段を上がっていった。
ん・・・?やったげる?
「ちょっ・・・」
焦って追い掛けたけど時すでに遅し。
追いついた時には既に防音室の中に入っていた。
「おまっ、勝手にっ」
「あ、そうか」
「なんだよっ」
「のぞむって16だっけ?17?」
「17だよ。兄の年齢くらい覚えとけよ・・・」
「ちょっとお母さん呼んで来る」
「え?」
勝手にyoutubeのページを開き、収益化の申請をする所まで来ていた。
「なんなんだよマジで・・・」
椅子に座り、ブラウザバックしようとしたタイミングで2人が部屋に入って来た。
「じゃま」
「おい」
めるとに無理矢理立たされPC前の椅子も奪われた。
「お母さん良いよね?」
「いいよー」
「なにがだよ・・・」
そして、めるとは勝手にポチポチとページを進めていきアッサリと申請が完了してしまった。
「はい、完了っと」
「楽しみだねー」
「うんっ」
「で、なんでわざわざお母さん呼ぶ必要あったんだよ・・・」
「18歳以下の場合は保護者の承認が必要なんだよねー」
「え、そうなの?」
「やっぱ、やり方知らなかったじゃん」
「くっ・・・」
「収益化おめでとー・・・は、まだ早いか。申請しただけだもんね」
「ま、通るんじゃない?」
「通ったらお祝いしよっかー」
「いいねっ」
僕を目の前にして、僕の収益化の事を、僕の意思は無視して、勝手に申請して、勝手にお祝いまで決定している。
「それじゃ、もういい?」
「うん、ありがとー」
「通ったら教えてねー」
「こまめにチェックして、通ったら直ぐ教えろよ!」
そう言って2人は去っていった。
「って事が昨日あったんだ・・・」
「で?」
「で??」
「通った?」
「まだ連絡は着てない」
「そっかぁ・・・。通ったら直ぐ教えてね」
「う、うん・・・」
「通ったら、その時はお祝いにワクド奢ってあげる」
「あ、ありがと・・・」
翌日もワクドで伊達さんに収益化を急かされ。
昨日の顛末を報告したら、ここでもお祝いが決まってしまった。