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55話 YAH YAH YAH

兎合(うごうの)シュウさんと伊達(いたち)ごっこさんとの3人コラボも無事に終え。

配信の最後に急かされたスケジュールも提出した。


これでまた伊達さんの枠でやるコラボまでは自分の枠でソロ配信を行う事になる。

依然、コメント欄は閉じられたままなので喋る内容を事前にメモっておかないと直ぐに喋る事が無くなってしまうので厄介だ。


なので、次回の配信に向けてネタを書き出していると鏑木さんからのディスコの通知が鳴った。


「お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「以前に申し上げました情報開示請求の件なんですが」

「はい」

「特に悪質だった3名に行いました」

「はい」


結構な数があったけど、その中でも特に悪質だった3人なのか。それとも、その3人が複数のアカウントで暴れ回っていたのかどっちだろう。


「3名と言いましたが実際にはもっと多くのアカウントに開示請求を行ったんですが」

「はい」

「その3名が特に複垢を使って荒らし行為を行ってたので」

「なるほど」

「示談の為に事務所に呼び出しまして」

「え?マジですか」

「マジですマジマジ」


それまで仰々しかったのに、いきなり返しが軽いな。


「謝罪文と誓約書にサインをさせました」

「もうやりません。的な感じのですか?」

「ですです」


なるほど。

まぁ、名前も住所も顔もバレた訳だからもう悪さは出来ないか。


「コピーになりますが郵送しましたのでご確認下さい」

「分かりました」

「一応ですが」

「はい」

「ネットに晒したり、誰かに見せたり、教えたりするとそれも問題になるので気を付けて下さい」

「分かりました」


それにしても、ついこないだだったのに早いな。


「開示請求ってもっと時間掛かりませんでしたっけ?」

「前はもっと掛かってたみたいですけど、法案の改正とかでかなり簡単になったみたいです」

「そうなんですね」

「私も専門外なんで法務部の人がそう言ってました」

「なるほど」

「示談が成立した事は事務所から発表してタレント達にもリポストさせますので。これで荒らしも居なくなるかと思います」

「ありがとうございます」

「それと」

「はい」

「兎合シュウさんと伊達ごっこさんとのコラボ面白かったです」

「え、観たんですか・・・」

「はい」

「みぃのご機嫌が斜めだった理由が分かりました」

「なんで??」

「なんででしょうねー?」


そう言い残し、まだまだ仕事が山積みなので。と、鏑木さんは去っていった。


エッキスを開き、誹謗中傷を書き込んでいたアカウントをチェックしよと思ったがそのほとんどのアカウントは削除されていた。

削除されていなかったアカウントもポストが全て削除されていた。

ただ、1つのアカウントだけ誹謗中傷に対しての謝罪分のみポストされているアカウントもあった。

全てをチェック出来ている訳では無いので分からないけど、これが今回の炎上騒動の終焉と見て良いのかもしれない。



翌日、バイトから帰ると。


「ただいまー」

「おかえりー。みぃの事務所から望宛てに何か届いてるよ」

「え?あー・・・うん」


昨日の今日で届いてるのか、早いなぁ。


「みぃのマネちゃんから聞いたけど」

「うん」

「言ってたヤツじゃない?」

「たぶんね」

「あれ?見ないの?」

「んー?見るよ。見る見る」

「テンション低くない?」

「そう?」

「私だったら・・・コイツらぜってー許さねぇ!今からボコりに行ってやるー!!ってくらいになると思うんだけど?」

「そうはならないでしょ」

「なんでー?」

「だって、バカは相手するだけ無駄じゃない?」

「クールだねぇ」


そうかな?

バカを相手にするのって時間も体力も無駄になるし。リソースを割けば割くだけ、その分無駄になる。

結論。相手にしないのが正解。


そして、封筒を受け取り部屋に向かった。


封筒を開け、中に入っている謝罪文を読んでいく。


うーん・・・弁護士が代筆でもしたんだろうか?

口頭で言った事を文字起こししたとかでは無く、謝罪用の定型文をコピペした様なヤツが2通。

謝る気あるのか?って子供じみた謝罪文が1通。


まだ自分で書いているだけこっちの方がまだ好感は持て・・・ん?

どこかで見た事ある名前だ。

謝罪文の最後に署名されている名前に見覚えがある。


山崎佑。


んー・・・どこで見たんだっけか・・・。


制服から部屋着に着替え、パソコンを立ち上げたりしながらもその名前が頭から離れない。


「あ・・・」


思い出した。

僕のバイト先のコンビニにバイトで入って2日目の途中で逃亡して後日母親が謝罪に来たタメ口やる気ナシ男だ・・・。



クールに「バカは相手にするだけ損」みたいな事言ってたけど。

今直ぐにでも殴りに行きたい気持ちが沸々と沸いてきた。


もしかしたら相手の顔が浮かんでないから冷静で居られただけで、相手さえ分かれば許せないのかもしれない。

そんな気付きを得た・・・。


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