49話 念を押す
お弁当を掻っ込みシュウさんに謝罪のディスコを送ると。直ぐ様、長文の謝罪文が送られてきた。
チャットが長引きそうだったので授業中だからとウソを吐いてそのやり取りを強制終了させた。
家に帰り、改めてシュウさんと伊達さんに謝罪のディスコを送り3人で行うコラボを承諾する旨を送った。
「あの兎合シュウと、あの伊達ごっことのコラボかぁ・・・」
春夏冬中のリスナーであるティーナカさんとディーティックさんでは無く、Vtuber界のレジェンドである兎合シュウと超人気Vtuberの伊達ごっこ。
Vtuberファンでなくともこの2人の名前を聞いた事がある人は多いはず。
そんな2人とのコラボと考えると緊張する。
ぬいぐるみぃの人気も凄いし登録者数で言えばシュウさんよりも多いけど知名度で言えば兎合シュウの方が上だろう。
ぬいぐるみぃは自分をおじさんだと思い込んでいる女児。という、概念やキャラ設定、そのロールプレイで人気が出たイメージがある。
そう考えるとめるとの自己プロデュース能力凄いな・・・。
そんな事を考えていると部屋の扉がノックされた。
コンコン───。
「はーい」
ガチャ───。
「どした?」
「今日、配信は?」
「え?するけど?」
「告知無かったから・・・」
「あ・・・忘れてた・・・」
「バッカじゃないの?」
「いや、助かった」
シュウさんと伊達さんに送る文章を考えるのに必死になりすぎて配信の告知するの忘れてた・・・。
「なにするか決めてるの?」
「あー・・・どうしよ・・・考えてなかった・・・」
「バッカじゃないの?」
「バカバカ言い過ぎだろ」
「だったらコラボしない?」
「また?」
「は?断るの?のぞむのクセに」
「僕のクセにって何だよっ」
「やるの?やらないの?やるに決まってるよね?」
「強引過ぎだろっ」
「返事は、はいかイエスでしょ!」
「おまっ・・・はぁ~・・・ちょっと待て」
「なに?」
「マネージャーさん知ってんのか?」
「これから言う」
「おい・・・」
「言うからっ!ちゃんと言うからっ!!」
「僕も確認取ってokが出たらな?」
「うん」
「ほら、報告して来いよ」
「わかった」
それから各々の部屋から鏑木さんに確認を取ると・・・予想外にokが出てしまった。
「え?良いんですか?」
「はい。反響も大きくて数字的にも良かったので上からもGOサインが出ました」
「そうなんですか・・・」
「なので、これからも出来れば定期的にみぃとのコラボをお願いします」
「分かりました・・・」
正直、運営ストップが掛かると思ったら逆の結果になった。
ここ最近は予想外の事が起こり過ぎていてあんまりチェック出来ていなかったけど、みぃとのコラボはネットでも概ね好評だったようだ。ぬいぐるみぃ的にも春夏冬中的にも。
「ただし!」
「はい・・・」
「今回、連絡頂けたのは感謝していますが。なるべく前もってお願いします」
「はい・・・でも・・・」
「分かってます。みぃが突然言い出したんでしょうが、それでもです」
「はい」
「それと」
「はい」
「定期的にお願いします。とは言いましたが、毎回私に連絡は忘れずお願いします」
「分かりました」
そして、しっかりと釘を刺された。
ガチャ───。
「やっていいって!」
「うん・・・ノックしような?」
「別にいいじゃん。さっきまで喋ってたんだし」
「そうだけど、一応な?」
「うん。で、何時からやる?」
「めるとって遅くに配信出来ないんだよな?」
「うん、出来なくはないんだけどあんまりやらないように言われてる」
今は4時半だから・・・6時からやって7時に終わらせれば晩ご飯の時間的にも良い感じかな?
「んじゃ、6時からでどう?」
「オッケー」
「マネージャーさんに連絡しとけよ?」
「わかってるって」
「後、告知もしとけよ」
「それは、のぞむだろ」
「くっ・・・枠はお前の方で良いよな?」
「うん」
「で、何すんの?」
「これから考える」
「はぁ?」
「のぞむは大船に乗ったつもりで配信の準備しとけっ」
「はいはい・・・」
春夏冬中 (@ataru_akinai)
本日もぬいぐるみぃさんとコラボします!
何をするのかはまだ決まってないみたいですけど・・・皆様のご来店お待ちしてます!
「これで良し・・・と」
そして、配信が長引いた場合、晩ご飯の時間に間に合わなくなる可能性に気付き母親にその事を伝えに行った。




