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47話 お休み

先程のシュウさんの叫びに依り店内でかなりの注目を集めてしまっていた為に場所を変えて話をする事になった。


その移動のタクシーの中。


「伊達さん?は、石神君の彼女なの?」

「いやいや、違いますよ」

「というか、あの話するんだけど・・・大丈夫?」

「あー・・・なんて言うか・・・そこは大丈夫です」

「そう?あ、そこを右に入って下さい」

「はい」


目的の店に着いた。


「タクシー代半分出します」

「いいのいいの。私の都合なんだから」

「え、でも・・・」

「年下は奢られてればいいの。ここも、ね?」

「んー・・・でも、自分の分は出します」

「ここ高いよ?」

「えっ・・・」


確かに高そうな店だ・・・。


「さっき予約した田中です」

「はい。こちらへ」


店員さんに着いて行くと個室に通された。


「ここ個室で防音もしっかりしてるからV御用達のお店なの」

「なるほど・・・」

「その分、ちょっと高いんだけどね」

「高そうですよね・・・」

「私が出すから伊達さんも好きな物頼んでね」

「私は自分で出せます」

「私が誘って連れてきたんだから。私に払わせて?ね?」


ピリついた空気が流れる。


「えっとですね・・・この後、バイトがあるんであんまり時間が無いんですよ」

「あ、そうなの?ごめんね・・・」

「いえ、まだもうしばらくは大丈夫なんで」

「うん、じゃあ早速本題に入りたいんだけど・・・」

「あ、僕が紹介しますね」

「うん」

「こちら兎合シュウさん」

「よろしくね」

「ティーナカさんです」

「ん?」「え?」

「そして、こちらが伊達ごっこさん。ディーティックさんです」

「「えーーーーーーーーーーーーーーーー」」


正面と隣からありえない声量を浴びて一瞬気が遠くなりかけた・・・。


「で、僕が春夏冬中こと石神望です」


冷静に自己紹介したけど、まだ耳がキーンとなっている。

きっとこの部屋の防音なんて余裕で貫通しただろうと思う・・・。


コンコン───。


「失礼します・・・何かございましたか・・・?」

「あ、すみません。大丈夫です」

「ご注文お決まりでしたらお伺いさせて頂きますが」

「えっと、まだみたいなんで決まったら呼びますね」

「畏まりました。失礼します」


店員さんは上手い事処理出来た。

まぁ・・・2人が目と口をまん丸にさせて、お互いを指差しあった状態で固まっている姿は見られてしまったけど。


「はい!それでですね・・・」

「「あ・・・うん・・・」」

「本題に入って大丈夫ですか?」

「「うん・・・」」

「この場に居る3人共Vtuberなんで大丈夫です」

「な、なるほど・・・ふっ、2人は前から活動の事知ってたの?お互いに」

「本当に最近になってですね」

「そうなんだ・・・」

「後はまるたさんが居れば普段の配信みたいだね」

「あー・・・それね・・・もしかしたらって思ってる事があって・・・」

「うん?」

「勝手に言って良いのか分からないけど。妹居るでしょ?ぬいぐるみぃ・・・」

「うん」

「アイツの下の名前めるとでね?」

「うん・・・あ、mrtでまるたじゃなくてめるとって事?」

「直接聞いた訳じゃないんだけど、もしかしたらって最近思ってる」

「聞こうよ!」

「えー、気まずいんだけど・・・」

「今!」

「い、今っ!?」

「うん」

「無理無理・・・」

「そんな身近に数少ないリスナーが全員居たって面白いね」

「面白くないよっ!って、数少ない言うな・・・」

「同接はいつも最低でも7人居るから3/7だしっ」

「あ、私2アカで見てる」

「私も」

「え・・・じゃあ、3/5か・・・」

「みぃちゃんも2アカなんじゃない?」

「えー・・・」

「それか石倉先生が2アカかも?」

「な、なるほど・・・だとしたら実質4人・・・?しかも、その内2人が身内・・・」

「わ、分かんないけどね」

「でも、凄くない?3人がVtuberで1人がイラストレーターって」

「同業者とママにしか観られてない配信・・・」


シュウさんの慰めが余計に刺さった・・・。


「い、石神くん大丈夫・・・?」

「あー・・・うん、どうだろ?」

「大丈夫じゃないっぽいね」

「なんかどうでも良くなってきた・・・」

「バ、バイトの時間大丈夫?」

「どうだろ・・・?バイト休もっかな・・・」

「え?大丈夫なの?」

「さぁ・・・?」

「えっと・・・そういう時は飲んで忘れよう!」

「私達、高校生だからっ!」

「あ、そっか・・・」

「あー・・・うん、やっぱバイト行ってきます・・・」

「うん、その方が良いと思う」

「えっと、タクシー代出すから・・・」

「電車で行けるんで大丈夫です」

「えっと、気を付けてね?」

「うん」

「なんかごめんね?また連絡するから」

「はい・・・お先に失礼します」

「うん」



と、高そうなお店を何も注文せずに後にした。

どうやってバイト先に行ったのか、バイト中もちゃんと働けてたのかイマイチ記憶に無いけど気付いたら布団の中だった。


おやすみなさい。


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