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4話 涙の数だけ強くなれるよ

予定調和の爆死後。


「そ、それでは次は視聴者参加型で対戦をしていきたいと思います」


[DTick]涙拭けよ


「涙拭けよ。な、泣いてねーしっ」


コンテンツとしての参加型の強みはコメントを読む以上に配信者と視聴者の距離が近く感じられる事だ。


「それではパスワードを言うので皆さん是非参加して下さい。1度参加された方は次の方に譲ってあげて下さいね」


パスワードを言うと真っ先にまるたさんが部屋に入って来た。


「最初はまるたさんとの対戦ですね。よろしくお願いします」


[T-中]まるたさん頑張れー

[DTick]まるたさんガンバ


「あれ?僕への応援が見えないな。あれ?オカシイナー」


[mrt]1回目です。よろしくお願いします


参加回数を明記してくれるのとか本当に助かる。

しかも、最初にその流れを作ってくれてるから後々揉めないで済むし。


まぁ、この3人に関しては問題起こす事は無いだろうけど。



このリズムゲームGrooveStreetはちょっと特殊なゲームだ。ゲーム性は普通だけどジャンルがちょっと特殊。

ヒット曲からゲームオリジナルの曲まで色んな曲があるが、どの曲もソウルやR&B。ダンスやファンク等のブラックミュージックにアレンジされている。

なので好きな人は好きだが嫌いな人は完全に受け付けない類のゲームだったりする。


「よぉし、フルコンだっ!これは勝ったかな!!」


そんなニッチなゲームだからこそやり込んでしまい、数少ないプレイヤーの中では上位にランクインしている。

そんなプライドからそう簡単には負けられない。


[DTick]チッ

[T-中]まるたさんの方が良かったような?


「はい、そこ舌打ちしない。あ、まるたさんもフルコンか・・・結果は・・・」


[T-中]まるたさんおめでとうございます

[DTick]まるたさんおめー


「くっ・・・僅差でしたね・・・。それじゃ、次行きましょう次っ」


[mrt]対戦ありがとうございました


「まるたさんこちらこそありがとうございました」


[DTick]2連敗させて泣かせて来ます

[T-中]期待してますっ


「いやいや、連敗しないし、しても泣かないしティーナカさんも期待しないっ」



そして、それがフラグだったかのように見事に3連敗を喫した。

盛り上げる為とかではなく本気でやったはずなのに・・・。


「コメントしてくれてる3人は対戦しましたし。他に参加される方は居ませんか?」


視聴者数は7人居るはずだからコメはしてくれてないけど常連の3人以外にも4人が見てくれている。

その4人がどう動くか。


[DTick]2巡目行く?


「居ないっぽいので2巡目行きましょうか」



そして、見事に6連敗を喫した・・・。

あれ・・・?僕ってGrooveStreetの上位ランカーのはずなのに・・・。


[DTick]涙拭けよ


「泣いてねーわっ!これは汗だしっ!!」


[T-中]かわいそうはかわいい

[DTick]泣いてんじゃんwww

[T-中]ヨチヨチ


「さてと・・・VSも2巡しましたし、今日はこの辺りで終わろうかと思います」


[DTick]負けたままでいいの?


「負けたままでいいの?その喧嘩買ったああああああああああ」



良い感じの煽りに乗り見事に9連敗した。


「今度こそこれで終わりにしますね。ご視聴ありがとございました」


[DTick]おつかれさまー

[T-中]おつありでしたー

[mrt]お疲れ様でした


「これにて閉店!またのご来店お待ちしてまーす!!」



ふぅ・・・。

今日も配信内容的には満足のいくものだったけど・・・常連の3人以外がコメントもなければゲームにも参加してくれない辺り新規の人には入りにくい空気が出来上がってしまっているのかもしれない。


マイクをオフにし、配信が切れたのもしっかりと確認してからダンボール防音室から出た。


「ふぃ~~~~~」


狭い防音室の中で凝り固まった身体をストレッチして伸ばしながら配信中からトイレを我慢していた事を思い出した。


ガチャx2───。


隣の部屋。妹の部屋の扉が同時に開いた。


「おう」

「のぞむか」

「なんだよ」

「もしかしてトイレ?」

「え?うん」


そう聞くや否や妹のめるとはトイレへとダッシュした。


「あ、ちょ」


先を越されてしまった・・・。


ガチャ───。


「邪魔っ。早く代われ」

「5分」

「なにが?」

「女の子の後なんだから最低でも5分は待って」

「はぁ?女の子って妹だろ?」

「5分」


そう言ってトイレの前に立ち塞がった。


「ちょ、マジで・・・」

「まだ」

「おま・・・良いのか?ここで漏らすぞ?」

「そしたら写真撮って一生バカにする」

「くっ・・・」



兄として、人としての尊厳を守る為に永遠とも思える5分を耐え抜いた。

本当に限界が近くて軽く涙目になっていたのは内緒だ。


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